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最新記事【2008年04月28日】

裁判員制度を前にテレビ報道を危惧する

http://www.ohmynews.co.jp/news/20080426/24050?cd

木下 知保(2008-04-27 09:00)

 2009(平成21)年5月21日、いよいよ「裁判員制度」が始まる。裁判がより身近なものとなり、国民の裁判に対する信頼を向上させることが主な狙いだ。

裁判員制度とは?

 裁判員の選び方は次の通りだ。

 まず、各地方裁判所ごとに、管内の市町村の選挙管理委員会がくじで選んで作成した名簿に基づき、翌年の裁判員候補者の名簿を作成する。その後、裁判員候補者名簿に記載されたことが該当者に通知される。また、客観的な辞退事由に該当しているかどうかなどをたずねる調査票が送付され、調査票を返送してもらい、明らかに裁判員になることができない人や、1年を通じて辞退事由が認められる人は、裁判所に呼ばれることはない。

 裁判員に選任されたら、裁判官と一緒に公判に立会い、判決にまで関与することになる。証拠を認定し、有罪か無罪かを決め、また有罪ならばその量刑まで決める。判決の宣告がなされたら、裁判官としての役割は終了となる。

 原則として子沢山のお母さんも、漁に出かけるおじいちゃんも、資格取得に向けて勉強中のお兄さんも、多忙を極める小児科医も、選任の対象となる。みな日々の生活に一生懸命な中、慣れない仕事を任されることの身体的・精神的負担の大きさをまず考えていただきたい。

 公判が始まると、膨大な量の証拠資料に目を通すこととなる。活字を読むことに慣れていない人間にとって、活字を長時間見続けることは苦痛とも言える。そうして家に帰ってテレビをつけると、自分が携わっている事件についてのニュースを目にすることもある。

テレビの影響を危惧

 そうした中、22日に死刑宣告がなされた山口県光市母子殺人事件についてのテレビ報道を見て私が思ったのは、加害者側の事情に関する報道が、被害者側にたった報道の半分もなされていただろうか、ということだ。たしかに被害者遺族の本村洋氏がメディアに訴え続けることによって犯罪被害者の権利拡大につながったという功績は大きい。しかし一方で、問題が多角的に報道されていただろうかという疑問が残る。

 たとえば、専門家が分析する少年の生い立ちや形成された人格について。たとえば、21人もの弁護団が無期懲役を主張する理由について。たとえば、過去の判例との差異について……。

 こうした事実も、報道はされていたかもしれない。しかし、繰り返し目にする「大弁護団に一人で立ち向かう被害者の夫」の姿を報じる大量のニュースの陰で、専門家による小難しい話は頭の隅に追いやられてはいなかったか。映像の力の大きさを感じずにはいられない。

 大多数の人間にとって、テレビは一番身近な情報源であろう。日々の生活の中で新聞を読みこみ、インターネット等であらゆる角度から情報を検討するといった人間が日本中にどの位いるだろうか。

 だから私は、裁判員制度についても危惧を覚えてしまうのだ。

 たとえば今回の事件の場合、裁判員に選任された一市民が客観的に事件の証拠を検証し、加害者である元少年に対し、仮に「無期懲役」という自分なりの結論を出して家に帰ったとする。そんな時にテレビをつけ、目にするのが、涙ながらに死刑を訴える被害者の夫の姿ばかりだったとしたら……。

 自分の判断が正しいかどうかが、「よく分からなく」なるのではないだろうか。だが、それでも決断は迫られる。一人の人間の一生を、生死を左右する極めて重大な決断だ。そうした場合に裁判員となった一市民が背負う精神的負担はいかばかりだろうか。

 裁判員制度のスタートに向けて願うのは、テレビの持つ影響力の大きさを鑑みた上で、公正な判断材料が視聴者に提供されることだ。そして、裁判員に選定された市民の心のケアについても、十分に検討していただきたいと思う。

【記者注】裁判員制度については、最高裁判所のウェブサイトを参考にしました。

「終身刑導入」自民に勉強会設置へ

http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/080428/stt0804282002008-n1.htm

自民党の加藤紘一元幹事長や杉浦正健元法相らは28日、国会内で会談し、仮釈放のない終身刑として「重無期刑」を導入することを求める勉強会の発足で一致した。5月の大型連休明けに初会合を開く。1審の死刑判決は裁判官や裁判員の全員一致を前提条件とすることも検討する。いずれも超党派の「死刑廃止推進議員連盟」(会長・亀井静香国民新党代表代行)がまとめた「重無期刑創設および死刑評決全員一致法案」に沿う内容で、今後勉強会は超党派議連と連携し、今国会の法案提出と、党議拘束を外した上で採決を目指す。

最新記事【2008年04月26日】

光市判決、「主張の全否定はショック」と元弁護人

http://www.ohmynews.co.jp/news/20080422/23847

22日に死刑判決が出された山口県光市母子殺害事件差し戻し控訴審では、被告の元少年についた20人を超える弁護団の言動が常に注目されていた。強姦の計画性や殺意そのものを否定する主張は世論から猛烈に非難されたし、弁護団に死刑廃止論者が多かったことから「死刑廃止運動のために事件を利用しているだけ」と批判もされた。

 今回の判決を、事件に関わった弁護士はどう受け止めたのか。

 「判決は予想できたが、理由においては予想以上にきびしいものだった。内容自体がおかしい、信用できないと『全否定』。門前払いみたいな扱い。そういう意味でショックだった」

