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最新記事【2008年05月29日】

「死刑増加」日本を批判=アムネスティ報告書

http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2008052800774

国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(本部ロンドン)が28日に公表した2007年の世界の人権状況に関する報告書で、日本について「9人が処刑された。死刑判決の確定は23事件で、1962年以来最も多かった」と指摘した。

 アムネスティ・インターナショナル日本の寺中誠事務局長は同日、東京都内で記者会見し、「日本では殺人事件は激減しているが、死刑判決と死刑執行は増えている」と批判。来年5月に始まる裁判員制度について「多数決で死刑を科すことのできる制度であり、人権上極めて問題だ」と話した。

死刑になりたい:なぜ?凶悪事件、犯行動機で供述(下)

http://mainichi.jp/select/wadai/news/20080528mog00m040025000c.html

8人が刺され死傷したJR荒川沖駅前。中央の通路で結ばれた左側が駅、右側がさんぱる長崎屋=茨城県土浦市で23日午後4時43分、本社ヘリから須賀川理撮影


死刑を求めて罪を犯し、罰として望み通りに死刑になった典型的な例が、大阪教育大付属池田小乱入殺傷事件で、児童8人を刺殺した宅間守元死刑囚。弁護にあたった戸谷茂樹弁護士によると、宅間元死刑囚は犯行前2~3カ月の間に2度、自殺未遂をしている。そして、判決確定から1年弱という異例の早さで望み通りに死刑を執行された。戸谷弁護士は死刑の執行を聞いたとき「本望を遂げたな」と思ったという。

 「彼は、本当に死刑になりたくて犯罪を実行した、と言っていいと思います。彼にとって死刑は、罰ではなかった。望んでいる人に対する死刑は、罰としては機能しない」 戸谷弁護士は続けた。

 「(『死刑になりたかった』と供述する)犯罪は、自殺願望の裏返しである場合が結構あると思う。自殺願望の原因はいろいろですけど、いずれにしろ、生きる価値がない、と結論を出した。そういう人が年間3万人いる。その中に、死刑を望んで罪を犯す人がいてもおかしくない。それを避けるためには、どうやって生きる望みを味わうことができる社会にするか、っていうことだと思うんです。宅間に対する支援者がたくさん出てきたのは、『私もかつて同じような状況だった』とか、彼の思いや行動が理解できる人が相当数いたからです。世の中複雑になればなるほど、格差社会になればなるほど、そういう人が出てくる」

 ■

 米国では、以前から死刑願望者による事件が起きている。「死刑の大国アメリカ」(亜紀書房)の著書がある宮本倫好・文教大学名誉教授(米国近代社会論)によると、州ごとに死刑制度の有無が異なる米国では、わざわざ死刑制度のある州で、無差別に殺人を犯すケースがいくつも存在するという。

 宮本教授は「日米各ケースの内容は千差万別だと思う」とした上で、「強いて共通点を探すとすれば、やっぱり若者の間の絶望。米国の格差は日本とは比べものにならないくらいひどいけれど、両国とも今は暗くて閉塞(へいそく)感がものすごい。格差社会はますます徹底しているし、日本も、アメリカ型社会の後をある程度追っているんじゃないか、ということが言えると思いますね。心の弱い希望のない若者が犯罪に走ったり、死のうとする。絶望の中に、犯罪の種が生まれるというのは分かる気がします」

 ■

 著書「死刑」での森さんの結論は、死刑廃止だ。それでも、死刑願望からの犯罪を防ぐことを理由に死刑制度廃止を唱えるのには懐疑的だ。森さんは「大切なのは、死刑に関する情報公開と共に、罪と罰とは何か、を考えること」と強調する。

 「だって僕ら、国民一人一人が、認めて、払った税金で(死刑は)行われていることなんですから」

 相次ぐ事件は、目をそらしがちな死刑という制度と格差が広がる社会に、向き合う時機が来ているという、一つのサインなのかもしれない。

 ■今年すでに3件

 死刑願望を動機として供述した事件は今年、少なくとも3件起きた。2月、東京都新宿区の公衆トイレで見ず知らずの男性の頭を金づちで殴り殺人未遂容疑で逮捕された男(31)▽3月、茨城県土浦市のJR荒川沖駅の8人殺傷事件で逮捕された男(24)▽4月、鹿児島県姶良(あいら)町のタクシー運転手殺人事件で逮捕された男(19)の各容疑者が、死ぬことを目的に、無差別で犯行に及んだと供述している。

裁判傍聴者ら「もし自分が裁判員だったら」 死刑は「支持」判断「自信ない」

http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/25024

殺人など重大な刑事事件の審理に市民が参加する裁判員制度の導入まで1年足らず。暴力団幹部城尾哲弥被告(60)に死刑を言い渡した長崎地裁判決は、死刑と無期懲役の境界線上で下された判断といえるが、市民もこうした判断に直接加わることになる。26日の判決公判の傍聴者と傍聴希望者に聞いたところ、大半が死刑判決を支持する一方で、自分が裁判員になった場合には死刑選択に慎重な意見が目立った。

 長崎市城山町の青果店経営沼中俊隆さん(56)は「違法な銃器で計画的に市長を狙う行為は言語道断。当然の判決だ」ときっぱり。同市寄合町の主婦藤川和江さん(46)も「市政を混乱させた責任は重く妥当だ」と選挙中の犯行という点を非難した。

 同市水の浦町の男子大学生(18)は、被害者が1人での死刑適用は少ないことに触れ「死刑は重すぎるのでは」としたが、同市東町の主婦大町リキ子さん(75)は「殺した人数ではなく、罪の重さで判断すべき」と判決を支持した。

 死刑を支持する声が大半を占める一方で、「自分が裁判員の場合どうするか」を尋ねると意見は微妙に変わってくる。

 同市諏訪町の無職男性(72)は「被告の反省の気持ちを判断するのが難しく、死刑を下すのにはためらいがある」と語り、同市大手1丁目の男子大学生(21)は「裁判員には感情を挟まないことが求められるが、自分は流されてしまうと思う。こんな重い判決を下せる自信はない」と打ち明ける。

 同市桜町の無職三浦栄三さん(78)は「死刑か無期懲役かだけでなく、『終身刑』のような刑罰を日本でも設けることが求められるのではないか」と提案した。

=2008/05/27付 西日本新聞朝刊=

終身刑創設案 拙速避け議論深めねば(5月26日)

http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/95004_all.html

死刑と無期懲役のギャップを埋める刑を創設する論議が高まっている。

 「量刑制度を考える超党派の会」が与野党六党の国会議員で設立された。

 一年後の裁判員制度をにらみ、原則として仮釈放のない終身刑の導入や、無期懲役刑の仮釈放禁止期間の延長などを検討する。議員立法で関係法令の年内改正を目指す。

 「無期懲役」となっても、現行法では、仮釈放が最短十年で認められる。死刑との差があまりに大きい。以前から、研究者が間を埋めるさまざまの刑罰を提案してきた。

 過去に法制審議会で中間の刑を論議したが、まとまらなかった。拙速は避け、専門家や現場の声も聞きながら、論議を深めてほしい。

 「超党派の会」には死刑存置派から廃止派まで入った。死刑の是非については議論しない。

 廃止派が存置派に呼びかけて結成した。背景には、厳罰化の風潮が強まる中で、死刑の判決や執行が急増していることへの危機感がある。

 終身刑を設けると、裁判に誤判があったときに、救済できる。仮に死刑を執行されていたら不可能だ。

 また、長い時間をかけて受刑者とさまざまの人が面会することで、犯罪の原因や背景などが解明され、再発を防ぐ材料にもできる。

 裁判員制度で、国民から選ばれる裁判員が死刑か無期かで悩んだ時の選択肢を広げることにもなる。

 問題もある。一つは出所の望みがない受刑者の更生を図ることの難しさだ。終身刑は受刑者を自暴自棄にするとも言われる。

 説得力に欠けるが、法務省は「死ぬまで刑務所の外に出られず、死刑より残虐」という立場だ。

 新しい刑をめぐって、国会議員の中には、仮釈放はないが、恩赦はある「重無期刑」を求める意見も出ている。

 近年、被害者や遺族の感情を反映して仮釈放の時期が遅くなり、実態として、無期懲役が終身刑に近づいている現状も無視できない。

 二〇〇六年に仮釈放された無期懲役囚(三人)は平均二十五年間、服役していた。すでに五十年を超えている無期懲役囚が数人いる。

 こうした実態をふまえないと議論が上滑りになりかねない。

 仮釈放や恩赦の余地が全くない終身刑にするか、多少でもある制度にするかも一つの焦点だろう。

 過去の法制審では、裁判所が無期懲役の言い渡しをするときに、裁判所の裁量で、仮釈放が可能となるまでの服役期間を二十年とする権限を認める案も論議された。

 長年の論議を生かしつつ、国民が納得する刑罰を工夫したい。

支局長からの手紙:選ばれたなら /滋賀

http://mainichi.jp/area/shiga/letter/news/20080526ddlk25070169000c.html

会合が始まって既に1時間。なかなか進みません。自治会の役員選考。選び方をどうするか、という“入り口”で堂々巡りの議論になりました。自発的に名乗りを上げた人も少数いましたが、「仕事が忙しい」などと断りの理由が出て、2時間たっても結論が出ず、後日仕切り直すことになり、結局は無難なくじ引きに落ち着きました。しかし、これでも不満を持つ人もいました。PTAの役員を決めるのも似たような状況とよく聞きます。

      ◇

 国民が裁判に加わる裁判員制度の開始まで1年を切りました。参加するのは、殺人や放火、誘拐など重大な刑事裁判に限られ、裁判官と一緒に、罪に問われた被告が有罪か無罪かを判断し、有罪の場合は刑罰の重さを決めます。

 その裁判員の選び方は、20歳以上の有権者からくじで行います。一つの裁判に原則6人。12月ごろまでに翌年1年間の裁判員候補者を選び、計算では4160人に1人の割合で選ばれるといわれています。

 この制度でも選ばれた人が仕事や家庭の事情などから辞退を希望すればどうするか、が早くから論議されていました。最高裁は辞退が考えられるケースをまとめていますが、個々の対応に差が出ると、不満が出て制度の根幹そのものが揺らぎかねません。

      ◇

 さらに、実際に裁判に参加した際の心理的負担の大きさが指摘されています。先日、最高裁が裁判員制度に関する全国意識調査の結果を公表。参加したい4・4%▽参加してもよい11・1%▽あまり参加したくないが義務なら参加せざるを得ない44・8%と「参加」は60・3%(滋賀は59・0%で近畿6府県では5番目)、義務でも参加したくないと答えたのは37・6%でした。厳密に言えば、参加に前向きという人は15%程度という情勢です。

 その主な理由は、責任の重さと思われます。被告が冤罪(えんざい)を訴えた場合は有罪無罪の結論を出すのに迷うでしょうし、特に死刑か否かを判断するとなると、責任感が強い人ほど深刻に悩むでしょう。県内の法曹関係者と話した際、テレビから流れる感情的なコメントに裁判員が影響を受けるのが危険とも指摘していました。

      ◇

 不安要素を挙げるとキリがありませんが、大きな司法改革だと言えます。選ばれたならどう臨むか、今から心の準備が求められます。専門性が高くて閉ざされがちな司法界のプロの中に市民感覚が生かされる制度にすることができれば、この国がまだ手にしていない成熟した市民社会への一歩ともなるのではないでしょうか。【大津支局長・小林成明】

毎日新聞 2008年5月26日 地方版

最新記事【2008年05月26日】

米国:死刑執行急増の不安

http://www.news.janjan.jp/world/0805/0805217499/1.php


米国の死刑反対活動家は、最高裁の「注射による処刑は違憲ではない」との採決に従いジョージア州が処刑を行ったのを受け、全米各州で処刑の動きが速まるのではないかと懸念している。大統領選の結果次第で大きな変化が生じる可能性もあるという。

ボストンIPSのアドリアン・アペルより、最高裁判決で死刑執行の急増が懸念される米国の死刑問題について報告したIPS記事。(IPS Japan武原真一)

最高裁のロバーツ主席判事は、ケンタッキー州の2人の死刑囚が提出した異議申し立てに対し、如何なる処刑にも苦痛のリスクは伴うとの判決を読み上げた。しかし、これまで死刑支持者と看做されていたスティーブンス判事が同採決に反対したことは驚きであった。同判事は、今後死刑の正当性についての議論が活発化することを期待すると表明。ニューヨーク・タイムズは5月7日、米国はスティーブンス判事の呼びかけに立ち上がるべきとの論説を掲載した。(IPS Japan武原真一)資料:Envolverde

【ボストンIPS=アドリアン・アペル、5月13日】

 米国の死刑反対活動家は、最高裁の「注射による処刑は違憲ではない」との採決に従いジョージア州がウィリアム・E.リンドの処刑を行ったのを受け、全米各州で処刑の動きが速まるのではないかと懸念している。

