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死刑:米元死刑囚に聞く

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死刑:米元死刑囚に聞く

http://mainichi.jp/select/jiken/news/20080502k0000e030050000c.html

インタビューに応じるロバート・マーシャル元死刑囚=ニュージャージー州の刑務所で、小倉孝保撮影

米国では昨年末、東部ニュージャージー州で死刑制度が廃止されるなど、死刑をめぐる議論が盛んだ。保険金目的で妻を殺害したとして嘱託殺人罪に問われ、91年の死刑確定後、連邦最高裁の指示で16年後の昨年8月に無期刑に減刑されたロバート・マーシャル元死刑囚(69)を刑務所に訪ね、死刑論議についてインタビューした。【トレントン(ニュージャージー州)で小倉孝保】

 --死刑とどう向き合ってきたのか。

 ◆私は一貫して犯行を否認している。ニュージャージー州で死刑廃止論議が高まったのは90年代に入ってからだ。私が死刑判決を受けた時には、このまま刑が確定し執行されると思っていた。執行日が近づくことを常に恐れていた。当時の私はただ「死に向かって歩む者」だった。

 --死刑廃止の動きをどう見ていたか。

 ◆逮捕前から死刑には反対だった。賢い解決法ではないと思っていたからだ。自分が死刑判決を受けた後はもちろん、死刑が廃止されることを強く期待していた。

 --遺族感情にも配慮しなければならないのでは。

 ◆さまざまな調査で明らかになっているが、遺族の多くは死刑が執行されても心の安らぎを感じない。死刑執行で犯人を葬り去ることは、国がもう一つの殺人を犯すことであり、遺族を増やすだけの結果になる。

 --死刑に代えて保釈なしの無期刑を制定することについて。

 ◆刑務所の長期刑者たちは「こんなところにいるぐらいなら早く死刑にしてくれ」と言っていた。私自身、保釈の可能性がゼロなら、何のために生きるのか分からなくなるだろう。服役囚にとっては死刑よりもつらい。

 --今の希望は。

 ◆私の場合、州が死刑廃止の代わりに保釈なしの無期刑を制定する前に減刑されたため、2014年以降に保釈される可能性が残っている。保釈されたらまず妻の墓をお参りしたい。

 --死刑からの減刑で、心境に変化は。

 ◆小さなことに感謝するようになった。(減刑されて)他の服役囚と一緒に食事ができるようになったことや、みんなと一緒に運動ができるようになったことがうれしい。外で生活をしている時には当たり前だと思っていたことすべてに対し、とてもありがたいことだと思えるようになった。

 ◇事件の経過

 保険ディーラーだったロバート・マーシャル元死刑囚は84年7月、ニュージャージー州内で妻マリアさん(当時42歳)と車に乗っていたところを何者かに襲撃された。妻は死亡、元死刑囚も負傷した。警察は借金返済に困った元死刑囚が妻に保険金をかけ、知人に殺人を依頼したとして元死刑囚を逮捕。91年に死刑が確定した。しかし、最高裁は06年に「適当な弁護活動が行われなかった可能性がある」として死刑の撤回を決め、07年8月に無期刑に減刑された。

 元死刑囚が白人の中流階級の出身であることや、息子たちの中でも父の無罪を主張する者と有罪を求める者とで意見が割れたことなどもあり、裁判が注目された。

 ◇ことば 米国の死刑

 米国では72年に連邦最高裁が死刑を違憲と判断し、各州は死刑を廃止した。だが76年に最高裁は判断を覆し合憲としたため、死刑を復活する州が相次いだ。ニュージャージー州は昨年末、議会の決定を受けて知事が死刑を廃止し、保釈の可能性のない無期刑を制定した。現在、全米50州のうち死刑を法律で定めているのは36州。先日、連邦最高裁が薬物注射による死刑執行を合憲と判断、一時停止されていた死刑が相次いで執行されるとみられている。

毎日新聞 2008年5月2日 12時21分(最終更新 5月2日 12時30分)

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