 同弁護団に差し戻し控訴審から参加し、約1年後の07年10月に解任された今枝仁弁護士は、オーマイニュースの取材に対し、こう語った。

「裁判所が認めてくれる内容」を示せなかった

 「(裁判所の今回の判断は)弁護団が主張した内容自体おかしい、証言が変遷したこともおかしい、法医学的な鑑定もおかしい──。弁護団がこれまで訴えてきた客観的事実認定以前の段階で全否定された」

 今枝氏は、死刑判決自体は予想できたが、内容は予想以上に厳しいものだった、とする。その理由は、やはり被告の供述内容が不自然、不合理に過ぎると判断されたためだろうという。

 「弁護団としては、客観的証拠と被告の供述との整合性をもう少し見てもらいたかっただろう。だが、それ以前に結論が出されていた。お話にもならないという評価だった。弁護団も、そこまでむげに否定されるとは思わなかったのではないか」

 「元少年が言うことを裁判所が受け付けるような弁論構成が取れなかった。裁判所が認めてくれるような内容を提示できなかった。力不足ということだと思う」

 安田好弘弁護士を中心とする弁護団は、事実をすべて明らかにし、法医学鑑定を中心に事実関係の吟味を積み上げるべき、という方針を通してきた。被害者女性の首についた蒼白帯のかたちや角度から手の向きを検証し、元少年の殺意を否定したのは、そうした手法の1つだ。

 だが、今枝氏は、その弁護方針をめぐって弁護団内で度々対立し、最終的に元少年から弁護人を解任された。

 「私は、『殺意がなかった』とまで訴えてしまうのは、元少年がいまだに事実と向き合っていないと裁判所に解釈されるリスクがあると主張していた。弁護団に残っていたなら、その殺意の有無の部分は弱めるよう主張したと思う」

 今枝氏は、いまも元少年には強姦の計画性はなかったと考えているという。

裁判所が認定した事実とは違うが

 同弁護団は、死刑廃止論者の集団とみられがちだが、今枝弁護士自身は死刑存置論者だ。死刑廃止論が強い弁護士界においては珍しい方と言える。だが、判決公判直前の4月10日に刊行された著書『なぜ僕は『悪魔』と呼ばれた少年を助けようとしたのか』(扶桑社)では、

 「僕が見る限りは、(弁護団に)死刑廃止運動について議論されるようなことはなかったし、そのような目的から弁護活動が左右されているということもまったくなかった」(42ページ)

と断言している。

 ただ、「事件を利用している」という批判や誤解が生じても仕方がない状況があったことは否定できない、ともいう。

 まず、死刑廃止論のリーダー的存在である安田氏が弁護団の中心であったことで誤解された。また、光市事件についての情報発信を一般メディアでは行わず、死刑廃止運動のためのメディアに限定したことなども憶測を生んだ。

 今枝氏は弁護団にいるあいだ、情報をシャットダウンする危険性を指摘し、ブログを立ち上げて独自に情報発信を始めた。ブログを書くことは認められていたが、弁護団内では軋轢(あつれき)が広がった。そのことも、同氏が弁護団を離れた理由の1つになった。

 弁護団にいるあいだは、脅迫状やいやがらせの電話が毎日のように入り、精神的なストレスは甚大だった。弁護団を離れてそれはなくなったが、結果として元少年を守れなかったことについては、「非常に悔しい思いをしている」という。

 著書には、ブログや本の出版は元少年との最後の約束だったとある。今枝氏から見た事件と、元少年の真実、元少年がどうして事件を起こしたのかについて、今枝氏の言葉で表現し、遺族や社会に知ってほしいと言われたという。

 今枝氏は著書で、少年の生い立ちについて章を割き、少年の思考に甚大な影響を与えた両親との関係についても詳述している。父親からの暴力、実母との性的に密接な関係、実母の自殺、などだ。確かに、そこからは、少年が差し戻し控訴審のなかで述べた異常な言葉の数々とのつながりを読み取ることができる。

 今枝氏は、裁判所の認定事実と自分が知る事実は違うことにさらりと触れて、こう話す。

 「本を読んだ人からは、『事件の側面が分かった』という反応を頂いている。裁判所が認定した事実とは違うけれど、私が見た事実を(出版によって)世間に示せた。それは、(裁判所に)認定された以外の事実が受け入れられる土壌が社会に整いつつあるということかなと思う」

死刑制度:改善求める会長声明--県弁護士会 /岐阜

http://mainichi.jp/area/gifu/news/20080423ddlk21040032000c.html

 県弁護士会(幅隆彦会長)は22日までに、死刑制度の改善と、改善までの死刑執行停止を国に求める会長声明を出した。

 声明では、死刑廃止国が増えている中、日本が死刑制度を存続させていることなどに遺憾の意を表明。過去に死刑確定事件で再審無罪となったケースがあることを指摘し、誤審があったり、死刑判決の明確な基準が存在しないとして、死刑制度の存廃に関し国民的議論を尽くすことが必要だと主張している。【石山絵歩】

毎日新聞 2008年4月23日 地方版

最新記事【2008年04月20日】

あなたは死刑判決を下せるか:決断への条件は? / 今週の世論調査

http://news.livedoor.com/article/detail/3597155/

死刑判決を下せる68%、下せない32%

 livedoor 世論調査では「裁判員に選ばれたら死刑判決を下せますか?」というテーマで世論調査を行いました。

 その結果68%の人が死刑判決を下せる、32%の人が下せないという回答をよせてくれました。

死刑及び裁判員制度 : 今回の調査の背景 -

 鳩山法務大臣の就任後、5か月で3回目の執行命令となり、10人の死刑を執行したことになります。

日本における死刑執行の件数増加に対して、死刑廃止を訴える議員や弁護士、市民団体からは非難の声もあがっており、死刑肯定派と否定派で議論が活発化しています。

 