 ジョージア州は5月6日、死刑を認めている他の34州で使用されているのと同じ配合の薬物で53歳のリンドを処刑した。これにより、最高裁による7か月に亘る薬物注射の合憲性審議の間暫定停止されていた死刑が復活した。

 最高裁のロバーツ主席判事は、ケンタッキー州の2人の死刑囚が提出した異議申し立てに対し、如何なる処刑にも苦痛のリスクは伴うとの判決を読み上げた。しかし、これまで死刑支持者と看做されていたスティーブンス判事が同採決に反対したことは驚きであった。同判事は、今後死刑の正当性についての議論が活発化することを期待すると表明。ニューヨーク・タイムズは5月7日、米国はスティーブンス判事の呼びかけに立ち上がるべきとの論説を掲載した。

 バーモント法律大学院のマイケル・メッロ教授は、「88歳のスティーブンス判事は、米国世論の流れにより敏感であった」と語っている。また、ヒューマンライツ・ウォッチのプログラム調査員サラ・タフト氏は、「判決が割れたことで、薬物処刑に対する異議申し立ては今後更に増えるだろう」と述べている。

 米国50州の内36州が依然死刑を認めており、ネブラスカ州を除く35州が薬物注射による処刑を行っている。ジョージア州の刑執行後、アラバマ、イリノイ、ルイジアナなど9州が間もなく処刑を再開する意向を表明。既に処刑者名簿を作成している州もある。

 死刑反対団体「スタンド・ダウン・テキサス」のスティーブ・ホール氏は、「今年後半には、かつてない処刑スケジュールが組まれることになろう」と語る。「死刑情報センター」(DPIC)は、処刑件数は2007年の42から今年は60に達するのではないかと予測する。しかし、処刑を認めているカリフォルニア、メリーランド、オハイオなどの州では、死刑に対する議論も高まり、訴訟も増加しており、大統領選の結果次第で大きな変化が生じる可能性もある。最高裁判決で死刑執行の急増が懸念される米国の死刑問題について報告する。(原文へ)

翻訳/サマリー=山口ひろみ(Diplomatt)/ IPS Japan 武原真一

95人の死刑囚の最期を看取った聖職者に迫るドキュメンタリーとは?

http://cinematoday.jp/page/N0013929

スティーヴ・ジェームズ(右)とピーター・ギルバート - 写真:Nobuhiro Hosoki


 [シネマトゥデイ映画ニュース] 記録的大ヒットを記録したドキュメンタリー映画『フープ・ドリームス』で監督を務めたスティーヴ・ジェームズとプロデューサー兼撮影監督だったピーター・ギルバートが、新たなドキュメンタリー作品について話をしてくれた。

 彼らが再びコンビを組んで共同監督した映画『アット・ザ・デス・ハウス・ドア』(原題)。本作は1982年から1995年までの間、テキサス州のハンツビル刑務所の監房牧師として死刑囚95人の最期をみとった聖職者キャロル・ピケットに焦点を当て、人間の尊厳とテキサス州の死刑制度に鋭く切り込んでいく。

 物語はキャロルが記録用として、死刑囚たちの死刑台に立つ直前の声を録音していたオーディオ・テープから始まった。そのテープの中には、今でも彼の心を揺さぶる人物の声が録音されている。それは冤罪(えんざい)にもかかわらず死刑判決を受けてしまったカルロス・デルーナ死刑囚の声だ。

 再びタッグを組んだことについてピーター監督は「一番の理由は単に彼とまた仕事がしたかった。ただそれだけだった。ただ今回は『フープ・ドリームス』とは違い、2人で作品をプロデュースし、監督も共同でしているんだ。撮影中はやりやすかったよ。何せ、お互いが同じ手法で製作しているからね。しかもスティーヴ監督はインタビューに優れているし、死刑というテーマについては撮影に入る前からお互いかなりの予備知識があった。だから自然な形で製作に入っていったといえるだろうね」と答えた。

 死刑をテーマにしたドキュメンタリーやドラマは過去に何本も制作されている。本作を製作しようと思ったきっかけはなんだったのか? 「新聞社のシカゴ・トリビューンがわれわれに接触してきたとき、彼らはカルロス死刑囚の調査をしていて、カルロスはどうやら無実らしいということだった。確かに興味のある話ではあったが、その題材だけでは、これまでにあったほかの映画が撮影してきた内容と何ら変わらないものだと感じていたんだ。そんなときに、彼らの口からキャロルの話題が上がった。95人の死刑囚に立ち会い、初めて実施された薬物注射の処刑にもかかわっていたことや、オーディオ・テープに記録していたことを知ったんだ。もちろんそんな話は初耳で、それが今回のテーマに挑戦してみようと思ったきっかけなんだ」とスティーヴ監督が語ってくれた。

 劇中ではさまざまな問題提起をしており、観客に答えを与えるのではなく、提起することによって作品の意図や深いテーマが理解できるような作りになっている。スティーヴ監督は「われわれが考える語り部の定義は、当事者であること。実際にその体験をした人々だけだと思っているんだ。囚人や死刑囚の家族、そして聖職者のキャロルのような人物だけが、死刑が与える影響を語ることができると考えている。だからわれわれは事前に展開を組み立てるなんてことはしないんだ。本作はキャロルを中心に置いて、自然な流れで伝えられたストーリーなんだよ」と述べてくれた。

 撮影期間は2年間、彼らのこれまでのドキュメンタリー作品の撮影期間から比べると短いかもしれないが、魂揺さぶる力作であることは間違いない。(取材・文:細木信宏)

獄中を擬似体験 ワシントンに犯罪・刑罰博物館オープン

http://www.asahi.com/international/update/0524/TKY200805240111.html


【ワシントン=勝田敏彦】米国の犯罪の歴史を学び、最先端の捜査技術や刑罰・更生の仕組みを体験できる犯罪・刑罰博物館が23日、ワシントン中心部にオープンした。近くにある国際スパイ博物館などと並び、観光スポットとして人気を集めそうだ。


刑務所で、受刑者が隠し持っていたり、ひそかに作ったりした武器の数々。短銃もある=23日、ワシントン、勝田写す

文学や映画になった犯罪のコーナーでは、米映画「俺たちに明日はない」(67年)の撮影に使われた弾痕だらけの車も展示されている=23日、ワシントン、勝田写す

 拷問・刑罰史の展示をはじめ、容疑者の写真を撮影する施設や、本物と同じ刑務所の房、実際に死刑執行に使われた電気いすまであり、犯罪者になったときの扱いを知ることができる。

 殺人現場の検証を体験するコーナーや、実際の警察官の訓練に使われているパトカー運転シミュレーターなどで犯罪と闘う最新技術が学べるコーナーもある。

 博物館の運営には、6歳の息子が誘拐・殺害されたことを機に犯罪防止活動に力を入れているジョン・ウォルシュ氏が協力。同氏は、凶悪事件の解決につながる情報提供を呼びかける人気テレビ番組の司会者を務めている。

 広報担当者は「犯罪だけでなく、法執行・刑罰も一緒に学べるのはここだけです」。入場料は大人17.95ドル(約1860円)。


刑務所で、受刑者が隠し持っていたり、ひそかに作ったりした武器の数々。短銃もある=23日、ワシントン、勝田写す

.文学や映画になった犯罪のコーナーでは、米映画「俺たちに明日はない」(67年)の撮影に使われた弾痕だらけの車も展示されている=23日、ワシントン、勝田写す

最新記事【2008年05月22日】

記者の目:裁判員制度 記事にしなかった「裁判官の告白」

http://mainichi.jp/select/opinion/eye/news/20080522k0000m070156000c.html

 一般の人が重大事件の審理に参加する裁判員制度が来年5月にスタートする。刑事事件の裁判官は何に迷い、どう決断してきたのか。それが知りたくて、連載「正義のかたち-裁判官の告白」(3月)で、取材班の一員として20人余りの元裁判官に話を聞いた。

 「殺人事件で誤判をしたが、結果的には良かった」

 ある元裁判官はそう告白した。記事化しなかったが、実は一番心に残った取材だった。半世紀以上前、惨劇は3世代が同居する農家で起きた。酒癖の悪かった息子を棒で殴り殺したとして、年老いた父親が逮捕された。素直に罪を認め、執行猶予付きの有罪判決が出ると法廷で泣いた。

 ところが確定後、「本当は中学生の孫の身代わりになった」と、元裁判官は家族の事情をよく知る人物から聞かされる。衝撃を受けたが、「事実」と直感したという。息子が死んで家庭は平和になり、誰も刑務所に行かずに済んだ。元裁判官は、結果的に良かったと信じることで、「事実」を封印した。ただ、中学生の孫がどう成長したのか。ずっと気にしてきたという。

 私は、既に70歳を超えた孫を訪ねた。表札には妻と子どもの名前。新しい家族の営みがあった。意を決して声を掛けると、玄関先に現れた白髪の男性は丁寧に応対してくれた。事件の話を切り出したが肝心な点を聞けず、逃げるように帰った。

 それから4日後の2回目の訪問。男性は農作業の手を休めて、「裁判で決まったことが真実。孫や子もいて平和に暮らしている」と語り、「身代わり」を否定した。

 元裁判官の話が正しければ、孫は罪と向き合わずに生きてきたことになる。だから、私は訪問前、孫が道を踏み外していることをどこかで期待した。しかし、目の前の男性は、働き者で穏やかに暮らしてきたように見えた。私が報告すると、元裁判官は「罪を償わなかったことが、かえって重荷になっていないか気がかりでした。聞いて安心しました」と話した。

 真相は分からない。もし裁かれていたら、孫はその後どうなっていたか。すべてが丸く収まればいいのなら、裁判は一体何のためにあるのか。何が正義なのか。はっきりしたのは、判決が終わりではないということ。そして、人を裁くとは、それほど重い行為だということだ。

 死刑事件なら、なおさらそうだろう。静岡県で66年に一家4人が殺害された事件で、無罪を主張する袴田巌(はかまだいわお)死刑囚(72)=第2次再審請求中=に、68年に1審で死刑判決を書いた熊本(典道のりみち)さん(70)は昨年3月、「無罪の心証だった」と当時の自身の気持ちを公表した。

 熊本さんは他に数件の死刑判決を出したが、判決後に拘置所を回り、被告らを訪ね歩いた。「本当にやったのか。本人は納得しているのか確かめたかった」からだ。全員が罪を認め、死刑を受け入れていた。それで胸のつかえがとれたという。

 袴田死刑囚のことは40年たっても頭から離れなかったという熊本さん。「冤罪(えんざい)で死刑になれば、(国による)新たな殺人に手を貸すことになる」。命の重さを考え、あえて評議の秘密を明かしたのだった。判決を出して、なおその決断が正しかったのか悩む裁判官の姿が浮かんでくる。

 真相に争いがなくても、刑として死刑とするか、無期懲役とするか。この選択も大変だ。19歳だった68年に4人を射殺した永山則夫元死刑囚(97年執行)の事件。79年の1審で死刑判決を言い渡した時の3人の裁判官の一人だった(豊吉とよし)彬弁護士(78)は、連載で取り上げたように「死刑と無期では差がありすぎる。もし制度があれば、終身刑を選択した」と振り返った。

 事件では、83年の最高裁判決が、死刑適用に当たり、事件の罪質や事件の態様、結果の重大性(特に殺害された被害者の数)、被告の年齢などを総合的に判断するとした「永山基準」を示した。そして、無期懲役から一転して、少年に死刑を言い渡した山口県光市の母子殺害事件に対する4月の差し戻し控訴審判決。永山基準に照らして、死刑判決のハードルを下げたとの見方もある。しかし、事件は千差万別だ。私は一定の基準で死刑判断ができるものではないと考えている。

 「死刑判決を出すのに迷いがない方が怖い」。取材に応じた元裁判官たちの言葉だ。裁判員制度が始まれば、裁判員も、死刑か無期懲役かの選択を迫られることになる。裁判員は大いに迷って結論を出してほしい。これを機に、死刑制度存廃の議論が高まっていくことも期待したい。

毎日新聞 2008年5月22日 0時16分

最新記事【2008年05月21日】

量刑判断が素人にできるか。裁判員は世間の感情に悪のりした制度である

http://www.bitway.ne.jp/bunshun/ronten/ocn/sample/ron/08/005/r08005BNA1.html

あらしやま・こうざぶろう

嵐山光三郎 (作家)

仕立屋が手術にかり出されるようなもの

 裁判員制度は「市民の司法参加」というお題目で政府がPRするけれども、ようするに、お上が「一般国民にも裁判官をやらせてやるから、おまえら、指名されたら断るんじゃないぞ。断ったら罰金だ」といっている。裁判官の徴兵制というべき制度である。

