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「アメリカはいずれ死刑制度と決別する」 米死刑情報センター(DPIC)幹部に聞く

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「アメリカはいずれ死刑制度と決別する」 米死刑情報センター(DPIC)幹部に聞く

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死刑百科事典



ニュージャージー州の死刑廃止を受けて、米国で死刑制度の是非を問う議論が再び活発化している。米国随一の死刑問題研究センターであるDPICのリチャード・ディーター博士は、いずれ全州が死刑制度と決別する日が来ると予測する。(聞き手/ジャーナリスト 瀧口範子)

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リチャード・ディーター 死刑情報センター(DPIC)エグゼクティブディレクター


 米国民は今、死刑について非常に混乱した状態にある。DNA判定で多くの犯罪の潔白が証明され、刑事司法システム全体について疑いを持つ人が増えた結果、死刑判決やその執行率が激減した。

 その一方で、米連邦最高裁が4月に、薬物注射による死刑執行が受刑者に肉体的苦痛を与えているというケンタッキー州の死刑囚の訴えを退け、合憲との決定を下したことで、停止されていた死刑執行が再開された。

今、死刑執行は1ヵ月に5~6件と通常より速いペースで行なわれており、米国民はこれから死刑が増え続けるのではないかという印象を持っている。

 それでも歴史的に見れば、死刑は減少傾向にあると見るのが正しい。1990年代には毎年300人が死刑判決を受けていたが、いまや110~120人と約3分の1に減った。執行件数も1999年には100件あったが、一昨年は53件、昨年は42件と減った。

減少の背景にあるのは、死刑執行に至る司法システムの随所で関係者が注意深くなり、過程が長引いているからである。

 過程が長引けば、新しい証拠を探したり、優れた弁護士を雇ったりすることができる。この国では、たとえ罪を犯したことが明らかでも、経験ある弁護士や専門家を雇い入れるカネがあれば、裁判で死刑を免れることがよくあるのだ。

 死刑に関する現在の論点は、極刑としてそれがふさわしいかどうかではない。人道的に死刑に反対する人びとはわずか20%ほどで、そのほとんどは、現在の刑事司法システムを非効率的、非生産的なものと見なすゆえに反対している。


そもそも、死刑については理論と現実で認識に開きがある。

 米国民は、極悪犯罪については65%が死刑を支持すると答えるが、質問を若干変えて死刑と終身刑のどちらを支持するかと問われると、50%が終身刑を支持し、死刑支持者は少なくなる。現在、陪審員も死刑か否かではなく、死刑か終身刑のいずれを採るかを問われるようになっており、実際終身刑が選択されることが多くなっている。

 

 また死刑のコストの高さも明らかになってきた。囚人を40年間拘置しても、死刑よりは安い。死刑執行までには多くの司法過程を踏まねばならず、高いコストがかかるのだ。ニュージャージー州は昨年末、死刑制度を廃止したが、これも現実的な判断によるものだろう。死刑執行まで時間がかかるので、今後20年間にあったとしても1~2件でしかない。それならば制度を保持する理由がないという結論に達したのだ。

 州が廃止に踏み切ったのは1976年以来のことだ。現在50州中36州が死刑制度を保持しており、テキサス州など南部州は依然多数の死刑を執行しているが、奴隷制度や拷問の廃止と同様に、いずれ全州が死刑制度を廃止するだろうと、私は予想している。

 死刑制度によって犯罪率が抑えられるといわれるが、これも当てにならない。犯罪が抑えられるから死刑制度を支持すると答える国民は13%と少なく、調査結果も入り交じっている。犯罪率が低くなるという売り文句は、結局、国民より政治家や裁判所が利用するものなのだ。(談)

リチャード・ディーター(Richard Dieter)

死刑情報センター(DPIC)エグゼクティブディレクター。ワシントンに本拠を置く、米国随一の死刑問題研究センターである非営利組織、Death Penalty Information Center(DPIC。死刑情報センター)の実質的な所長。カトリック法律大学准教授を兼務。ジョージタウン大学法律大学院を優等で修了、メリーランド州、コロンビア特別区で弁護士の資格も有する。1992年に現職に就くまでは、さまざまな人権問題関連の活動にかかわってきた。死刑問題の第一人者で、議会証言の場に立つことも多い。



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