 来年7月には国民から選抜された裁判員制による初公判が開かれるとみられており、もしかすると私たち自身が死刑判決を下す場面に直面する可能性もあり得ます。

死刑判決を下せる派の意見

 まずは68%を占めた死刑判決を下せるという人の意見を見てみましょう。「死刑に相当する罪を犯した人はその命をもって罪を償うべきです。」「被害者の遺族の気持ちを考えたい。」「動かしようが無い証拠があれば、死刑の判決を出します。」「なんで死刑にならないのか分からないやつも多い。」「今の節操がない日本には絶対必要!」「下すことが社会正義だと思う。」といった意見が寄せられました。

死刑判決を下せない派の意見

 一方で32%を占めた死刑判決を下せないいう人の意見では「人の死を宣告できるほど賢者ではない。」「感情で殺したいと思う事件の加害者はいるが、自分が殺しの片棒担げるのか?と考えると重い。」「人の死を決める権利を、いったい誰が持っているのでしょうか。」「加害者にも人権はある。」「冤罪がある限り、冤罪で死刑になる可能性のある人が出るかもしれない。」「相手の顔を生で見たら『死刑』と判決できるか自信がもてない。」といった意見が寄せられました。

総括 : 多くの人が決断できると回答、一方迷いも…

 今回寄せていただいた意見を見たところ、死刑判決を下せるという意見が多かったです。

しかし、死刑判決を下せるという人の中にも「死刑制度には反対」や「しっかりとした証拠があれば」といった条件付きの回答も見られました。逆に死刑判決を下せないという人の中には「感情では殺したいが」といったように果たして自分が人を殺すことに間接的に手を染めてもいいのかといった迷いが感じられる意見もありました。

 しかし来年5月21日から裁判員制度が開始されることが決定しました。実際に裁判員裁判が始まるのは早くても来年7月下旬以降とみられています。最高裁長官は「国民の理解と協力を得て制度を円滑に実施できるよう、引き続き最大限の努力をしていく」と語っています。一人ひとりがじっくりと考えていくことが重要だと思います。

最新記事【2008年04月19日】

死刑「全員一致」に限定 廃止議連が終身刑法案

http://www.chunichi.co.jp/s/article/2008041701000792.html

2008年4月17日 20時09分

 超党派の「死刑廃止を推進する議員連盟」(会長・亀井静香国民新党代表代行)は17日、拡大役員会を国会内で開き、死刑判決を減らすために仮釈放のない重無期刑(終身刑)を創設し、第1審での死刑判決は裁判官と裁判員が全員一致した場合に限定する法案を決めた。

 死刑廃止を求めないことで「存続派」にも一定の配慮を示し、法案を成立させやすい環境を整えた。今国会に議員立法で提出し、成立を目指す方針も確認。各党に働き掛けを強める。

 重無期刑は現在の死刑と無期刑の「中間刑」として創設。裁判官と裁判員の判断が全員一致ではないが、過半数が死刑の意見だった場合に適用する。重大事件の刑事裁判に国民が参加する裁判員制度が来年5月に始まるため、同4月1日を施行日とする。

(共同)

2007年の死刑執行、世界で約1200人 アムネスティ・インターナショナル

http://www.afpbb.com/article/life-culture/life/2378663/2835840

2008年04月15日 14:14 発信地:ロンドン/英国

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関連写真 2枚

韓国・ソウル(Seoul)で、死刑反対のパフォーマンスを行う韓国の人権活動家(2007年10月10日撮影)。(c)AFP/WON DAI-YEON

【AFP】ロンドン(London)本部を置く国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)は15日、2007年に世界で少なくとも約1200人の死刑が執行され、執行人数では中国が最も多かったとする報告書を発表した。

 アムネスティによると、2007年には24か国で少なくとも1252人の死刑が執行されたという。死刑執行を行った国のうち、中国、イラン、サウジアラビア、パキスタン、米国で全体の88%を占める。

 アムネスティは1252人という数字は最小限の推定数で、死刑の実態を秘密にしている国が多いことから、実際の執行人数は確実にこの数字を上回るとみている。

 アムネスティは「死刑にまつわる秘密主義を止めなければならない」と述べ、「多くの政府が、死刑執行が国民の支持に基づくものとしているからには、人々は自分たちの名前の下で行われていることをくわしく知る権利がある」としている。

 死刑を採用している国家のうち、中国が約470人で最も執行人数が多い。次いでイランの約317人、サウジアラビアの約143人、パキスタンの約135人と続く。

 中国では、税金詐欺や付加価値税の横領、電力施設の破損、ニセ薬の販売、着服、収賄、薬物犯罪などの約70の罪で死刑となる可能性がある。(c)AFP

「死刑確定後も上訴制度を」日本に求める

http://www.news.janjan.jp/living/0804/0804165074/1.php

黒井孝明2008/04/17

国連拷問禁止委員会で中心的な役割を果たしたメネンデス氏が東京で講演し、死刑制度を即時撤廃するよう求めるとともに、日本の代用監獄は捜査と拘禁を分離されていない点で問題だと指摘した。

 拷問禁止条約に関する対日審査を2007年5月に実施した国連拷問禁止委員会で中心的な役割を果たしたフェルナンド・マリーニョ・メネンデス氏が来日し、11日、東京の弁護士会館で講演した。同氏は日本における代用監獄の問題に触れたほか、拷問のおそれのある国への外国人送還を禁止する明文規定がないことに懸念をあらわした。

 メネンデス氏は日本で警察の留置場を代用監獄として使っていることについて、被疑者が起訴されるまで長期間拘束されることなどを問題とした。捜査と拘禁を分離することの必要性を強調した。また、難民に対する門戸が狭い日本には、難民認定を独立で取り扱う機関がないことを指摘した。