 私が裁判員に指名されたら、国外逃亡するしかない。真剣にそう考えている。ほとんどの国民は裁判の素人であって、他人を裁くことはできない。

「人を裁く」という行為を、感情を入れずに客観的に実行するのが裁判官で、裁判のキャリアをつんでいない人に判決を下すことはできない。

 私が裁判員ならば、有罪を示すデータを検察官に出されれば、もとよりカッとくる性格だから、「とんでもねえ野郎だな。こんな凶悪犯人は死刑にしちまえ」と思うだろう。

 最近の殺人事件は、テレビのニュースをきいただけで頭に血がのぼる凶悪なものが多く、「こいつは死刑だ」と予測する。けれど、死刑にされて当然と思う人が無期懲役になると、なんとなく腹だたしい。裁判員制度が世に出てきたのは、そういった世間の感情に悪のりしている。

 いかなる凶悪殺人犯であっても、殺したほうにもそれなりの背景があって、その事情を弁護士が弁護する。告発する側と弁護する側がいて、双方の言い分をきいて、最終的に判決を下す。

 これは経験をつんだ法知識のある職業裁判官でなければ、できることではない。素人には量刑の判断が不可能で、あてずっぽうの市民感覚ではきめられない。懲役三年と一〇年と二〇年はどこが違うのか。無期懲役と死刑の判断はどこにあるのか、わからない。これは職業裁判官も同様であって、過去の量刑相場が判断の基準になる。職業裁判官は、過去の量刑相場(アンチョコ)に従って判決という答えを出す。

 私は、情にもろい人間でもあるから、弁護士の弁護をきいているうち、「なるほど、気の毒な生いたちで、今回に限り無罪放免にしてやりたいなあ」と同情する。さきほどまで「死刑にしろ」と考えていたのに、コロリと変わってしまう。

 そうこうするうち、どう判断したらいいかわからなくなる。だけど、一週間そこらで判決を出さなければならない。迷っているうち、職業裁判官に誘導されて、「まあ、過去の判例ではこんなところでしょう」といわれて、それに従う。

 なにもわからぬ素人が、プロのいいなりになって、判決を下すことになる。洋服の仕立屋がガンの手術にかり出されるようなものだ。


素人に死刑宣告されて冤罪だったらどうする

 私は、自分が正しい生き方をしているという自覚がない。法に従って犯罪者にならぬよう努めているが、あとは自分でやりたいようにやり、他者から「とんでもない野郎だ」と思われるように生きている。意図的にグレている。したがって、他者に無期懲役や死刑を宣告する資格も権利もない。

 なにより恐ろしいのは冤罪である。無実の人に罪をきせるなんてことはできない。裁判員制度は、裁判員に指名された素人が、冤罪に加担する危険性をはらんでいる。

 あるいは、私がなんらかの事情で殺人事件にかかわり、誤認逮捕された、とする。検察官に起訴されて裁判となる。

 そのときの裁判官に、裁判員制度によって選ばれた素人が入っていると、不安である。素人裁判官に死刑を宣言されれば、死にきれない。被告の立場からすればきちんとした職業裁判官に判決を下していただきたい。誤認逮捕であっても、裁判官様ならば、きちんと公平にきいてくれるだろう、という期待がある。

 三権分立で、司法は、行政、立法より独立している、というくらい、殺人容疑者だってわかっている。その漠然とした期待を裏切るのがこの制度である。素人の裁判官に判決を下されるのは秘密警察下の裁判に通じる。

 冤罪を作り出す側に回るのが怖いし、冤罪の被害者になるのも怖い。

 裁判員は二〇歳以上の日本国民を対象とする。市町村の選挙人名簿からくじで選び、地方裁判所が候補者に通知する。

 ある日突然、国が「裁判員になれ」と指名するのである。いやだといっても断ることができない。

 例外的に辞退できるのは、七〇歳以上の者、重い疾病や傷害で出頭が難しい者、介護養育が必要な同居の親族がいる者、処理しなければ事業に著しい損害が発生するおそれがある用件がある者、父母の葬式への出席など日にちを変えられない者、などである。

 ここでは「やりたくない」は辞退理由にならない。総動員方式だから例外は認められず、「人を裁く自信がない」といっても辞退はできない。辞退は原則禁止である。

 理由なく出頭しなければ一〇万円以下の過料(行政罰)。「いやだ」といって無視すれば罰金をとられる。ひとことでいえば、裁判員という赤紙だ。


強制的に指名しておいて他言無用はないだろう

 裁判員は、裁判の評議について守秘義務を負う。裁判員が評議の秘密を漏らしたときは六カ月以下の懲役刑か五〇万円以下の罰金刑に処せられる。

 人を強制的に裁判員に指名しておいて、他言無用はないだろう。うっかり話すと処罰される。

 私が裁判員にしょっぴかれれば、その評議の内容を書く。書かなくても、「どうでしたか」と人に訊かれれば話すだろう。体験したことを書くのが私の商売である。

「いやだ」という人間を無理やり裁判員として駆りだし、その評議の様子をしゃべると、こちらが犯罪者となる。めちゃくちゃだ。警察に逮捕されて、取り調べの様子を話したって、そのことじたいは犯罪にならない。これは憲法で保障された「表現の自由」である。

 刑罰をもって人の口を封じるは、専制国家のやりくちだ。「被告人の殺意の有無が評議で議論になった」といっても、罪に問われる。

 裁判員が評議するのは、殺人などの重大事件に限られる。職業裁判官三人と裁判員六人で評議するのが基本だが、どの証拠を調べるかは、裁判員が参加する前に、裁判官だけで決めてしまう。

 評決まで最長一週間程度。評決の内容は夫婦間でも漏らすと懲役刑になる。


国会議員は誰でもなれるが裁判官は違う

 時代が一世紀昔に戻っためちゃくちゃな制度だが、こんな制度が、二〇〇九年(平成二一年)五月からスタートするのである。

 あまりのひどさに、日本新聞協会は、二〇〇四年四月二日に、政府の案を修正する声明を出した。憲法が保障する「表現の自由」を制限し、報道、取材が制約され、国民の知る権利が害される、からである。

 日本雑誌協会も、〇四年四月二三日、反対の抗議声明を出した。あまりに拙速な審議できめて、その内容が重大なメディア規制につながるためだ。日本雑誌協会の抗議声明は、

(1)国民に裁判員参加を義務づけるのは、個人の尊重と幸福追求を保障した憲法一三条、思想良心の自由を保障した憲法一九条、信教の自由を保障した二〇条に違反する。被告人の立場からは、公平な裁判を受ける権利を保障した三七条に違反する。

(2)裁判官三人、裁判員六人では、公正な判断の最低基準も満たされない。

(3)自分の意見をメディアに訴える裁判員がいるときに、その取材を一切禁じる規制が問題だ。アポなし直撃取材が多い雑誌メディアは威迫罪成立の危険にさらされる。

(4)生涯にわたる評議の秘密保持と、裁判員選定過程に無理がある。報道のため、さまざまの関係者に接触を試みることがメディアの使命であり、裁判員法はメディアに対する規制そのものである。

 日本新聞協会、日本雑誌協会のメディアが反対声明を出しても、お上は、この悪法を強行しようとしている。この法案は国会の審議が信じられないほど短く、ほとんどの人にとって、「寝耳に水」であった。

 小泉内閣は、小泉チルドレンを大量に誕生させて、だれでも国会議員になれることがわかったが、裁判官はそうはいきません。

量刑議連発足、終身刑の早期創設へ 「事実上の死刑廃止」と保守派は反発

http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/080515/stt0805152254007-n1.htm

 「終身刑」創設を目指す超党派議連「量刑制度を考える超党派の会」(会長・加藤紘一元自民党幹事長)が15日、国会内で総会を開き、正式に発足した。最高顧問に森喜朗元首相、副会長に鳩山由紀夫民主党幹事長、亀井静香国民新党代表代行らが並ぶ“豪華”な顔ぶれで議員立法による早期の刑法改正を目指す。ただ、保守勢力は「終身刑創設は事実上の死刑制度廃止だ」と神経をとがらせており、賛否をめぐり激しい論争となる可能性もある。(加納宏幸)

 総会には与野党の国会議員55人が出席した。週1回ペースで会合を開き、終身刑導入を軸に量刑制度を議論し、今国会中に法案骨子をまとめる方針だ。

 発起人であり、死刑制度廃止論者で知られる亀井氏は、来年5月に裁判員制度が導入されることに触れ、「ずぶの素人が3日間で結論を出し、死刑を言い渡す制度が始まる。われわれは待ったなしの責任を負っている」と熱弁を振るった。

 ところが、弁護士出身の丸山和也参院議員は「国家が死を命じるということを離れては深い議論はできない」と述べ、死刑制度を正面から議論すべきだと主張。一方、共産、社民両党の議員らは死刑廃止に言及した。

 一連の発言に、議連の仕掛け人である加藤氏は渋い表情を浮かべた。自民党には死刑廃止論へのアレルギーが強い。無期懲役と死刑のギャップを埋める手段として終身刑ならば賛同を得る可能性があるが、「死刑廃止」に踏み込めば、保守勢力が反対に転じ、議連が瓦解しかねないからだ。


議連の裏側では、法務官僚の暗躍も指摘される。裁判員制度が導入されれば、一般人が重要犯罪の量刑にもかかわることになる。「一般人に死刑判決の『踏み絵』を踏ませるのか」と制度の不備が社会問題化する可能性があるからだ。

 総会でも、法務省は諸外国の死刑制度や無期刑のあり方などに関する詳しいレジュメを用意し、担当者が熱心に説明した。死刑制度をめぐる刑法改正案を政府提出法案にすれば、与野党攻防の中で宙づりにされる可能性が高いが、「思想信条や宗教、信仰にかかわる問題」として与野党が党議拘束を外して採決に持ち込めばスムーズに刑法改正を果たせると踏んだようだ。

 議連発足と歩調をそろえるように、民主党は近く政策調査会に「刑罰のあり方検討PT」を発足させ、終身刑創設を議論する方針だ。

 だが、保守系議員は「量刑議連は死刑廃止運動の延長線にある」(閣僚経験者)と警戒を強めている。亀井氏が会長を務める超党派議連「死刑廃止推進議連」も4月の役員会で、終身刑創設などを盛り込んだ刑法改正案をまとめており、終身刑が死刑の大きな歯止めになることは間違いない。


 「死刑存続」派の自民党の中川昭一元政調会長は14日、法務関係に詳しい古屋圭司衆院議員に終身刑導入が現行刑法に与える影響を調査するように指示した。自らが主宰する「真・保守政策研究会」でも議題に取り上げ、場合によっては裁判員制度の見直しにも踏み込む考えを示している。

【断 中村文則】無期刑の無理解

http://sankei.jp.msn.com/culture/academic/080511/acd0805110203002-n1.htm

2008.5.11 02:02

 無期懲役という刑は、色々誤解がある。仮釈放で十数年で出てくる、なんて言葉をよく聞くが、実際はそんな簡単に出てこられるものではない。

 平成18年、無期刑受刑者で新たに仮釈放になったのは3人。その平均は約25年ということだ。だがこういう情報も、無期懲役を語る上で正確ではない。なぜならそれは「仮釈放が認められ、出てきた人」の平均年数であって、それは無期懲役そのものの平均にはならない。40年以上、50年以上、そのまま獄死の場合もある。

 ちなみに外国にある「終身刑」も、よく誤解される。名前は「終身刑」であるが、多くが仮釈放が認められている。仮釈放のない終身刑を採用している国は、意外にもそれほど多くない。

 なぜ無期懲役が十数年で出られる、という言葉が広まっているのだろう。刑期が10年経てば仮釈放を許可できると法にあるが、過剰な表現に走りがちなテレビ報道に加え、無期懲役の実情が社会に詳しく知らされず、年数が曖昧(あいまい)な性質を帯びていることも大きい。

 無期懲役と判決が出た裁判は国民に開かれているが、その後の無期懲役の運営に関しては、それほど開かれていない。多くの国民は無期懲役の内実も知らないまま、裁判員制度を迎える。これで本当に大丈夫だろうか。

 僕は、刑務所がどういうところか、学校で教える必要があると思っている。受刑者の現状と償いの話を、学校で聞かせることも必要だと思う。刑罰がベールに包まれていれば、それは抑止としても成り立ち難い。(作家)

死刑めぐる鳩山法相の国会答弁、EUが異例の抗議文

http://www.asahi.com/politics/update/0516/TKY200805160257.html

 鳩山法相が4月の国会答弁で、欧州連合(EU)が死刑制度への持論に理解を示してくれたと説明したことに対し、駐日欧州委員会代表部が「われわれが鳩山法相に伝えたことを国会答弁は反映していない」として、法相に異例の抗議文を送ったことがわかった。法務省は「大臣は実際にあった発言を答弁しただけだ。事実を曲げたようなことはない」と反論している。

