死刑執行の音声に反響 : TV
死刑執行の音声に反響 : TV
http://www.yomiuri.co.jp/entertainment/tv/20080513et02.htm?from=yoltop
4月29日のテレビ朝日「スーパーモーニング」では、死刑執行の様子を伝える音声テープの内容が放送された(放送映像より)
53年前の死刑執行を生々しく録音した音声が、テレビ朝日と文化放送で相次いで放送された。かつて大阪拘置所で録音されたテープの複製で、両局は「来年の裁判員制度の実施を前に、まず死刑の実情について広く知ってほしかった」と説明している。視聴者の反響はどうだったか。(森重達裕)
テープは、死刑囚の処遇改善や刑務官・教誨(きょうかい)師への教育などを目的に、1955年2月、当時の大阪拘置所長が録音したもの。神戸で強盗事件を起こし、警察官をピストルで射殺した罪で死刑が確定した男性(当時38歳)が処刑される前後の様子が収録されている。録音は死刑囚には知らされなかったようだ。
実は、同じテープの音声は94年6月にもTBSの報道番組「情報スペースJ」の中で、俳優による再現映像を交えて放送されている。番組を担当した石井千尋プロデューサーは「執行の瞬間の音を放送した時の視聴率が急激に跳ね上がった。情報がほとんど公開されない死刑の実態について、人々の関心の高さがうかがえた」と振り返る。
そして今年、山口県光市の母子殺害事件の裁判で死刑判決が出た直後の4月29日、テレビ朝日が「スーパーモーニング」内で、このテープ音声を放送した。
執行の瞬間の音声はカットされたが、テープの内容を元に、スタジオで法律家などが死刑制度の是非について討論。放送後、約50件の反響が電話などで寄せられた。テレビ朝日によると、音声は92年と2005年の2回、同局で放送されているという。
同局は人気ドラマ「相棒」の最新シリーズでも、裁判員制度や冤罪(えんざい)の死刑囚をテーマにしたエピソードを積極的に扱っている。伊東仁プロデューサーは「死刑制度など社会性のある話を取り上げる場合は、フィクションとはいえ、下調べを十分にしてリアリティーを失わないよう努めている」と話す。
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文化放送は、スーパーモーニングで放送される前の4月15日、定例記者会見で「死刑執行の音声を5月6日に放送する」と発表。これが翌日の読売新聞などで大きく報道され、清水克彦編成部次長は「国内のほか、外国の報道機関からも取材申し込みが相次いだ」と反響の大きさに驚いたという。
番組では「ナンマイダー、ナンマイダー……」と読経が流れる中、「ガターン」と刑壇の床板が落ちる瞬間などの音声を約7分間放送。併せて元刑務官や元検事へのインタビュー、死刑制度に対する街の声も紹介した。
放送後の2日間で、同局にはメールや電話で約110件の反響があり、「死刑について詳しく知ることができた」という共感・賛同が7割、「死刑囚の権利ばかりが尊重され、犯罪被害者の声がなく公平性に欠ける」といった番組への批判・注文が2割寄せられた。清水部次長は「1年後には、誰もが裁判員として死刑判決を下す可能性がある。生々しい放送には批判もあるかもしれないが、死刑制度への賛否ではなく、問題提起として音声の放送は不可欠だった」と話す。
死刑廃止を訴えるアムネスティ・インターナショナル日本の寺中誠・事務局長は「この音声の事例だけで一般化することはできないが、死刑執行の秘密主義に対して一石を投じた意味はあるだろう」と、放送の意義を評価している。
(2008年5月13日 読売新聞)



