米国:死刑執行急増の不安
米国:死刑執行急増の不安
http://www.news.janjan.jp/world/0805/0805217499/1.php
米国の死刑反対活動家は、最高裁の「注射による処刑は違憲ではない」との採決に従いジョージア州が処刑を行ったのを受け、全米各州で処刑の動きが速まるのではないかと懸念している。大統領選の結果次第で大きな変化が生じる可能性もあるという。
ボストンIPSのアドリアン・アペルより、最高裁判決で死刑執行の急増が懸念される米国の死刑問題について報告したIPS記事。(IPS Japan武原真一)
最高裁のロバーツ主席判事は、ケンタッキー州の2人の死刑囚が提出した異議申し立てに対し、如何なる処刑にも苦痛のリスクは伴うとの判決を読み上げた。しかし、これまで死刑支持者と看做されていたスティーブンス判事が同採決に反対したことは驚きであった。同判事は、今後死刑の正当性についての議論が活発化することを期待すると表明。ニューヨーク・タイムズは5月7日、米国はスティーブンス判事の呼びかけに立ち上がるべきとの論説を掲載した。(IPS Japan武原真一)資料:Envolverde
【ボストンIPS=アドリアン・アペル、5月13日】
米国の死刑反対活動家は、最高裁の「注射による処刑は違憲ではない」との採決に従いジョージア州がウィリアム・E.リンドの処刑を行ったのを受け、全米各州で処刑の動きが速まるのではないかと懸念している。
ジョージア州は5月6日、死刑を認めている他の34州で使用されているのと同じ配合の薬物で53歳のリンドを処刑した。これにより、最高裁による7か月に亘る薬物注射の合憲性審議の間暫定停止されていた死刑が復活した。
最高裁のロバーツ主席判事は、ケンタッキー州の2人の死刑囚が提出した異議申し立てに対し、如何なる処刑にも苦痛のリスクは伴うとの判決を読み上げた。しかし、これまで死刑支持者と看做されていたスティーブンス判事が同採決に反対したことは驚きであった。同判事は、今後死刑の正当性についての議論が活発化することを期待すると表明。ニューヨーク・タイムズは5月7日、米国はスティーブンス判事の呼びかけに立ち上がるべきとの論説を掲載した。
バーモント法律大学院のマイケル・メッロ教授は、「88歳のスティーブンス判事は、米国世論の流れにより敏感であった」と語っている。また、ヒューマンライツ・ウォッチのプログラム調査員サラ・タフト氏は、「判決が割れたことで、薬物処刑に対する異議申し立ては今後更に増えるだろう」と述べている。
米国50州の内36州が依然死刑を認めており、ネブラスカ州を除く35州が薬物注射による処刑を行っている。ジョージア州の刑執行後、アラバマ、イリノイ、ルイジアナなど9州が間もなく処刑を再開する意向を表明。既に処刑者名簿を作成している州もある。
死刑反対団体「スタンド・ダウン・テキサス」のスティーブ・ホール氏は、「今年後半には、かつてない処刑スケジュールが組まれることになろう」と語る。「死刑情報センター」(DPIC)は、処刑件数は2007年の42から今年は60に達するのではないかと予測する。しかし、処刑を認めているカリフォルニア、メリーランド、オハイオなどの州では、死刑に対する議論も高まり、訴訟も増加しており、大統領選の結果次第で大きな変化が生じる可能性もある。最高裁判決で死刑執行の急増が懸念される米国の死刑問題について報告する。(原文へ)
翻訳/サマリー=山口ひろみ(Diplomatt)/ IPS Japan 武原真一