 死刑制度について、同氏は日本は即時撤廃するよう求めた。具体的な問題点として、死刑事件が確定した後の上訴制度がない点や、再審手続きや恩赦の申請が死刑執行停止にあたらないこと、過去30年間で死刑が減刑されていないことなどをあげ、死刑執行の即時停止と減刑のための措置が必要であると主張。また「日本では死刑執行のとき、事前に囚人の家族に日時などを知らせたりしない。それは非人道的だ」と話し、事前に家族へ知らせるほうが人道的と考えるという。

 米誌「ニューズウィーク」4月16日号(日本版)は、「増える死刑廃止国のまやかし」と題した記事を掲載。死刑制度が発展途上国にとって開発援助や経済協力を得るための取り引きカードと化している現状を指摘している。「(死刑を存置する)アメリカ、日本、インドの3国は、いずれも積極的に現行の制度を見直す気配はない。理由の一つは、死刑を廃止しても国際社会から大した見返りは得られそうにないからだ」(同誌)

 1984年の国連総会で採択された拷問禁止条約(拷問及び他の残虐な、非人道的な又は品位を傷つける取り扱い又は、刑罰に関する条約)には、日本は1999年に加入した。6年後の2005年12月、日本は同条約の運用状況に関する報告書を提出した。

 国連拷問禁止委員会は日本報告書を受けて審査を実施。2007年5月に日本に対し、拷問の定義、同条約の国内適用、拷問・虐待の時効、難民、代用監獄、死刑制度、取り調べのあり方など広範囲にわたる課題について懸念を示した勧告を出した。

 こういった経緯の一方、同委員会が日本の動きのなかで歓迎した点は、報告書審査にあたって日本政府とNGOが連携したこと、「出入国管理・難民認定法」と「刑事収容施設・被収容者処遇法」が相次いで改正されたこと、などだった。

 ただ、この勧告には法的拘束力はない。日本の司法関係者の大勢は勧告が裁判所で活用されることに懐疑的だ。日本政府が同委員会への第1回報告書を、提出期限だった2000年7月から5年も過ぎてから提出したというのも、この勧告の性格を裏付けるとともに、勧告に対する日本の姿勢を示している。

 日本政府は追加報告書を同委員会から求められている。勧告から1年以内とされている追加報告書の提出期限は今年5月に迫っている。

マレーシアで秘密処刑が存在?アムネスティが報告

http://www.malaysia-navi.jp/news/080417080209.html

2008/04/18 10:01 JST配信

【クアラルンプール】 国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは15日、年次報告を発表、マレーシアについては2007年に12人に対し死刑を執行したと推定されるとしたうえで、これ以外にも秘密裏に処刑が行われているとして懸念を示した。マレーシアの内務省や警察当局はそうした事実はないと反論している。

アムネスティの年次報告によると、2007年には24カ国で少なくとも1,252人が処刑され、51カ国で少なくとも3,347人が死刑判決を受けた。世界全体の死刑囚の数は2万7,500人に上ると推定されるという。

死刑執行した数が最も多かったのは中国の470人で、これに▽イラン▽サウジアラビア▽パキスタン一一が続いた。マレーシアについては、中国やシンガポール、モンゴルなどと並んで死刑執行に関する情報を公表していない国に分類。秘密裏に処刑が行われているとみられる国としては、マレーシア以外では、中国やモンゴル、ベトナムが挙げられている。

マレーシア警察のイスマイル・オマル副長官は、同国では犯罪捜査は法律に則ってオープンに行っていると強調。秘密裏に処刑が行われている国に分類されたことへの不快感を示した。

サイド・ハミド内務相は、アムネスティの報告内容が事実に反するとした上で、マレーシアのイメージを損なうものであると述べた。

(ザ・スター、ニュー・ストレーツ・タイムズ、ベルナマ通信、インターナショナル・ヘラルド・トリビューン、UPI、4月17日)

最新記事【2008年04月18日】

死刑執行抗議声明 アムネスティ・インターナショナル日本

http://www.amnesty.or.jp/modules/news/article.php?storyid=466

死刑の執行に抗議します。

本日、死刑確定者の中元勝義さん(大阪拘置所)、中村正春さん(大阪拘置所)、坂本正人さん(東京拘置所)、秋永香さん(東京拘置所)に対して死刑が執行されました。

従来と同様に今回の執行についても、本人や家族を含め誰にも事前の予告はなく、突然の執行となりました。今回の執行でも執行後に12月の執行以来3回目となる死刑囚の氏名および罪状が公開されました。しかしそれ以外の情報は一切公開されませんでした。死刑確定のプロセスや、確定後の再審請求、恩赦請求の棄却時期などの死刑囚の基本的人権の尊重において極めて重要な情報が開示されていません。

中元さんは無罪を主張しており、過去に再審請求もしていました。中村さんは精神障害の疑いが指摘されていました。坂本さんは一審判決が無期懲役で二審で逆転死刑判決を受け、上告せずに確定しました。秋永さんは一審判決が無期懲役で二審で逆転死刑判決を受けました。秋永さんの弁護士は恩赦請求の準備中であり、しかも請求直前であったという情報もあります。

今回の執行は前回の執行から約2カ月後に行われたものであり、鳩山法務大臣の手続きの簡素化を示唆する所謂ベルトコンベヤー発言に見られる、法務省の執行ペースを速め、大量処刑を目指す姿勢を体現するものです。アムネスティ・インターナショナルは強く非難します。