 鳩山法相は4月11日の国会答弁で、同月8日にEU27カ国の大使を前に都内で講演した際の質疑に触れ、「冤罪による死刑だけはないようにというのが、彼らから言われた唯一の意見だった」などと発言した。

 この答弁に対し、EU側の5月15日付の抗議文は「EUはいかなる場合の、いかなる状況での死刑にも反対している。大臣答弁の解釈は、先日大臣に伝えた加盟国の死刑に対する立場を反映したものとは言えない」と批判した。

 死刑制度をめぐっては、昨年12月の国連総会決議で、死刑執行停止を求める決議が初めて可決されており、EUは共同提案者となっている。(市川美亜子)

裁判員に選択の幅 「終身刑」議連創設の狙いは 加藤紘一会長に聞く

http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/22963

2008年5月17日 02:43 カテゴリー:政治


 15日に発足した議員連盟「量刑制度を考える超党派の会」の加藤紘一会長(自民党元幹事長)が16日、西日本新聞のインタビューに応じた。死刑と無期懲役との量刑ギャップを埋める「終身刑」創設を念頭に置いた同議連の狙いや今後の見通しを聞いた。 (東京報道部・相本康一)

■前例主義に冤罪ないか

 ‐議連発足の経緯は。

 「(死刑制度廃止議員連盟の)亀井静香氏(国民新党)らと議論し、まずはギャップを解消するために終身刑創設を目指すことにした。4月下旬から党内に声をかけ始めたところ、打てば響くように3日間で十数人が発起人となってくれた」

 ‐15日の初会合には代理を含め100人が出席した。有力議員も多い。

 「理由の7割は裁判員制度への懸念。山口県光市の母子殺害事件も念頭にあったと思う。有罪か無罪かだけを決める諸外国と違い、日本の裁判員制度は量刑まで決める。国民の気持ちに合わせ、選択肢の幅を広げないといけないと、みんな考えていた。死刑廃止は賛成できないという議員も多い。死刑存廃は議論しないのがポイントだ」

 ‐自身は死刑廃止の立場だが。

 「日本は有罪率99.9%だが、無実の人もいるのではないか。それと大学時代に刑法の教授だった団藤重光氏の存在がある。最高裁判事時代、死刑判決を確定させた際に傍聴席から『人殺し』と叫ばれた経験から、彼は『裁判員制度を導入するなら死刑は廃止せよ』と主張している。人が人の命を裁けるのか、と」

 ‐世論の8割以上は死刑を容認している。

 「選挙区に帰ったら『なぜ死刑廃止なのか』と言われる。現実的に廃止は難しい。突然駅のホームから人を突き飛ばすような事件をみれば、厳罰化の気持ちにもなる」

 「ただ(鳩山邦夫法相発言のように)ベルトコンベヤーのように執行しちゃいけない。アウシュビッツじゃあるまいし」

 ‐議論の見通しは。

 「7割方は終身刑創設の流れだ。関連法案が40近くある。夏休み中に役人に準備してもらい、秋の臨時国会をにらみ、臓器移植法のように党議拘束なしの超党派による議員立法でいきたい」

 「日本社会の『権威』は次々とつぶれてきた。自民党保守政治、中央官庁、マスコミもしかり。残されたのはマーケットメカニズムと司法。検察は国策捜査だとか批判されている一方、裁判官の前例にとらわれた機械的な判断に冤罪(えんざい)が潜んでいるのではないか。刑事司法をめぐる議論に一石を投じられればいい」

 ‐法務省は慎重だ。

 「私には何も言ってこない。亀井氏が『おい法務省、われわれの動きをつぶすために省を挙げて根回ししたら許さんぞ』とくぎを刺している」

 「衆院法務委の与野党理事は全員参加している。国会は機能してないので議連が審議する。たぶんうまくいくと思う」

=2008/05/17付 西日本新聞朝刊=

最新記事【2008年05月16日】

死刑執行の音声に反響 : TV

http://www.yomiuri.co.jp/entertainment/tv/20080513et02.htm?from=yoltop

4月29日のテレビ朝日「スーパーモーニング」では、死刑執行の様子を伝える音声テープの内容が放送された(放送映像より)

53年前の死刑執行を生々しく録音した音声が、テレビ朝日と文化放送で相次いで放送された。かつて大阪拘置所で録音されたテープの複製で、両局は「来年の裁判員制度の実施を前に、まず死刑の実情について広く知ってほしかった」と説明している。視聴者の反響はどうだったか。(森重達裕)

 テープは、死刑囚の処遇改善や刑務官・教誨(きょうかい)師への教育などを目的に、1955年2月、当時の大阪拘置所長が録音したもの。神戸で強盗事件を起こし、警察官をピストルで射殺した罪で死刑が確定した男性(当時38歳)が処刑される前後の様子が収録されている。録音は死刑囚には知らされなかったようだ。

 実は、同じテープの音声は94年6月にもTBSの報道番組「情報スペースJ」の中で、俳優による再現映像を交えて放送されている。番組を担当した石井千尋プロデューサーは「執行の瞬間の音を放送した時の視聴率が急激に跳ね上がった。情報がほとんど公開されない死刑の実態について、人々の関心の高さがうかがえた」と振り返る。

 そして今年、山口県光市の母子殺害事件の裁判で死刑判決が出た直後の4月29日、テレビ朝日が「スーパーモーニング」内で、このテープ音声を放送した。

 執行の瞬間の音声はカットされたが、テープの内容を元に、スタジオで法律家などが死刑制度の是非について討論。放送後、約50件の反響が電話などで寄せられた。テレビ朝日によると、音声は92年と2005年の2回、同局で放送されているという。

 同局は人気ドラマ「相棒」の最新シリーズでも、裁判員制度や冤罪(えんざい)の死刑囚をテーマにしたエピソードを積極的に扱っている。伊東仁プロデューサーは「死刑制度など社会性のある話を取り上げる場合は、フィクションとはいえ、下調べを十分にしてリアリティーを失わないよう努めている」と話す。

 文化放送は、スーパーモーニングで放送される前の4月15日、定例記者会見で「死刑執行の音声を5月6日に放送する」と発表。これが翌日の読売新聞などで大きく報道され、清水克彦編成部次長は「国内のほか、外国の報道機関からも取材申し込みが相次いだ」と反響の大きさに驚いたという。

 番組では「ナンマイダー、ナンマイダー……」と読経が流れる中、「ガターン」と刑壇の床板が落ちる瞬間などの音声を約7分間放送。併せて元刑務官や元検事へのインタビュー、死刑制度に対する街の声も紹介した。

 放送後の2日間で、同局にはメールや電話で約110件の反響があり、「死刑について詳しく知ることができた」という共感・賛同が7割、「死刑囚の権利ばかりが尊重され、犯罪被害者の声がなく公平性に欠ける」といった番組への批判・注文が2割寄せられた。清水部次長は「1年後には、誰もが裁判員として死刑判決を下す可能性がある。生々しい放送には批判もあるかもしれないが、死刑制度への賛否ではなく、問題提起として音声の放送は不可欠だった」と話す。

 死刑廃止を訴えるアムネスティ・インターナショナル日本の寺中誠・事務局長は「この音声の事例だけで一般化することはできないが、死刑執行の秘密主義に対して一石を投じた意味はあるだろう」と、放送の意義を評価している。

(2008年5月13日 読売新聞)

演劇:冤罪と裁判員テーマに 「砂喰社」オリジナル、あすから浜松で上演 /静岡

http://mainichi.jp/area/shizuoka/news/20080513ddlk22040223000c.html

◇袴田死刑囚モチーフに架空の時代

 ◇「誰もが当事者に、傍観は許されず」

 冤罪(えんざい)事件と裁判員制度をテーマにした演劇「真偽ノ解キ~改訂:裁判員制度」を、浜松市を拠点に活動する劇団「砂喰(すなくい)社」が14日から上演する。主宰者の松尾交子(ともこ)さん(36)は「誰もが当事者になり得る裁判員制度に興味を持つきっかけにしてほしい」と鑑賞を呼びかけている。

 来年5月から始まる裁判員制度と、無罪を主張して静岡地裁に第2次再審請求を申し立てている元プロボクサー、袴田巌死刑囚をモチーフにしている。「袴田さんのことは1年ほど前に知っただけだが、裁判員制度が始まると聞き、もう傍観者ではいられないと痛感した」と松尾さんは話す。

 台本はすべてオリジナルで、「改訂裁判員法」が適用されている「昭和89年」の日本社会が舞台だ。劇中では、6人中3人以上が有罪判決のボタンを押すと、それと同時に被告が死刑になることになっている。

 架空の時代を舞台にしたのは「これから始まる裁判員制度が良い、悪いではなく、根本的に人が人を裁くとはどういうことかに焦点を当てたかったから」と松尾さん。

 劇団員も昨年夏ごろから勉強会を開き、議論を重ねた。裁判員役を演じる小笠原大亮さん(23)は「それまでは『裁判になるくらいだから被告は有罪だろう』という思い込みがあった」という。だが、勉強会や演劇の練習を重ねるうちに考えが変わった。「この舞台を見てくれれば、自分と同じような思い込みを持った人も真剣に考えてくれるのでは」と期待している。

 会場は浜松市中区領家のスペースCOA。14日と16日が午後8時から、17日が午後3時と同7時、18日が午後3時からの計5公演。入場料は大人当日1500円、高校生以下同900円。31日と来月1日には東京でも上演する。問い合わせは松尾さん(090・9126・5854)。【平林由梨】

毎日新聞 2008年5月13日 地方版

最新記事【2008年05月11日】

日本キリスト教協議会、死刑執行に対する抗議声明を発表

http://christiantoday.co.jp/main/society-news-720.html

2008年05月10日


 日本キリスト教協議会(NCC)は1日、東京拘置所に拘留されていた死刑囚4人の死刑が先月10日、鳩山邦夫法務大臣の命令によって執行されたことに対して、抗議する声明を同協議会のホームページ上で公開した。



 同協議会は声明で、「他者のいのちを奪う過ちを仮に犯してしまったとしても、そこには死刑を確定させられた者が背負わされてきた、また背負ってこざるを得なかった『痛み、苦しみ、存在価値の否定、関係づくりの拒絶』といった被害体験が必ず含まれている」と主張。加害の事実とともに、加害者が受けた被害体験についても公にし、「癒していく時と場」が必要だとした。



 また、被害者遺族の加害者へ対する怒りは当然だとしつつも、加害者に最も求められることは、いのちを奪ったことに対する誠実な応答を含む「真の謝罪」だとし、「加害者がいのちを奪う道になぜ巻き込まれてしまったのか」を伝え合う場の必要性を訴えた。



 日本の死刑制度については9日、国連人権理事会による初の対日定期審査が実施され、欧州諸国を中心に12カ国が日本に対して死刑執行停止や死刑制度の廃止を求めた。特に、昨年12月に国連総会で死刑執行の一時停止を求める決議が採択されたにもかかわらず、日本で死刑執行が増加していることについて説明を求める声が上がった。



 これに対して日本外務省の秋元義孝審議官は「国民の多数が、悪質な犯罪については死刑もやむをえないと考えている」と説明。死刑制度の存続については、各国が独自に判断するべきだという立場を示している。

「死刑になりたい」無差別犯罪なぜ

http://www.asahi.com/national/update/0510/TKY200805090295.html

「死刑になりたい」。こんな動機で、見知らぬ人を襲う容疑者が相次いでいる。茨城県で3月に男が駅周辺で8人を殺傷した事件、鹿児島県で4月に自衛官がタクシー運転手を殺した事件……。犯罪を抑える狙いの死刑制度が、逆に凶行を誘発していることになるが、それはなぜか。識者の見方も割れる。(本山秀樹)


  

 茨城県土浦市のJR荒川沖駅の8人殺傷事件。逮捕された無職金川真大容疑者(24)は、調べに対して「自殺するのは痛いから嫌だった。複数殺せば死刑になれると思った」と供述したという。鹿児島県姶良(あいら)町のタクシー運転手殺害事件で、陸上自衛隊員の少年(19)も「人を殺して死刑になりたかった」と県警に話したという。

 さらには、2月に東京都新宿区にある神社のトイレでタクシー運転手の頭を金づちで殴ったとして殺人未遂容疑で逮捕された無職の男(31)も、昨年9月に広島・平和記念公園で男性を刺殺したとされる無職男(63)も「死刑になりたい」と動機を語ったとされる。

 いずれも容疑者たちは「死にたいが死にきれなかった」などとも供述したという。特定の人に殺意を抱いたわけではなく、死刑制度を使って間接的に自殺を図ったというわけだ。

 精神医学の世界では、他人の力を借りて自らを死に追いやることを「間接自殺」と呼ぶという。教義で自殺を禁じているキリスト教圏では当てはまるケースが多いが、日本では珍しいとされてきた。

