Top >  死刑制度関連ニュース >  文化放送が特番『死刑執行』 実情知り『存廃』議論を

文化放送が特番『死刑執行』 実情知り『存廃』議論を

文化放送が特番『死刑執行』 実情知り『存廃』議論を

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2008050890070623.html

2008年5月8日 07時07分

 大型連休最終日の六日朝、死刑が執行される瞬間の音声がラジオから流れた。文化放送の特別番組「死刑執行」。昭和三十年代、大阪拘置所で刑務官の教育や死刑囚の待遇改善のために録音されたものを、同局が「死刑の実態を伝えるため」に放送した。局に届いたリスナーの声に不快感を訴えるものはなく、番組内容に対する否定意見も「二割弱」(同局)だったという。制作した元同局記者、植松敬子さん(38)=旭川医科大四年=に思いを聞いた。

 「裁判員制度が始まり、誰もが死刑判決にかかわる時代が来る。(それなのに)人々がいかに死刑について知らないか。『知った上で賛否を議論しようよ』というメッセージを送りたかった」。植松さんは企画意図をこう語る。

 植松さんが死刑に関心を持ったのは文化放送に勤務していた一九九七年。永山則夫死刑囚の死刑執行を報じる新聞記事がきっかけだった。今回放送したテープを入手したのは、その年の秋。執行の内容や刑務官らの抱える苦悩など、全く知らなかった世界に驚いたという。「(死刑に携わる人々の)コメントは自らの経験に基づいた深い結論。その深さに強くひかれ、いつか世に出したいと思った」

 取材に費やした時間は約五年。その間に異動、退職、医学部進学と、自身の人生も大きく揺れ動いた。

     ◇

 植松さんの長年の夢は「医師」だった。しかし医大受験に失敗。農学部に進学し、就職先は「地道な研究職より広い世界が見たい」と同局を選んだ。報道局には通算約九年在籍。薬害エイズ問題報道などに取り組んだ。

 そんな中、ともに別の番組を作った友人の女性をがんで失う。三十一歳の若さで逝った友人に、少女時代に白血病患者の闘病記を読んで衝撃を受けた記憶が重なり、医師の夢が再び頭をもたげた。在職しながら勉強し、二年がかりで旭川医科大学に合格。二〇〇五年三月に退社した。

 ただ、死刑をテーマにした番組を放送できなかったことがずっと心残りだったといい、裁判員制度の開始が迫ってきた今春、「今こそ番組にすべきだ」と一念発起。春休みの三週間、編集にあたり、古巣の同局に持ち込んだ。

 「死刑の方法や法相によって執行人数が異なること、長期間死刑囚に接する刑務官に執行させることの是非など問題点も多い」と指摘する植松さん。自身は「あえて言えば“消極的な”存置論者」なのだという。「犯人に死刑を望むであろう自分がいて、声高に廃止と叫べない。今も揺れ動いているし、悩んでいるんですけど」

■テレ朝でも先月放送

 文化放送が放送したテープは、テレビ朝日も先月二十九日の「スーパーモーニング」で流していた。テレ朝は執行の瞬間は流さなかったが、死刑への賛否をめぐる討論部分を含めたコーナーを約五十分間にわたって放送した。

 同番組では十分程度のテープの音声に加え、死刑囚を見守った教戒師の遺族、日本弁護士連合会「死刑執行停止実現委員会」の弁護士や刑場を視察した衆院議員、再審無罪となった元死刑囚・免田栄さんのインタビュー(90年代に収録)などを交えた。スタジオでは死刑廃止派の作家・若一光司氏や存置派の大沢孝征弁護士らが議論した。

 視聴率はスタジオでの議論が始まった部分が最も高く、瞬間最高で10・6%(番組全体では平均8・4%)を記録した。

■番組内容

 文化放送の「死刑執行」は午前十時から約五十五分間、CMなしで放送された。

 番組は、「死刑方法を知っているか」「裁判員として死刑判決を下せるか」などの一般市民への質問や、ノンフィクション作家・大塚公子さん、元刑務官らによる死刑の実態の説明に、大阪拘置所での録音を交えた構成。冒頭、死刑について知ってもらい、意識を喚起する意図で放送すること、衝撃的な音声が含まれていることを留意した上で聞いてほしいと説明が入った。

 番組で使われた拘置所での録音は、泣きじゃくる女性の声に「笑って別れましょうよ」との男性の声がかぶる死刑囚と姉との最後の面談場面や、当日、刑場に向かう足音など。

 執行の瞬間は番組の最後。読経が流れる中、踏み板が開いたとみられる「ダン、ダーン」という音が響く。わずかな時間を置いて「南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)」を唱える声。医官の「刑執行二時五十九分 刑終了三時十三分二秒 所要時間十四分二秒 終わり」で、本編は終わった。

(東京新聞)

スポンサードリンク

         