国際社会では既に135カ国が法律上又は事実上の死刑廃止を達成しています。昨年12月には国連加盟国に死刑廃止を念頭に置いた死刑執行停止を求める決議が採択されるに至っています。現在死刑廃止は世界的な潮流となっているなか、日本は正にこの流れに逆行し、その勢いを強めています。

2008年は国連人権理事会のもとで「普遍的定期審査(UPR:Universal Periodic Review)」という制度が新しく開始されます。これは、すべての国連加盟国(192カ国)の人権関係の義務・公約の履行について国連人権理事会が定期的に審査するという制度です(4年間を一周期とし、192の国連加盟国すべてが審査対象となります)。現時点で、日本はUPRの第2セッション(2008年5月5日~16日)で審査されることが決定しています。また、市民的・政治的権利に関する国際規約(自由権規約・ICCPR)に関する第5回政府報告書が2008年10月に自由権規約委員会によって審査される見通しです。これらの審査で日本が死刑を存置し、執行ペースを加速させていることは極めて厳しい追及を受けることになると予想されます。

国連総会決議に従い、死刑制度を廃止する一歩を、日本が近い将来に踏み出すことをアムネスティは期待しています。

2008年4月10日

社団法人アムネスティ・インターナショナル日本

最新記事【2008年04月17日】

死刑:薬物注射による執行は合憲 米最高裁

http://mainichi.jp/select/world/news/20080417k0000e030009000c.html

【ニューヨーク小倉孝保】薬物注射による死刑執行は「残酷で異常な処罰」を禁じた米国憲法修正8条に違反するとして、ケンタッキー州の死刑囚2人が執行の停止を求めた裁判で、米連邦最高裁は16日、これを合憲とする判断を下した。最高裁がこの問題の審理開始を決めて以来、ほとんどの州が死刑執行を一時停止していたが、合憲判断で再開されることになる。

 執行停止を求めていたのはラルフ・ベイズ(51)、トマス・クライド・ボウリング(53)の両死刑囚。2人は、「薬物注射の場合、麻酔が効かず苦痛の中で死亡するケースがある」と、執行停止を求めた。

 最高裁のジョン・ロバーツ長官は16日、「憲法が禁じるほどの苦痛を伴うとはいえないことで合意した」と語った。一方、長官は、「別の方法でより苦痛のないやりかたがあるかもしれない」とも述べ、将来、より適当な方法が見つかった場合、薬物注射にとって代わる可能性があるとの考えを示唆した。

 また、最高裁判事9人のうち7人が合憲、リベラル派2人が違憲と判断した。最高裁の合憲判断でバージニア州は16日、執行の一時停止解除を決めた。他の州も再開するのは確実だ。

 ◇ことば 米国の死刑制度

 現在、州法で死刑を規定しているのは全米50州のうち36州。そのほとんどの州が薬物注射で執行している。最高裁が薬物注射について審理することを決めた昨年9月以降、テキサス州以外は執行を停止していた。

毎日新聞 2008年4月17日 10時06分(最終更新 4月17日 12時46分)

最新記事【2008年04月16日】

50年前の死刑執行の瞬間をラジオ放送 関東で5月6日

http://www.asahi.com/national/update/0416/TKY200804160079.html

2008年04月16日11時06分

 文化放送は5月6日の報道特別番組「死刑執行(仮題)」の中で、死刑執行の瞬間を収めた1955年ごろの録音テープを放送する。裁判員制度開始を来年に控え、鳩山法相が死刑を巡って踏み込んだ発言をしたり、先日も4人の死刑が執行されたりする中、極刑の実情を知ってもらうのが狙いという。放送は午前10時から55分間で、関東の1都6県で聴ける。

 同局によると、テープは当時の大阪拘置所の所長が刑務官の教育と死刑囚の待遇改善のために内部向けに作製したもの。法務省にも提出されたという。たばこをすすめられた死刑囚が刑務官と最後の会話を交わす場面や、床が外れ、ロープがきしむ音など絞首刑執行時の音を記録。録音のすぐ後に新聞で報じられ、90年代にテレビで放送されたこともある記録だという。

 今回の番組では拘置所の元職員や刑務官、検察OBのほか、死刑囚の遺族にも取材した。死刑の瞬間を放送することは局内でも議論になったが、普段知ることの出来ない死刑の実態を伝えることに意義があると判断した。

 広報担当者は「演出や感想を交えることなく、事実を淡々と伝えることを心がける。死刑制度の存続や廃止を訴えるのではなく、現状を伝え、リスナーに考えていただくことが目的」と話す。

 法務省は「現在の死刑執行では録音をしていないが、五十数年前に録音がされたかどうかについては、確認できる資料がない」としている。

■賛成できない

 菊田幸一・明治大名誉教授(犯罪学)の話 録音に死刑囚の肉声もあるそうだが、おとなしく死を待つ死刑囚が選ばれたはずで、死刑が粛々と執行された印象を与えかねない。死刑執行の実態はもっと残虐なもので、中立的な死刑執行の報道とは思えない。こういうものを公にすることには賛成できない。

■大賛成

 今年初めに著書「死刑」を出した映像作家・森達也さんの話 放送は大賛成。死刑が具体的にどんなふうに行われているのか、公にされず、議論もないままに、裁判員制度が始まろうとしている。法務省が実態を隠すのであれば、メディアは暴かなければいけない。まずは広く知らせることの意義は大きい。

「死刑を迫られる日」はすぐそこまで来ている

http://www.ohmynews.co.jp/news/20080415/23516?cd

蛇の生殺し状態を続けるのもまた非道なのでは……(写真はイメージ、ロイター)