 犯罪精神医学が専門の影山任佐(じんすけ)・東京工業大教授は「『死刑になりたい』との動機が日本で目立つようになったのは、自殺の多さと無関係ではないだろう」と指摘する。

 警察庁の統計では、06年の自殺者は全国で3万2155人。9年連続で3万人を超えている。影山教授は「自殺を願う人は生命を尊重する心に欠ける。だから、他人を巻き添えにした間接自殺が起こり得る」という。

 同教授は「死刑執行や死刑判決が大きく報じられ、『殺せば死ねる』との学習効果で犯行が引き起こされている可能性がある」とも分析。「国として自殺対策に本気で取り組むことが必要だ」と説く。

 一方で、「間接自殺は昔からあった」と言うのは、刑法専攻の椎橋隆幸・中央大教授だ。「警察が公表し、報道されることで、増えているような印象を持つのではないか」と指摘。死刑制度を存続すべきだという立場に立つ椎橋教授は「死刑制度は罪と罰を均衡させ、社会の正義を守る観点で必要だ。死刑が動機の事件が起きたから死刑を廃止すべきだという主張があるなら、乱暴な議論だ」と話す。

 難しいのは、容疑者の死刑願望がどこまで固いものなのかの判断だ。実際、逮捕時には願望を口にしながら、その後の供述が一貫せず、精神鑑定を受ける例も少なくないという。こうした捜査を指揮する立場にある警視庁幹部の一人は「心の病の増加を踏まえた、総合的な刑事政策、精神保健政策が求められているのは間違いない」と言っている。

最新記事【2008年05月10日】

国連人権理が初の対日審査、12カ国が死刑制度廃止など求める

http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080510AT1G1000T10052008.html

 【ジュネーブ=市村孝二巳】国連人権理事会は9日、初の対日定期審査を実施した。国連加盟国による相互監視の枠組みに基づき、欧州を中心に12カ国が日本に死刑執行停止や死刑制度の廃止などを求めたほか、警察署の留置場を拘置所の代わりに使う代用監獄問題や従軍慰安婦問題などに関する日本政府の姿勢を問いただすなど、人権状況の改善を求めた。

 今年から始まった国連人権理の定期審査は4年に1回の頻度で全加盟国を対象に実施する制度。昨年12月の国連総会で死刑執行の一時停止を加盟国に求める決議が採択されたにもかかわらず、日本での死刑執行が増えている状況を踏まえ、死刑制度廃止を訴える英仏などが説明を求めた。

 日本政府は「国民世論の多数が極めて悪質な犯罪については死刑もやむを得ないと考えている」と指摘。「国連総会決議の採択を受けて死刑執行の猶予、死刑の廃止を行うことは考えていない」との立場を表明した。人権理は14日に今回の審査報告をまとめる。 (20:36)

文化放送が特番『死刑執行』 実情知り『存廃』議論を

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2008050890070623.html

2008年5月8日 07時07分

 大型連休最終日の六日朝、死刑が執行される瞬間の音声がラジオから流れた。文化放送の特別番組「死刑執行」。昭和三十年代、大阪拘置所で刑務官の教育や死刑囚の待遇改善のために録音されたものを、同局が「死刑の実態を伝えるため」に放送した。局に届いたリスナーの声に不快感を訴えるものはなく、番組内容に対する否定意見も「二割弱」(同局)だったという。制作した元同局記者、植松敬子さん(38)=旭川医科大四年=に思いを聞いた。

 「裁判員制度が始まり、誰もが死刑判決にかかわる時代が来る。(それなのに)人々がいかに死刑について知らないか。『知った上で賛否を議論しようよ』というメッセージを送りたかった」。植松さんは企画意図をこう語る。

 植松さんが死刑に関心を持ったのは文化放送に勤務していた一九九七年。永山則夫死刑囚の死刑執行を報じる新聞記事がきっかけだった。今回放送したテープを入手したのは、その年の秋。執行の内容や刑務官らの抱える苦悩など、全く知らなかった世界に驚いたという。「(死刑に携わる人々の)コメントは自らの経験に基づいた深い結論。その深さに強くひかれ、いつか世に出したいと思った」

 取材に費やした時間は約五年。その間に異動、退職、医学部進学と、自身の人生も大きく揺れ動いた。

     ◇

 植松さんの長年の夢は「医師」だった。しかし医大受験に失敗。農学部に進学し、就職先は「地道な研究職より広い世界が見たい」と同局を選んだ。報道局には通算約九年在籍。薬害エイズ問題報道などに取り組んだ。

 そんな中、ともに別の番組を作った友人の女性をがんで失う。三十一歳の若さで逝った友人に、少女時代に白血病患者の闘病記を読んで衝撃を受けた記憶が重なり、医師の夢が再び頭をもたげた。在職しながら勉強し、二年がかりで旭川医科大学に合格。二〇〇五年三月に退社した。

 ただ、死刑をテーマにした番組を放送できなかったことがずっと心残りだったといい、裁判員制度の開始が迫ってきた今春、「今こそ番組にすべきだ」と一念発起。春休みの三週間、編集にあたり、古巣の同局に持ち込んだ。

 「死刑の方法や法相によって執行人数が異なること、長期間死刑囚に接する刑務官に執行させることの是非など問題点も多い」と指摘する植松さん。自身は「あえて言えば“消極的な”存置論者」なのだという。「犯人に死刑を望むであろう自分がいて、声高に廃止と叫べない。今も揺れ動いているし、悩んでいるんですけど」

■テレ朝でも先月放送

 文化放送が放送したテープは、テレビ朝日も先月二十九日の「スーパーモーニング」で流していた。テレ朝は執行の瞬間は流さなかったが、死刑への賛否をめぐる討論部分を含めたコーナーを約五十分間にわたって放送した。

 同番組では十分程度のテープの音声に加え、死刑囚を見守った教戒師の遺族、日本弁護士連合会「死刑執行停止実現委員会」の弁護士や刑場を視察した衆院議員、再審無罪となった元死刑囚・免田栄さんのインタビュー(90年代に収録)などを交えた。スタジオでは死刑廃止派の作家・若一光司氏や存置派の大沢孝征弁護士らが議論した。

 視聴率はスタジオでの議論が始まった部分が最も高く、瞬間最高で10・6%(番組全体では平均8・4%)を記録した。

■番組内容

 文化放送の「死刑執行」は午前十時から約五十五分間、CMなしで放送された。

 番組は、「死刑方法を知っているか」「裁判員として死刑判決を下せるか」などの一般市民への質問や、ノンフィクション作家・大塚公子さん、元刑務官らによる死刑の実態の説明に、大阪拘置所での録音を交えた構成。冒頭、死刑について知ってもらい、意識を喚起する意図で放送すること、衝撃的な音声が含まれていることを留意した上で聞いてほしいと説明が入った。

 番組で使われた拘置所での録音は、泣きじゃくる女性の声に「笑って別れましょうよ」との男性の声がかぶる死刑囚と姉との最後の面談場面や、当日、刑場に向かう足音など。

 執行の瞬間は番組の最後。読経が流れる中、踏み板が開いたとみられる「ダン、ダーン」という音が響く。わずかな時間を置いて「南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)」を唱える声。医官の「刑執行二時五十九分 刑終了三時十三分二秒 所要時間十四分二秒 終わり」で、本編は終わった。

(東京新聞)

終身刑:創設目指す超党派議連の準備会合に35人参加

http://mainichi.jp/select/seiji/news/20080509k0000m010056000c.html

超党派の議員連盟「量刑制度を考える会(仮称)」の準備会合であいさつする亀井静香・国民新党代表代行ら(中央)=国会内で8日田所柳子撮影


仮釈放のない「終身刑」創設を目指す超党派の議員連盟「量刑制度を考える会(仮称)」の準備会合が8日、国会内で開かれ、与野党6党から35人が参加した。月内に正式発足する。裁判員制度スタートを1年後に控え、新たな量刑のあり方を検討し、年内にも議員立法による刑法改正案の取りまとめを目指す。

 準備会合には▽自民党の森喜朗元首相▽加藤紘一元幹事長▽民主党の鳩山由紀夫幹事長▽公明党の浜四津敏子代表代行▽国民新党の亀井静香代表代行らが出席した。加藤氏と亀井氏は「死刑廃止推進議員連盟」のメンバー。一方、鳩山氏は死刑制度存置の立場だ。

 現行法では、死刑に次いで重い刑が無期懲役となっている。死刑廃止派は、仮釈放のある無期懲役より重い「終身刑」を創設することで死刑廃止の足がかりになると判断。存置派は、仮釈放のある無期懲役より重い刑罰の必要性を唱える立場から、議連に参加した。

 議連の会長に就任した加藤氏はあいさつで「裁判員制度では一般市民が重大事件の量刑についてどこまで判断できるかが課題になる」と指摘。新たな量刑制度について議論する必要性を強調した。【田所柳子】

毎日新聞 2008年5月8日 19時58分(最終更新 5月8日 20時31分)

最新記事【2008年05月09日】

文化放送「死刑執行」テープ放送…賛同6割、批判2割

http://www.sanspo.com/shakai/top/sha200805/sha2008050709.html

 AMラジオの文化放送(東京)は6日、報道特別番組「死刑執行」(前10・0)で実際に死刑が執行された瞬間が録音されたテープを放送した。同局によると放送終了後の午後2時までに、リスナーから賛否両論の反響計86件が寄せられた。

 テープは大阪拘置所が刑務官の教育や死刑囚の待遇改善を目的に昭和30年に作成。死刑囚が面会に来た姉に「もう泣かないで、笑って別れましょう」と語りかけたり、執行直前に刑務官からたばこをすすめられ談笑するやり取り、読経の中で床板が外れロープがきしむ音などが放送された。

 約55分間の番組では、冒頭に「死刑執行時の衝撃的な音声が放送されます」と説明。元刑務官や元検事のインタビューも紹介、死刑囚の氏名は伏せられた。

 計86件の反響のうち、番組内容への共感・賛同は約6割。「死刑について考える良い機会になった」「裁判員制度を前に意義は大きい」などと評価する意見があった。

 一方で「死刑囚の権利ばかり尊重されていると感じた」「一番重要な犯罪被害者の声がない。公平性に欠ける」など批判や注文も約2割あった。

米国:8カ月ぶりに死刑再開

http://mainichi.jp/select/world/news/20080508k0000m040127000c.html

 【ニューヨーク小倉孝保】米南部ジョージア州当局は6日、20年前に当時26歳の女性を誘拐して殺害した罪で死刑が確定していたウィリアム・アール・リンド死刑囚(53)に対し、薬物注射による死刑を執行した。連邦最高裁が薬物注射による死刑執行を合憲と判断した先月16日以来、米国で死刑が執行されたのは初めてで、昨年9月以降、一時中断していた米国の死刑執行が再開された。

最新記事【2008年05月07日】

裁判員制度最高裁制作のPR映画「審理」上映、市民130人学ぶ : 福岡

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/fukuoka/news/20080502-OYT8T00750.htm

来年5月から始まる裁判員制度に対する理解を深めてもらおうと、最高裁が制作したPR映画「審理」の上映会が2日、福岡地裁で開かれた。約130人の市民が参加した。

 映画は、殺人事件の裁判で、女優の酒井法子さんらが演じる裁判員が、裁判官とともに評議し、量刑を決めるという内容。上映後、林秀文・同地裁裁判官が、裁判員制度の対象となるのは殺人や危険運転致死、現住建造物等放火などの重大事件で、県内では年間約145件が対象となる見込みで、裁判員と補充裁判員は1160人ほどが必要になると説明。「裁判員が1人で問題を抱え込むことはありません。裁判官3人と裁判員6人でチームを作り、9人で充実した意見交換をして結論を出します」と述べた。

 参加者は「5対4の小差で死刑が決まることもあるのか」「控訴審も同じ裁判員で評議するのか」などと質問。林裁判官は「法律では多数決で決めることになっている。死刑が求刑されているような事件では、慎重に時間をかけて評議し、議論をし残すようなことがないように努めたい」「控訴審は裁判員制度の対象外」などと答えた。

(2008年5月3日 読売新聞)

死刑の瞬間を放送=53年前の録音-文化放送

http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2008050600199

AMラジオの文化放送(東京)は6日の報道特別番組「死刑執行」で、53年前に執行された死刑の瞬間が録音されたテープを放送した。

 テープは大阪拘置所長だった故玉井策郎氏が、死刑囚の処遇改善などのため1955年に録音。約55分間の番組では、死刑囚の氏名は伏せられ、執行2日前に面会した姉との会話や絞首刑執行時の音などが約10分間放送された。