死刑制度関連ニュース

死刑制度関連ニュース 死刑制度関連の社会の動き、出版、書籍、TV報道、外国の動き 死刑廃止団体の動向

関連エントリー

死刑執行の一時停止、決議案を2年連続採択 国連委 麻生内閣初の死刑執行 福岡2女児誘拐殺害と福島母娘強殺の2死刑囚 「裁判員制度」でJR 9条連などが勉強会 10/31 国連自由権規約委、日本に死刑廃止を勧告 鳩山法相、死刑執行は死に神ではなく「文明」 連続幼女殺害事件の宮崎死刑囚ら3人、刑執行 仮釈放ない終身刑創設へ、議連が改正案に向け合意 「死刑増加」日本を批判=アムネスティ報告書 裁判傍聴者ら「もし自分が裁判員だったら」 死刑は「支持」判断「自信ない」 終身刑創設案 拙速避け議論深めねば(5月26日) 量刑判断が素人にできるか。裁判員は世間の感情に悪のりした制度である 量刑議連発足、終身刑の早期創設へ 「事実上の死刑廃止」と保守派は反発 死刑めぐる鳩山法相の国会答弁、EUが異例の抗議文 裁判員に選択の幅 「終身刑」議連創設の狙いは 加藤紘一会長に聞く 死刑執行の音声に反響 : TV 演劇:冤罪と裁判員テーマに 「砂喰社」オリジナル、あすから浜松で上演 /静岡 日本キリスト教協議会、死刑執行に対する抗議声明を発表 国連人権理が初の対日審査、12カ国が死刑制度廃止など求める 文化放送が特番『死刑執行』 実情知り『存廃』議論を 終身刑:創設目指す超党派議連の準備会合に35人参加 文化放送「死刑執行」テープ放送…賛同6割、批判2割 裁判員制度最高裁制作のPR映画「審理」上映、市民130人学ぶ : 福岡 死刑の瞬間を放送=53年前の録音-文化放送 死刑賛成派も反対派も「終身刑を」 超党派で議連発足へ 米国:「支払えなければ、生かしておくように」と裁判所 【あなたはどう裁いた?】歌織被告に「無期・死刑」が最多 厳罰求める傾向が顕著 【自由記述への意見】「裁判員制度を考える契機になった」「『法廷ライブ』読むうちに考え方変わった」 DNA鑑定でまたも冤罪晴れる=全米で200件以上、死刑囚も 明日への伝言:昭和のあの日から 勝田元死刑囚と刑事 取調室の1年3カ月 死刑:テレ朝も執行前後のテープ放送 裁判員制度を前にテレビ報道を危惧する 「終身刑導入」自民に勉強会設置へ 光市判決、「主張の全否定はショック」と元弁護人 死刑制度:改善求める会長声明--県弁護士会 /岐阜 あなたは死刑判決を下せるか:決断への条件は? / 今週の世論調査 死刑「全員一致」に限定 廃止議連が終身刑法案 「死刑確定後も上訴制度を」日本に求める マレーシアで秘密処刑が存在?アムネスティが報告 死刑執行抗議声明 アムネスティ・インターナショナル日本 死刑:薬物注射による執行は合憲 米最高裁 50年前の死刑執行の瞬間をラジオ放送 関東で5月6日 「死刑を迫られる日」はすぐそこまで来ている 中国の死刑執行、大幅減 五輪開催意識か [裁判員制度]なお慎重さを求めたい 中国、470人を死刑に=07年執行数、半減も世界最多-アムネスティ 死刑執行、適正に判断=町村官房長官 始まる裁判員制度:模擬裁判、企業の休暇制度…準備着々 まだ抵抗感強く ド素人の多数決で「感情裁判」時代がやってくる? ~『つぶせ!裁判員制度』井上薫著(評:荻野進介) 死刑執行に廃止議連が抗議/「機械的処刑、許せない」 死刑制度:仏教の教えに基づき、廃止考えよう--13日、下京で /京都 日本、5カ月で10人に死刑執行 死刑執行に強く抗議する(談話) 4人の死刑執行 鳩山法相 4カ月で計10人 死刑廃止:考えよう 13日に京都・大谷婦人会館で集会 /大阪 法の狙いはズレていないか? 市民の司法参加に必要な条件(CSR解体新書36) 死刑問題にゆれるカリブ海諸国 米バージニア州が死刑停止 連邦最高裁の合憲判断待ち 洛書き帳:「叫びたし 寒満月の 割れるほど」… /京都 映画「休暇」で、謎に包まれた死刑囚・金田役を演じる西島秀俊 死刑執行文書、開示せず 正義のかたち:裁判官の告白/7 死刑への信条、正反対に変化 社説:袴田事件 生死の問いかけに向き合おう - 毎日jp(毎日新聞) 袴田事件:再審棄却 「新証拠無視された」 死刑囚案じ不安と落胆 小林薫主演「休暇」、地元山梨県先行公開が好調に推移 日本人は「死刑」をなぜ支持するのか?~『死刑』森達也さん【後編】 (我ら、文化系暴走派) 誰かを「死刑」にすると言えますか~『死刑』森達也さん【前編】 (我ら、文化系暴走派) 韓国 再び火が付いた死刑存廃論議 デモ行進:死刑反対訴え 鳩山法相は「粛々と執行」--久留米 /福岡 講演会:芥川賞作家の辺見さん、死刑制度テーマに--千代田で来月5日 袴田事件と改正・刑事訴訟法281条の関係 死刑判決:「人を裁く」とは? 永山事件の裁判官が初告白 FLASHで死刑囚の特集展開 反響を呼ぶ - Ameba News [アメーバニュース] 死刑執行、15%を許可せず=「猶予付き」が上回る-中国最高裁 ナイジェリア:司法制度の見直し後もなお死に怯える受刑者たち 死刑執行、その瞬間は…元刑務官が激白 国会開会中に3人死刑執行 極めて異例 死刑廃止を巡る動き 2007/10月 死刑執行停止求める決議案提出 EUなど72カ国 3人の死刑を執行 長勢法相命令、計10人に 死刑廃止決議、国連で採択! 死刑制度  問われる 命の重さ() 死刑廃止へ終身刑創設 超党派議連が法案提出目指す '08/2/10 死刑になりたいと男性襲う-東京都新宿区のトイレ(2/16 14:04更新)