2008年4月10日、鳩山法務大臣は在任7カ月で10人目の死刑執行をしました。

 死刑を命じることは法務大臣の重要な職務の1つです。それにも関わらず、法務大臣が就任するたび、「死刑を執行する大臣か、しない大臣か」が注目されます。中には会見で死刑執行を拒否した大臣もいます。

「死刑」に悩むのは法務大臣ばかりではありません。死刑を言い渡す裁判官も重い役割を背負っています。現場で執行にあたる刑務官も、仕事とはいえ、つらい職務だろうと思います。

 その中で法務行政の最高責任者である法務大臣が、己だけ責務に背を向けることは、法の根幹を揺るがす行為であり、大臣として恥ずべきことです。

 今回の執行により、残った死刑確定者数は104名。死刑は本来、刑の確定から6カ月以内に執行されなければならないと定められています。

 しかし、現状、執行までは平均7年~8年ほどと言われています。裁判によって、死刑判決が確定しながら、適正に執行されていない現実がここにあります。

 裁判員制度が開始されれば、私たちが現実に判決を決める役割の一端を担うことになります。そこには死刑という選択肢が当然のように存在します。仮に私たちが死刑判決を下し、その刑の執行を法務大臣が拒めば、私たちの思いは時の法務大臣によって、ないがしろにされることもあるということです。

 私は鳩山大臣のさまざまな発言を聞くに付け、鳩山氏が法務大臣として死刑執行の権限を行使することには、いささか懸念を持っています。法務大臣の資質を疑うなど僭越(せんえつ)ですが、命の重さを軽んじる発言などは厳に慎むべきです。

 100名を超える死刑確定者を今後どうしていくのか。刑は執行するのか。するなら、いつするのか。しないなら、今後はどのような処分に変えるのか。そのための国民の合意をどう得ていくのか。

 蛇の生殺しのような状態を続けている非道を考えることも必要です。

 一方、「私たちを裁判に参加させて、自ら死刑の判断を下させることで、国民の死刑に対する抵抗感を、和らげていこうという思惑がある」という話も聞いたことがあります。また、死刑執行を増やし、国民に「死刑執行は当たり前」という意識を持たせる意図があるとも言われています。

 私たちは知らないうちに死刑を容認する方向に、マインドコントロールされているのでしょうか。

 世界は死刑廃止に向かっているとも言われます。韓国は昨年「死刑廃止宣言」をしました。日本国民はこのまま死刑制度を継続していきますか? 終身刑などの選択肢は必要ありませんか? 刑期の50年・100年はなくてもいいですか?

 私たちが「死刑を迫られる日」はもうそこまで来ています。

最新記事【2008年04月15日】

中国の死刑執行、大幅減 五輪開催意識か

http://www.chunichi.co.jp/s/article/2008041501000187.html

 【ロンドン15日共同】国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(本部ロンドン)は15日、2007年に世界24カ国で少なくとも計1252人に死刑が執行されたとの報告書を発表した。うち最多の中国が少なくとも470人で、把握された人数の3分の1を超えるが、06年の同1010人からは大幅に減少した。

 中国は北京五輪を控え、国際社会の批判を意識した可能性がある。しかしアムネスティは、実際にはより多くの死刑が秘密裏に行われたとの「強い懸念」を表明した。

 2位以下はイラン(少なくとも317人)、サウジアラビア(同143人)、パキスタン(同135人)、米国(42人)で、上位5カ国で88%を占める。人口比ではサウジが最多。日本は9人だった。