 死刑囚は姉に「泣かないで、笑って別れましょう」と語り、執行直前には刑務官と談笑。読経が響く中、刑場の床板が外れる音が放送された。

特集 あなたも死刑判決を書かされる―21世紀の徴兵制・裁判員制度(あなたも死刑判決を書かされる―21世紀の徴兵制・裁判員制度/国家と死刑と戦争と ほか)/

特集2 光市裁判・弁護人の主張(光市事件Q&A/光市事件弁護人更新意見陳述)/

特集3 死刑判決の乱造・死刑執行の乱発(大量執行時代の幕開け―杉浦‐長勢‐鳩山法相の流れを読む/2006年クリスマスの執行 ほか)/

死刑をめぐる状況 2006~2007(奥西勝さんに再審開始取消の不当決定―名張毒ぶどう酒事件第7次再審異議審/新法下の死刑確定者処遇 ほか)

死刑賛成派も反対派も「終身刑を」 超党派で議連発足へ

http://www.asahi.com/politics/update/0503/TKY200805020345.html

2008年05月03日03時04分

 仮釈放のない「終身刑」の創設を目指して、死刑制度の存置派と廃止派の国会議員がともに、超党派の議員連盟を結成することになった。来年から始まる裁判員制度を前に、死刑判決の増加への懸念から終身刑の創設を目指す廃止側と、死刑の下に無期懲役より重い「中間刑」をつくりたい存置側が結びついた。存廃議論を切り離したことで、法案提出に向けて議論が高まる可能性が出てきた。

 新たな議員連盟は「裁判員制度の導入の中で量刑制度(死刑と無期懲役のギャップ)を考える会」(仮称)。自民党の加藤紘一衆院議員や平沢勝栄衆院議員らが働きかけた。与野党の約20人が呼びかけ人になっている。

 8日に初会合を開く予定で、いまのところ数十人が賛意を示している模様だ。制度が始まる前に実現させようと、今国会中に創設を盛り込んだ法案の提出を目指す。

 現行法では、死刑に次ぐ重い刑は無期懲役。しかし、法務省によると、平均25年程度で仮釈放されており、死刑より軽く無期懲役よりは重い刑として、終身刑の創設を求める声が少なくなかった。

 平沢議員は議連の意義について「死刑廃止論とは相いれないが、終身刑の創設の部分では一致している。平行線の存廃論議と切り離し、裁判員制度で市民が悩むことになる前に解決しなければいけない」と強調する。参加予定者の中には、山口県光市で起きた母子殺害事件の死刑判決をめぐり、「終身刑の必要性を考えるきっかけになった」と話す議員もいるという。

 裁判員裁判にあわせた終身刑の創設をめぐっては、「死刑廃止議員連盟」(会長=亀井静香・国民新党代表代行)が先月、死刑判決に関しては裁判員6人と裁判官3人の全員一致を条件とする特例法案とあわせた形で「死刑慎重化法案」をとりまとめている。(市川美亜子)

死刑:米元死刑囚に聞く

http://mainichi.jp/select/jiken/news/20080502k0000e030050000c.html

インタビューに応じるロバート・マーシャル元死刑囚=ニュージャージー州の刑務所で、小倉孝保撮影

米国では昨年末、東部ニュージャージー州で死刑制度が廃止されるなど、死刑をめぐる議論が盛んだ。保険金目的で妻を殺害したとして嘱託殺人罪に問われ、91年の死刑確定後、連邦最高裁の指示で16年後の昨年8月に無期刑に減刑されたロバート・マーシャル元死刑囚(69)を刑務所に訪ね、死刑論議についてインタビューした。【トレントン(ニュージャージー州)で小倉孝保】

 --死刑とどう向き合ってきたのか。

 ◆私は一貫して犯行を否認している。ニュージャージー州で死刑廃止論議が高まったのは90年代に入ってからだ。私が死刑判決を受けた時には、このまま刑が確定し執行されると思っていた。執行日が近づくことを常に恐れていた。当時の私はただ「死に向かって歩む者」だった。

 --死刑廃止の動きをどう見ていたか。

 ◆逮捕前から死刑には反対だった。賢い解決法ではないと思っていたからだ。自分が死刑判決を受けた後はもちろん、死刑が廃止されることを強く期待していた。

 --遺族感情にも配慮しなければならないのでは。

 ◆さまざまな調査で明らかになっているが、遺族の多くは死刑が執行されても心の安らぎを感じない。死刑執行で犯人を葬り去ることは、国がもう一つの殺人を犯すことであり、遺族を増やすだけの結果になる。

 --死刑に代えて保釈なしの無期刑を制定することについて。

 ◆刑務所の長期刑者たちは「こんなところにいるぐらいなら早く死刑にしてくれ」と言っていた。私自身、保釈の可能性がゼロなら、何のために生きるのか分からなくなるだろう。服役囚にとっては死刑よりもつらい。

 --今の希望は。

 ◆私の場合、州が死刑廃止の代わりに保釈なしの無期刑を制定する前に減刑されたため、2014年以降に保釈される可能性が残っている。保釈されたらまず妻の墓をお参りしたい。

 --死刑からの減刑で、心境に変化は。

 ◆小さなことに感謝するようになった。(減刑されて)他の服役囚と一緒に食事ができるようになったことや、みんなと一緒に運動ができるようになったことがうれしい。外で生活をしている時には当たり前だと思っていたことすべてに対し、とてもありがたいことだと思えるようになった。

 ◇事件の経過

 保険ディーラーだったロバート・マーシャル元死刑囚は84年7月、ニュージャージー州内で妻マリアさん(当時42歳)と車に乗っていたところを何者かに襲撃された。妻は死亡、元死刑囚も負傷した。警察は借金返済に困った元死刑囚が妻に保険金をかけ、知人に殺人を依頼したとして元死刑囚を逮捕。91年に死刑が確定した。しかし、最高裁は06年に「適当な弁護活動が行われなかった可能性がある」として死刑の撤回を決め、07年8月に無期刑に減刑された。

 元死刑囚が白人の中流階級の出身であることや、息子たちの中でも父の無罪を主張する者と有罪を求める者とで意見が割れたことなどもあり、裁判が注目された。

 ◇ことば 米国の死刑

 米国では72年に連邦最高裁が死刑を違憲と判断し、各州は死刑を廃止した。だが76年に最高裁は判断を覆し合憲としたため、死刑を復活する州が相次いだ。ニュージャージー州は昨年末、議会の決定を受けて知事が死刑を廃止し、保釈の可能性のない無期刑を制定した。現在、全米50州のうち死刑を法律で定めているのは36州。先日、連邦最高裁が薬物注射による死刑執行を合憲と判断、一時停止されていた死刑が相次いで執行されるとみられている。

毎日新聞 2008年5月2日 12時21分(最終更新 5月2日 12時30分)

最新記事【2008年05月01日】

米国:「支払えなければ、生かしておくように」と裁判所

http://www.news.janjan.jp/world/0804/0804295994/1.php

ニューメキシコ州は8年と数百万ドルを審問に費やしながら2件の死刑裁判の続行を断念した。州議会が裁判所の任命した弁護士に追加料金を支払う投票を回避したためである。

ボストンIPSのエイドリアン・アペルより、ニューメキシコ州の弁護料不払いによる死刑求刑の取り下げについて報告したIPS記事。(IPS Japan武原真一)資料:Envolverde

【ボストンIPS=エイドリアン・アペル、4月23日】

 ニューメキシコ州は8年と数百万ドルを審問に費やしながら2件の死刑裁判の続行を断念した。州議会が裁判所の任命した弁護士に追加料金を支払う投票を回避したためである。

 今月初めに、ライス・ロペスとロバート・ヤングの訴訟を担当する主任検察官は、地方裁判所の指示に従って死刑求刑を取り下げた。ロペスとヤング両名は、1999年の刑務所暴動で看守のラルフ・ガルシアさんを殺害した罪で告訴されていた。

 地方裁判所がこの指示を出したのは、ロペスとヤングの担当弁護士による弁護料不足の訴えを受けて州議会に追加料金の支払いを命じていたのに、州議会が追加料金の支払いについて審議することなく2月に来年1月までの休会に入ったからだ。

 ニューメキシコ州のゲイル・キャシー議員は「歳入は減っており、議員たちは来年までこの金のかかる問題を扱う必要がなくなってほっとしている」と語った。

 ロペスの代理人を務めるいわゆる「公選弁護人」のジャクリーン・ロビンス氏は、弁護料不足を裁判所に訴えた弁護士の1人で、「この案件で死刑制度を覆そうとするつもりだったのではない」としながら、「それでもこのような結果になったことをうれしく思う」と語った。

 刑務所看守の未亡人のレイチェル・ガルシアさんは以前、州に夫の死に関与したとされる人々に死刑を行わないように求めており、この注目を集めている裁判で死刑求刑を取り下げる決定は、ニューメキシコ州での死刑全廃の議論に大きな役割を果たす可能性がある。

 死刑を行っている他の36の州は、ニューメキシコ州でのこの決定を、強い関心を持って見守ると思われる。死刑の代償と公正の再検討は現在、カリフォルニア州、ジョージア州、メリーランド州、ネブラスカ州、オハイオ州、ユタ州で進められている。ニューメキシコ州の弁護料不払いによる死刑求刑の取り下げについて報告する。(原文へ)

翻訳/サマリー=加藤律子(Diplomatt)/ IPS Japan 武原真一

【あなたはどう裁いた?】歌織被告に「無期・死刑」が最多 厳罰求める傾向が顕著

http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/080429/trl0804291526003-n1.htm


MSN産経読者の「判決」

裁判員制度は厳罰化を加速させる-? 東京都渋谷区の三橋祐輔さん=当時(30)=の切断遺体が見つかった事件で、殺人などの罪に問われ懲役15年の1審判決を宣告された歌織被告(33)の判決公判に先立ち、MSN産経ニュースがネットユーザーに「あなたが裁判員だったらどのような判決を出すか」とアンケート調査をしたところ、約3800人から意見が寄せられ、88%が「有罪」と判断した。妥当と考える量刑は検察の求刑(懲役20年)を上回る「死刑・無期懲役」が最多(43%)で、「懲役15~20年」が22%で次いだ。厳罰を求める意識傾向が顕著に表れた調査結果になった。


 ■悪妻? 悲惨な妻? 精神状態は? さまざまな論点浮かんだ公判


 今回の事件は、夫をバラバラに切断して遺棄するという猟奇性に加え、「セレブ夫婦」「DV=配偶者間暴力)」などのキーワードで世間の耳目を集めた。

 公判では、検察側と弁護側の主張が真っ向から対立する展開に。

 「DVで夫への憎しみを深め、被告は離婚を決意した。が、自分ひとりが惨めな生活をしたくはないと考え、慰謝料やマンションなどを得て、経済的に有利な条件での離婚を主導した。しかし夫から逆に離婚を切り出され、有利な離婚の実現が困難になったことで怒りが爆発し、殺害した」

 これが検察側が描いた事件の構図だ。

 対する弁護側は、「DVの連続で被告は精神的に追い込まれ、PTSD(心的外傷後ストレス障害)に陥り、自分の行動が制御できなかった」と主張した。

 果たして歌織被告は「強欲で自己中心的な悪妻」だったのか、それとも「迫害され、追いつめられて心の病んだ悲惨な妻」だったのか。人物像や境遇をめぐって正反対の解釈が示された。

 また、被告を精神鑑定した2人の精神科医が、ともに「心神喪失状態だったと推認される」との結果を報告。心神喪失であれば刑法39条の規定で無罪、心神耗弱なら減刑となるため、鑑定結果についての裁判所の判断が焦点となった。

 4月28日の判決では結局、「犯行時には精神疾患を発症していたが、責任能力に影響を与えるほどのものではなかった」と歌織被告の完全責任能力を認めた。そのうえで、懲役15年(求刑・懲役20年)を歌織被告に宣告した。


 ■回答者3800人超…海外からも


 MSN産経ニュースは、昨年12月の初公判から判決まで全14回にわたり、「法廷ライブ」の形式で法廷内のやりとりを詳報。歌織被告、証人、検察官、弁護人、裁判官の言葉はもちろん、被告のしぐさや表情などの再現にも努めた。

 さらに今回、裁判員制度を意識した新しい試みとして、実際の判決公判前に、一般ユーザーに「判決」を問うアンケートを行った。


質問項目は、(1)歌織被告は有罪か無罪か(2)無罪の場合、その理由(3)有罪の場合、実刑と猶予刑のどちらが妥当か(4)猶予刑の場合、その理由(5)実刑の場合、どの程度の懲役刑が妥当か(「1~5年」「5~10年」「10~15年」「15~20年」「無期懲役や死刑」の5つに分類)(6)該当の刑を選んだ理由(7)そのほか自由意見-を設定。

 募集期間は、すべての判断材料が出そろった結審後の4月19日から、判決直前の28日午前9時までとした。アンケートには論告求刑公判までの計13回の公判を再現した「法廷ライブ」をすべてリンクさせた。

 集計の結果、有効回答総数は3812(男性2565、女性1247)。年齢は30代が最も多く、次いで40代、50代、20代の順。平均は43・8歳だった。居住地域は全国にまたがり、海外からも219の回答が寄せられた。

 職業別では会社員や学生、主婦のほか、裁判官や弁護士といった現役の法曹関係者、精神鑑定の経験がある医師など幅広い層に及び、関心の高さがうかがえた。被告や被害者の知人とする書き込みも複数あった。


 ■量刑重い順に比率が多く…約半数が「死刑・無期」とは!