 アムネスティは、中国の最高人民法院(最高裁)が昨年1月、死刑の適否を判断する新制度を施行した後に「大幅に減少したとみられる」とし、この傾向を歓迎した。

沖縄タイムス社説 2008.4.13

[裁判員制度]なお慎重さを求めたい

http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20080413.html

重大事件の刑事裁判に国民が参加する裁判員制度が二〇〇九年五月二十一日にスタートする。

 裁判員法が同日施行され、それ以降に起訴される殺人、強盗致死傷、現住建造物等放火、傷害致死、危険運転致死などの刑事事件が対象だ。

 各市町村選管が必要な人数を選挙人名簿からくじで選び、地裁に提出。来年六月中旬から下旬にかけて裁判員候補者に呼び出し状が届くことになる。

 誰でも裁判員に選ばれる可能性が出てきたわけである。

 裁判に加わるのは裁判員六人と裁判官三人だ。

 判決の前に法解釈をめぐって裁判官と一般の裁判員が評議するが、果たして対等に議論できるのかどうか。

 判決は被告人の運命を左右するだけに、死刑を含む有罪の場合の量刑、あるいは無罪の判断を自信をもって下すことができるのかが、やはり気になる。

 好むと好まざるとにかかわらず、情報が洪水のように押し寄せてくるのが私たちが生きている社会だ。

 裁判員は予断と偏見を持たずに被告人を裁くことが何よりも重要だが、無色透明の状態で裁判に臨むのは難しいのではないか。

 私たちは国民の司法参加を否定するものではない。だが、事件に関する情報を一切シャットアウトして、検察側、弁護側の証拠調べのみで事件に接するのはむしろ現実的でない。

 裁判員制度では審理をスピードアップするために公判前整理手続きが行われる。最高裁は「裁判員裁判の九割は五日以内に終わる」としている。

 だが、スピードのみを目的にしてしまうと、肝心の事実認定のための証拠調べがおろそかになる恐れも出てくる。何よりも、そのことが懸念される。

 捜査段階の密室の取り調べで自白したものの、公判に移ってから否認する事件もあるからだ。

 これまでの冤罪事件で繰り返されたパターンであり、短い審理で裁判員が被告人の言い分を十分に聞き、心証形成できるのかどうか。

 それがうまく機能しなければ、「疑わしきは被告人の利益に」という刑事裁判の大原則が崩れる可能性もある。

 判決が「社会的常識」から乖離したものであってはならないのは当然だが、裁判員制度の導入で誤判、冤罪を防ぐことができると考えるのは早計だろう。

 政府は最高裁の意識調査で、裁判員裁判に「参加したい」「参加してもよい」「義務ならやむを得ない」と答えた人の合計が60%を上回ったことから実施の判断をしたという。

 一方、日本世論調査会の調査では裁判員を務めたくないと考える人が72%に上る。制度を知らない人も五割近くおり、国民の間に浸透しているとはいえない。

 裁判員制度はさまざまな問題を抱えている。

 裁判員制度が始まる前に、もう一度立ち止まり、導入への機が熟しているのかどうか、なお慎重に考えてみる必要がある。

中国、470人を死刑に=07年執行数、半減も世界最多-アムネスティ

http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2008041500169&j1

【ロンドン15日時事】国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは15日、2007年に世界24カ国で計1252人が死刑となり、このうち中国での執行件数は少なくとも470人で最多だったとする報告書を公表した。

 中国は死刑執行件数を発表しておらず、数字は推計に基づくもの。同団体によると、06年の執行数は1010人で、ほぼ半減した。


死刑 中国が最多470人超 昨年確認分のみ、執行数非公表

http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2008041502003817.html

2008年4月15日 夕刊

 【ロンドン=共同】国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(本部ロンドン)は十五日、二〇〇七年に世界二十四カ国で少なくとも計千二百五十二人に死刑が執行されたとの報告書を発表した。うち最多の中国が少なくとも四百七十人で、把握された人数の三分の一を超えるが、〇六年の同千十人からは大幅に減少した。

 中国は北京五輪を控え、国際社会の批判を意識した可能性がある。しかしアムネスティは、実際にはより多くの死刑が秘密裏に行われたとの「強い懸念」を表明した。

 二位以下はイラン(少なくとも三百十七人)、サウジアラビア(同百四十三人)、パキスタン(同百三十五人)、米国(四十二人)で、上位五カ国で88%を占める。人口比ではサウジが最多。日本は九人だった。アムネスティは、中国の最高人民法院(最高裁)が昨年一月、死刑の適否を判断する新制度を施行した後に「大幅に減少したとみられる」とし、この傾向を歓迎した。

 しかしアムネスティは、米人権団体「米中対話基金会」が中国で昨年、六千人の死刑が執行されたと推計していることを紹介し「五輪の準備を進めるこの時期に、中国政府に秘密の死刑の停止や詳細な情報の提供を要求する」と強調した。

 北朝鮮でも死刑は執行されたが人数は不明。昨年十月、工場経営者(75)が自己資金の投資や息子たちを工場幹部に指名したこと、国際電話をかけたことなどを理由に銃殺された例を報告した。

死刑執行、適正に判断=町村官房長官

http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2008041400659

2008/04/14-17:38 死刑執行、適正に判断=町村官房長官

 町村信孝官房長官は14日午後の記者会見で、鳩山邦夫法相の下での死刑執行が10人になったことについて、「法相が法の定めに従って適正に判断した結果だ」と述べた。

 国連が昨年12月の総会で死刑執行の一時停止を求める決議を採択していることに関しては、「死刑に対する国民感情があり、刑法の在り方はそれぞれの国で判断される」と強調。「凶悪犯罪が増え、1つの抑止力という意味合いも死刑執行にはあるかなと思う」とも語った。

最新記事【2008年04月12日】

始まる裁判員制度:模擬裁判、企業の休暇制度…準備着々 まだ抵抗感強く

http://mainichi.jp/select/wadai/news/20080408dde041040028000c.html

裁判員制度が来年5月21日から始まることになり、市民の刑事裁判参加が目の前に迫ってきた。模擬裁判が繰り返され、企業が「裁判員休暇」を設けるなど準備が進む一方で、国民に強い抵抗感も残る。市民参加に積極的だったはずの弁護士サイドから異論が出るなど、実施までには課題も多い。【北村和巳、武本光政】

 ◇懸命のPR効果頭打ち 育児サポート対応遅れ

 ◇「参加しない」37%

 最高裁が今年実施した調査で、裁判員に「義務でも参加したくない」は37・6%に上った。「参加する」は6割で、最高裁や法務省の懸命のPRにもかかわらず頭打ち。最高裁幹部は「数字的にはこの程度が限界。制度運営には十分な水準だ」と言う。今後は国民の不安を取り除くPRに力を入れるという。

 東京地裁で3月、主婦が裁判員役となった模擬裁判。検察、弁護側はビジュアルを駆使し、言葉もかみ砕いた。だが参加者は「専門用語が分からない」「説明が長すぎる」と厳しい。評議に疲れ黙ってしまう人もいた。

 ◇厳しい中小企業

 今年の春闘。裁判員向けの有給の休暇制度を設けるよう求める労組が目立った。トヨタ自動車など大企業は既に導入を決めている。

 だが中小企業の対応は遅れている。東京商工会議所が昨年行ったアンケートでは73%が「特に何もしていない」。東商と日本商工会議所は06年末、従業員50人以下の企業の勤務者は原則的に辞退を認めるよう法務省に要請した。日商は「裁判所は実態を見て対応してほしい」と配慮を求める。

 育児を抱える人の負担を踏まえ、厚生労働省は3月、一時保育の時間延長を要請する文書を各自治体に送った。裁判員裁判を行う裁判所のある60市区のうち、全保育所が午後6時までの保育を受け付けるのは22市区。延長を求められた千葉市は「保育士の配置など具体的な検討はこれから」と話す。