 注目の「判決」は「有罪」が約88%と、約12%の「無罪」を圧倒的に上回った。

 有罪を支持した人のうち、「実刑が妥当」としたのは約89%を占め、「猶予刑が妥当」は少数にとどまった。

 刑期については、最多が「無期懲役や死刑」で約43%だった。「15~20年」が約22%でこれに次ぎ、「10~15年」約14%▽「5~10年」約12%▽「1~5年」約8%-と続いた。刑期が少なくなるにつれて割合は下がっていった。

 検察の求刑は懲役20年、実際の判決は懲役15年だったが、インターネット上の「疑似裁判員」は厳刑を望む傾向が強かったといえる。

 刑事訴訟法などは検察の求刑と判決の関係は何も規定しておらず、求刑された内容以上の判決宣告には問題はない。

 「無期懲役や死刑」を選択した理由で目立ったのは、犯行の残忍さや鑑定結果への疑義だ。

 「殺害後の遺体の処理がむごすぎる」(男性40歳)▽「殺人罪だけなら情状の余地が残されてもいいが、どのような精神状態であれ死体を損壊した時点でその余地はなくなると思う」(男性36歳)▽「証拠隠滅を図るために部屋を模様替えするなど人間性のかけらも感じられない」(男性45歳)-などと、夫をバラバラにしたことや遺棄、証拠隠滅行為を指弾する意見が多かった。

 異常な犯行形態が「DV被害」という情状面を打ち消している-との考え方だ。


 ■「詭弁」…弁護活動への不信も


 加えて、「『死人に口なし』とばかりに自分に都合のいいように証言している」(女性46歳)▽「反省の念が見えない」(男性36歳)-と、法廷での心証の悪さも加味されたようだ。

 一方、「心神喪失状態だったと推認」した精神鑑定結果については、「犯行日より相当の日数が経過しており、正確な診断がなされたとは判断できない」(男性45歳)▽「そもそも異常な精神状態にあるからこそ殺人が起こるのであり、それをもって減刑要因としたり無罪とするのは論理矛盾だ」(男性43歳)-などと否定的なとらえ方が目立った。

 実際の判決は、精神鑑定の結果の信用性を受け入れている。

 また、刑法39条の規定や制度としての精神鑑定そのものに疑問を投げかける意見も少なくなかった。「この事件に限らず、(精神疾患を持ち出して)あからさまに減刑を狙う弁護側の詭弁(きべん)が目立つ」(男性30歳)といった弁護活動への不信感が背景にあるようだ。


 ■判決をズバリ“的中”させたプロも その中身は…


 実際の判決に符号する「10~15年」「15~20年」とした回答理由は、「無期懲役や死刑」のケースに近いものが多かった。「検察の求刑から7、8割を掛けたものが一般的な判決」(裁判官経験者)とされており、より現実的な判断を下した層といえそうだ。

 アンケート上の“法律のプロ”たちの意見が非常に興味深い。

 32歳の男性裁判官は「責任能力については、犯行態様そのものや、その前後の行動などから肯定できる。すると、幻覚などを鑑定医に訴えたのは責任逃れのための虚言とみることとなり、心神喪失を偽ってまで罪を免れようとした点で、かなり非難の度合いが増す」とした上で、「DVなど被害者に一定の落ち度があることを考慮しても、15年程度の実刑はやむを得ない」と判断した。

 実際の判決とアプローチはやや異なるが、量刑は一致した。

 また、43歳の弁護士は死体損壊や遺棄、証拠隠滅工作を挙げて「責任能力に疑問を差しはさむ余地はない」と指摘。「社会に与えた恐怖心や人々の怒りの感情は無視できない」としつつ「前科前歴はなく被害者は1人。DVに耐え続けた被告の心情を察するにあまりある」と情状面に触れ、「懲役14年程度が相当」と結論を導き出していた。


 ■「無罪」の理由もやはり「鑑定」…歌織被告に同情意見も


 一方、「無罪」とした意見で目立ったのは鑑定結果の尊重だ。


 「もし鑑定結果が無視される判決だとしたら、精神鑑定の意味がない」(女性35歳)▽「検察側の鑑定人までが責任能力を否定するような鑑定結果を出すのは極めて異例で、刑事責任を問うことは不可能」(男性25歳)-。

 4月25日には最高裁が、精神鑑定について「否定する合理的な事情がない限り、十分に尊重すべき」との初判断を示している。歌織被告の無罪もあり得たわけだが、実際の判決は「精神医学の専門家としての分析結果にすぎず、責任能力については総合的に検討した法的判断によって最終的に決定する。責任能力の判断は鑑定結果に拘束されない」。鑑定の評価がデリケートな問題であることを印象付けた。

 アンケートの意見では、そもそも心神喪失や心神耗弱について理解が及んでいなかったり、両者を混同しているケースが数多くみられた。裁判員制度がスタートした際、こうした件をめぐって混乱が起きることは十分に予想でき、今後の課題になりそうだ。

 このほか「無罪」意見では、「(DVに対する)ある種の正当防衛」(女性31歳)▽「緊急避難に相当する」(男性46歳)▽「DVによって逆に殺されていた可能性もある」(女性39歳)-などが寄せられた。


 ■「被告の顔見ていないから」「実際に裁判員だったらこうはいかない」…専門家の分析は


 厳罰化を求める傾向が読み取れる今回のアンケート結果や、裁判員制度に向けた課題などについて、専門家らはどうみるか。


元裁判官で法政大法科大学院の木谷明教授(刑事法)は、「裁判官は審理を通じて被告の顔を見て、酌むべき事情も分かってくる。もちろん犯罪には賛成できないが、被告の気持ちに通じたり、感情を理解できたりすることはある。だから検察側の主張より軽くなってくる。被告の顔を全く見ていないない人が、犯罪行為の重大性だけをみて厳しくなるのは当然だ」と話す。

 神戸連続児童殺傷事件の少年審判も担当した元裁判官の井垣康弘弁護士は、「普通の市民が被害者や遺族の気持を想像することは可能だが、加害者の立場に寄り添って物を考えることは大変難しいと思われる。重い罪を犯した『ややこしい』加害者を、なるべく長く社会から遠ざけようとの意見が簡単に多数を占めて、これが世論となり裁判所を包囲すると、厳罰化に進むだろう」と指摘する。

 一方で井垣弁護士は、裁判員が今回のアンケート結果と同じように厳しい判断を示しても、それに同調するプロの裁判官が1人でも出てこないと厳罰にはならない、ともいう。

 「だからこそ、裁判員にとってプロの裁判官を説得するのはとてもやりがいがあると思う。逆にプロからすると、アマチュアを説得するのはスリルのある仕事だ」

 精神鑑定結果が事実上退けられた今回の判決については、「医師(鑑定人)から猛烈な反発があると思う。嘆くだけで終わるか、裁判員も含めて説得できる説明方法を開拓するのか、今後の医師たちの『戦い方』が見もの」とした。

 「いろいろな意見が出ること自体は、『国民の感覚を生かす』という裁判員制度の趣旨からしても、意義のあることだ。ただ、マスコミ報道が厳罰化を推し進めている場合もあるので、裁判員が感情だけに流されないよう、客観的な報道が求められる」と強調するのは日大法科大学院の板倉宏教授(刑法)だ。

 学習院大の藤竹暁名誉教授(メディア論、大衆心理)は、「無期や死刑を選択した人が多いといっても、裁判員になったときに同じような結論を出すとは限らない。インターネットの場合は責任がないので、感情的に判断した結果も含まれるだろう」とみており、「今回の事件が裁判員制度の対象になっていれば、懲役15年の実刑という判決と同じように、意外と妥当なところに落ち着くのではないか」と感想を話した。


 ※ユーザーの皆様に自由記載方式で書いていただいた意見を量刑別にまとめ、リン  クさせてあります。ぜひご覧ください。

【自由記述への意見】「裁判員制度を考える契機になった」「『法廷ライブ』読むうちに考え方変わった」

http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/080429/trl0804291534010-n1.htm

●「被告は犯した罪と比例した刑罰を受けるべきであり、誰が裁判員に選ばれるかという運によって刑罰が決まるのは、法治国家としていかがなものかと思う」(和歌山県の男性大学生、19歳)

 ●「このようなテーマを投げかける姿勢を評価します。ネットを通じてさまざまな世代にこういう現状を問いかけて、自ら考える機会を与えるのがマスメディアの役割だと信じます」(海外在住の主婦、36歳)

 ●「プロの法律家は判例により、(懲役)20年超の判断はしないのだろうが、素人が入ったらそうはいかなくなるだろう。裁判員制度をなぜ始めるのか、いまだに理解に苦しむ」(埼玉県の男性会社員、51歳)

 ●「光市の事件も同じく感じるのが、『日本の人権を守る』とは何? 冤罪(えんざい)の可能性がある事件は、徹底的に時間をかけて裁判をすべきだと思うが、死刑制度の是非を問うような論理のすり替え的な裁判はなくしてもらいたい。精神状況が追い込まれたから、殺人をなかば肯定するかのような減刑は認めるべきではないと思います」(愛知県の男性公務員、36歳)

 ●「裁判員制度が始まるとはいえ、こんなアンケートを行って日本の大人はくだらないと思った」(海外在住の女子小学生、10歳)

 ●「裁判員制度で怖いのは、全く真剣に考えない人やどうでもいいじゃないかと判断する人、偏見を持った1人に流されてしまう人らが出てくると思う。裁判官が全く裁判員の意見を押しつぶしてしまうとか、今のまま裁判官に任せっきりで、へんな判決ばかりが出るのも困るが、裁判員を変えるより、捜査する側も変えないとでっち上げられた証拠では判断ができない。裁判所は真実を暴く所ではなく、事実を現実にあわせるところだから。怖い判決がたくさん出そうな気がする」(和歌山県の主婦、40歳)

 ●「重大犯罪ほど、無実にしようと精神障害をでっち上げている風潮がある。本当に精神障害で苦しんでいる人は、それによって余計にうがった見方を世間からされることになる」(群馬県の男性会社員、28歳)

●「このアンケートはとても良いと思います。すべての結果を見るにしろ見ないにしろ、この件について匿名で思いを誰かに伝えられるということは社会の一体感が生まれる感じがします」(海外在住の男性大学院生、24歳)

 ●「ライブをいつもチェックしていました。検察側が歌織被告に遺族への謝罪を迫る場面や被告への質問をする場面に、なぜかいつも違和感を覚えました。法廷が遺族への謝罪の場なのか、なぜ検察官はそれほど高圧的な態度で被告に対するのか。法廷は罪を裁く場所でしかないと思いますし、検察官の高圧的な態度は裁判員制度が始まったとき、検察側に思わぬハンディとなるのではと感じました。とにかく、自らが裁判員となったとしたらと考えると、このような難しい裁判はなるべく回避したいというのが正直なところです」(千葉県の男性大学院生、30歳)

 ●「今回のアンケートは、私情を入れて考えました。実際に裁判員に選任されたら、もう少し深く考えて判決します。本来は私情を入れずに判決を下さなくてはいけないのであろうから、非常に難しいと思います」(東京都の女性アルバイト、24歳)

 ●「裁判員制度を前に格好のケースだった。DVや夫婦間のトラブルと犯罪との関係をどう見るか、量刑にどう反映させるか、裁判員の間でも論議を呼ぶケースだと思う」(兵庫県の男性教師、64歳)

 ●「人を裁く難しさ、被告人、被害者双方に対する公平な情報の収集と整理の難しさ。法律に素人の自分が刑を判断する基準の基本は、被害者の落ち度の度合いと考えたい」(東京都の男性会社員、66歳)

 ●「他人を裁くことができる清廉潔白な人が一体どのくらいいるのだろう、と考えさせられました」(福島県の主婦、47歳)

 ●「記事を読んだ上で判断したことなので、実際に裁判を傍聴した場合は意見が変わるかもしれない。自分としてはそれが一番怖い。裁判官なら見抜ける(可能性が高い)うそや演技、ごまかしのテクニックに、民間人である裁判員がどこまで対抗できるだろうか。もちろん、テクニックを労する上では検察のほうが有利だ。無罪の人を有罪とすることに加担してしまったら、私は2度と司法を信頼できないだろうし、自分の判断も信用できなくなるだろう」(宮崎県の女性会社員、35歳)


●「裁判員制度について、とても危険な制度だと感じています。法律知識を持ちえていない人が裁判員になれば、その人の尺度、人生経験、感情でしか判断できないのではないでしょうか。特に今回のような夫婦問題などは多くの第3者が介入すればするほど、複雑になると思います。精神鑑定のようなある一定の何かがなければ、判断に苦しみます。今回の裁判について、いかなる場合でも殺人は絶対許されませんが、DVや不貞行為を行っていた夫の罪はなくなるのでしょうか。この点が考慮されなければ、男性によるDV、浮気行為は容認される一方です。DVは他人に知られず行われ、その親は『いい子だった』と擁護する。まさに現代日本のゆがんだ家庭像ではないでしょうか。これと同じくゆがんだ家庭で過ごしている者が裁判員となったら…と深く考えさせられます」(東京都の自営業女性、35歳)

 ●「裁判員制度を控え、ネットでの裁判のアンケートはおもしろい試みだが、匿名で回答できるために結果としては信頼性にかけるのではないだろうか? またこうした試みがマスコミお得意の『ネタ』にならないか心配だ」(東京都の男性会社員、38歳)

 ●「このようなアンケートでは、裁判の経過をじっくり見ていない、センセーショナルな記事(多くは検察の見解に立つ)ばかりを読んだ人たちの意見が反映されやすいと思う。それをもって、『世論』だとすることはいかがなものか。グラフやパーセンテージは強い印象を与えることを考慮に入れて、もっと慎重に取り扱うべきだと思う」(東京都の女性会社員、26歳)

 ●「この事件の法廷ライブをずっと見てきました。事件が終わってしまうと、過去の事件として人々の記憶からうすれていってしまうと思います。けれども、事件は終わっていないのだということをこの法廷ライブで感じることができました。どんなやりとりをしているのか、なにを思って犯行におよんだのか。テレビを見ているだけではわからないことがわかり、自分なりにこの事件のことを真剣に考えられたと思います」(千葉県の女性会社員、23歳)

 ●「今回の事件は非常に痛ましいものであり、当初は“セレブ妻”という言葉の先行により被告に悪い感情を持っていましたが、法廷ライブを読み進めるうちに被告の心境やDV被害や、不幸な生い立ちをまるで傍聴しているように垣間見ることができ、裁判員制度を考える良いきっかけとなりました」(神奈川県の男性会社員、33歳)

 ●「裁判とは何かを真面目に考えるきっかけになった。ぜひとも多くの人にこのテーマに取り組んでほしい。またどの程度の刑期にすべきか、非常に悩み、家族に相談してしまった。秘密保持が難しいと感じた」(宮城県の男性会社員、32歳)

 ●「裁判員制度が始まるにあたり市民が『自分の時は死刑判決は嫌だ』という答えが多いそうだが、物事の本質は見失わないようにしたい。確かに重い判決を下すことになろうが、それこそが裁判員制度の意義と感じる。社会の暗い部分を感じるだろうが、それを背負うことが社会人の範となるのではないだろうか」(大分県の自営業男性、45歳)


●「裁判員制度が来年に迫った今日に、現行裁判のジャッジをすることは良いことだと思う。これからも模擬裁判をどんどん提供してほしい。懲役刑の年数をもっと加えてくれるといいと思う」(沖縄県の男性会社員、33歳)

 ●「裁判員制度の実施に向け1年ということで、裁判に関する関心を高めようという企画の意図はわかるが、このウェブに置かれた裁判のライブを読み続けてきた人とそうでない人とで当然、判断は大きく変わることにもなろうと思われる。その意味で、裁判の経過を追ってきたかどうかについてもチェック項目を置いて、新聞の社会面記事やテレビのワイドショー程度の情報にしか基づいていない人との判断のちがいが見える分析にしてほしかった」(大阪府の自営業男性、52歳)

 ●「今回の事件のように、司法のプロ・精神医療のプロでさえ判断が分かれる公判に、裁判とは縁なく平和に暮らしている人たちがきちんと発言し、被告・被害者双方に対して考えが及ぶのか、非常に疑問に思います。被害者感情や世論も大事ではありますが、誰もが裁判員になれるのではなく、一般人に近い補助的な役割をする准裁判官のような立場の司法専門家を増やすべきではないでしょうか」(長野県の自営業男性、33歳)

 ●「とかくDVは夫が妻に対して振るう暴力と思われていますが、決してそうではありません。私は元妻から暴力を受けました。元妻は外見上はにこやかでしたが、内面と外面が全く異なる女性で、人一倍負けず嫌いの性格で復讐(ふくしゅう)心が強く、『言われたら言い返す。やられたらやり返す、3倍にしてでも返す』と言っていました。歌織被告とそっくりでした」(島根県の男性公務員、56歳)

 ●「インターネットでプライベートがあそこまで公表されると出所後が心配で、同情します。裁判所で真実を証明するためとはいえかなりつらいことだと思う。報道する側にもかなり興味本位のところが見えたように思う」(埼玉県の男性会社員、42歳)

 ●「被告が悪くないとは少しも思わないが、被害者もかなりの割合で清廉潔白とはいえないと思うのだが、それについてはあまり言及している意見を見ないのが不思議。何よりも不思議なのは『そこまで騒ぐような事件だろうか?』という所だ。むしろ通り魔とか強盗などの『他人』に殺意を向ける事件に関心と厳罰を望みたい」(東京都の女性会社員、43歳)

DNA鑑定でまたも冤罪晴れる=全米で200件以上、死刑囚も

http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2008043000650

【シリコンバレー29日時事】米南部テキサス州ダラス郡の地裁は29日、DNA鑑定の結果、殺人罪で27年間服役してきた男性(55)の無実が証明されたとして、男性を釈放した。同郡では近年、冤罪(えんざい)判明が相次いでおり、司法制度に対する信頼が揺らいでいる。

 男性は1980年、交際女性を絞殺した容疑で逮捕され、目撃談が決め手となり終身刑が確定。無罪を訴え続け、民間団体「イノセンス・プロジェクト」の支援を得て、ついに冤罪を晴らした。地元紙によると、男性は「誤った行為をしていないのだから、決してあきらめなかった」と語った。

 89年以降にテキサス州内で冤罪が判明したケースは30件を超える。ただ、冤罪は全米規模の問題で、イノセンス・プロジェクトの調査によると、32州で計216人の冤罪がDNA鑑定で証明された。これには16人の死刑囚も含まれる。誤った目撃情報や不確実な科学捜査が冤罪につながる例が多かったという。

明日への伝言:昭和のあの日から 勝田元死刑囚と刑事 取調室の1年3カ月

http://mainichi.jp/area/aichi/news/20080430ddlk23040274000c.html

◇償いの心生んだ経本

 1983年1月31日。名古屋市千種区で警察官から奪った拳銃を使い、昭和区の銀行駐車場で強盗しようとした男が逮捕された。当時の愛知県警捜査1課強行班係長、山崎蔵(おさむ)さん(76)=岐阜県多治見市=が、対面した男の顔から読み取ったのは、凶悪犯に特有の「陰影」だったという。本格的な取り調べを始めて6日目、男が認めた殺人は8件に上った。警察庁指定「113号事件」の犯人、勝田清孝・元死刑囚と山崎さんの取調室での「対決」は、それから1年3カ月にわたって続く。

 京都府出身の勝田元死刑囚が最初の殺しに手を染めたのは72年9月。京都市山科区のアパートでホステスを殺害して現金1000円を奪った。その後、▽77年8月までに大阪府と名古屋市で女性を狙った強盗殺人4件▽77年12月と80年7月に神戸市と名古屋市で改造猟銃による強盗殺人2件▽82年10月に滋賀県で警察官から奪った拳銃による殺人1件を起こした。優秀な消防士でもあった勝田元死刑囚が戦後犯罪史に名をとどめた動機は何か。88年の名古屋高裁判決は「虚飾に満ちた愛人との生活を維持するために大金の入手を図った」と指摘した。

 取り調べは県警本部で休まず続けられ、83年も残り2日となっていた。勝田元死刑囚が「山崎さんにも家族がおるだろう。暮れと正月くらい休んでくれ」と声をかけてきた。「被害者と遺族に恨まれるのは仕方ないが、刑事さんの家族にまで恨まれたら立つ瀬がない」

 山崎さんが「ばかやろう、休んどれるか」と答えると、勝田元死刑囚は立会人を務める山崎さんの部下を見やってさらに言った。「部下のことも考えろ」。この言葉に応じる気になった山崎さんに、勝田元死刑囚は本の差し入れを求めた。山崎さんが渡した中の一冊は「般若心経」だった。

 短い年末年始を家族と過ごし、取調室に戻った山崎さんに、勝田元死刑囚は「紙をくれ」と頼んだ。渡した紙と筆で、勝田元死刑囚が経本も見ずに般若心経をすらすらと書くのを見て、山崎さんはその記憶力に舌を巻いた。「初めて経文を読んだが、よく分かった。自分は消防士として『右手』で人の命を助け、『左手』で人をあやめた。こんな人間にお釈迦(しゃか)様は何て言うだろう」。名古屋拘置所に移監された勝田元死刑囚が写経の傍ら、「せめてもの償いに」と始めたのは点訳奉仕だった。

 公判で弁護側は「死刑は執行法を明確に定めた法律がなく執行に根拠がない」と死刑判決違憲論を展開した。だが高裁は「わが国犯罪史上にも類例を見ない残虐非道な犯行であり、極刑をもって臨むしかない」と1審・名古屋地裁に続いて死刑を言い渡した。

 山崎さんはこの控訴審に証人として出廷した。警察官としては異例な弁護側の情状証人だった。法廷で、勝田元死刑囚と般若心経の出会いを証言した。

 山崎さんは「刑事は法の執行者。死刑が法で定められている以上、死刑に相当する犯罪には死刑判決が下されるよう捜査しなければならない」と言う。一方で「罪は憎んでも人を憎んではいけない。勝田(元死刑囚)が人として出廷を求めるなら、人として対応したかった」と振り返る。

 最高裁で勝田元死刑囚の死刑が確定したのは94年。執行は00年11月30日。拘置中に養子縁組し藤原に姓を変えていた。52歳だった。

 現在、刑の厳罰化の流れが強まっているとされる。一方で、死刑の是非を巡る論議も尽きない。【永海俊】

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 ■世相あれこれ・1983(昭和58)年

 ◆CM

 ▽タコが言うのよ(サントリー樹氷)▽君に胸キュン(カネボウ)

 ◆LIFE

 ▽ミネラルウオーター登場▽任天堂がファミコンを発売

 ◆MOVIE

 ▽楢山(ならやま)節考▽時をかける少女▽アイコ十六歳

 ◆TV

 ▽おしん▽スチュワーデス物語

 ◆SONG

 ▽矢切の渡し▽めだかの兄弟▽悲しい色やね

 ◆SPORTS

 ▽夏の高校野球で桑田・清原のK・Kコンビが活躍しPL優勝▽ミスターシービーが3冠馬に

 ◆BOOK

 ▽ウホッホ探検隊▽ひとひらの雪▽二つの祖国

 ◆NEWS

 ▽ソ連が大韓航空機を撃墜▽三宅島が大噴火▽免田事件再審無罪

 ◆WORDS

 ▽不沈空母▽いいとも▽友達の輪!▽フォーカス現象

毎日新聞 2008年4月30日 地方版

死刑:テレ朝も執行前後のテープ放送

http://mainichi.jp/select/wadai/news/20080430k0000m040105000c.html

テレビ朝日は29日、朝の情報番組「スーパーモーニング」で、死刑囚が刑を執行される前後の模様などが録音されたテープを放送した。

 番組によると、テープは大阪拘置所長だった玉井策郎氏が1950年代に刑務官の教育用として録音。死刑囚の姉との最後の面会や他の死刑囚との送別のお茶会、執行直後の様子などが収められ、その一部が放送された。番組は「死刑制度を改めて検証するためにあえて公開した」と理由を説明。さらに死刑のあり方について番組コメンテーターが議論した。テレ朝は92年、05年にも同じテープを放送している。

 死刑執行の模様については、ラジオの文化放送も来月6日に放送を予定している。

毎日新聞 2008年4月29日 21時42分

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死刑廃止問題を考える

現在日本が遅れを取っている死刑廃止問題について解説します。
いまや世界の半数以上の国が、法律上、または事実上死刑を廃止しています。

法律上、事実上の死刑廃止国の合計:135
存置国:62

死刑制度の問題点・死刑制度の各国での動き、死刑制度の国内での動きについて考えていきます。


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