 ◇「プロ」から異論

 新潟県弁護士会は2月末、制度実施延期を求める決議をした。国民の支持が不十分で拙速審理の危険があることなどを理由とした。提案者代表の高島章弁護士は「死刑判決もある重大事件の審理を国民に任せるのは、時期尚早だ」と訴える。

 東京地裁は4月から数日間で審理する「連日開廷」に取り組む。弁護士会側も賛意は示すが、国選弁護の場合は複数を選任するよう要望した。負担増大に不安を募らす弁護士が多い。8日会見した日本弁護士連合会の宮崎誠会長は「弁護士にも戸惑いはあるが、必要性について理解を求め、研修を重ねて弁護態勢確立に全力を挙げたい」と述べた。

 検察側は取り調べの一部録音・録画を、制度対象事件すべてに拡大する。ある最高裁幹部は「裁判員制度は法曹三者すべてに、変革というやいばを突きつけている」と語る。

毎日新聞 2008年4月8日 東京夕刊

ド素人の多数決で「感情裁判」時代がやってくる? ~『つぶせ!裁判員制度』井上薫著(評:荻野進介)

http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20080410/152787/?ST=life

われわれ物書きにとって切実な問題である名誉毀損訴訟に興味をもち、ある裁判の傍聴に何度か通っている。恥ずかしながら、法学部出身のくせに、法廷に初めて足を踏み入れることになった。そして発見したのだが、裁判というのは想像以上にスリリングだ。被告人の口頭弁論など、言い古された言葉だが、下手なテレビドラマより面白い。

 黒い法服をまとった裁判長の口調は丁寧で、声量も大きくないが、有無を言わせぬ迫力がある。権力を笠に着て、というのはこういう人を言うのだなあ、と妙に感心した。

 でも自分が人を裁く立場になりたいか、といったら真っ平ごめんである。

 そんな志はなかったから、ひたすらアホウ学徒の道を突き進んで今があるわけだし、間違った判決を下して誰かの人生を狂わせた挙げ句、逆恨みでもされたらたまったものではない。

 しかし、世の中、何が起こるかわからない。あなたも私も、国家権力を背景に、本物の刑事被告人と対峙し、生死を含めた、その人の命運を左右する仕事につく可能性が出てきた。来年5月までに実施されることが決まっている裁判員制度によってである。

 同制度は、法曹三者(裁判官・検察官・弁護士)の現場の声とはまったく別に、小渕内閣によって設置された司法制度改革審議会による「国民の司法参加」という提言が発端となっている。

 死刑、無期懲役、無期禁錮といった重大な刑事事件の一審において適用され、この制度下で裁かれることを被告は拒否できない。ひとつの事件を9人で担当し、うち3人が裁判官、6人が裁判員である。評決(最終的な判決)は9人の多数決(5人以上の過半数)によるが、最低、1人の裁判官の同意を含まなければならない。

 裁判員は有権者の間から抽選という無作為方式で選ばれ、親の介護や自分の病気といった特別な事情をもつ人でなければ免除されず、いつ何時、指名されるかわからない。いわば現代の赤紙、召集令状なのである。

 しかも殺人事件を担当しようものなら、見たくもない、血みどろの現場写真を見せられ、耳をふさぎたくなるような凄惨な話を延々と聞かされる。おまけに、裁判員として関わった事件の評決内容を一言でも口外しようものなら、懲役刑に処せられる。死刑判決に関わる人ももちろん出てくる。「司法参加」どころか、「苦役参加」となる国民が多いのではないか。

プロが付くから大丈夫、といっても

 本書は、判事(裁判官)を10年勤めた経歴をもつ弁護士が、法律のド素人が裁判担当者となる、この制度の、数々の欠陥と違憲性を噛んで含めるように説き、一刻も早い廃止を訴える内容である。

 なぜ違憲なのか。そもそも日本は三権分立で、かつ国民主権の民主主義国家である。国民主権を実現するには、立法、行政、司法それぞれに、十分な民意が反映されなければならない。立法には、国会議員の選挙を通じて直接、行政に対しては、国会における内閣総理大臣の指名を経て間接的に民意が反映されている。

 唯一、民意が反映されていないように見えるのが司法である(最高裁判所長官に対する国民審査について、著者は触れていないが、あれは誰が見ても形式的なものだろう)。

 しかし、違うのだ。憲法76条に「すべて裁判官は、その良心に従い独立してその職権を行い、この憲法及び法律にのみ拘束される」という規定があるが、憲法と法律(この2つを合わせて法令という)こそ、民意の塊であり、それらに拘束されるという意味で、司法にも、民意は反映されている、というのが著者の主張だ。

〈憲法が裁判官に対し法令に基づく裁判を命じたのは、国民主権原理を司法の場に届かせるため(司法の民主的コントロール)であり、この法令に基づく裁判の要請が司法の民主的コントロールの手段として唯一のものである〉

 法令に基づく裁判をするためには、法令を知っていること、さらに言えば、最低限、法律の素養があることが不可欠だ。

 そのためには、殺人罪における「人」とは何か、といった法概念(例えば、胎児は人なのか否か)、字面は一致していても日常語の意味を超えて使われる用語(例えば、部屋でだけではなく、走行中のバイクの後部座席に無理やり乗せられた場合も「監禁」となる)、罪によって異なる保護法益(例えば、殺人の場合は人、放火の場合は公共の平穏)など、おさえておくべき事項は山ほどある。ああ、アホウ学徒も頭が痛い。

 いくらプロの裁判官が3人同席するとはいえ、毎回、無作為に選ばれる6人の裁判員には、こうした法律の素養が期待できないし、法令も知らない。その結果、法令に基づかない、基準なき裁判、どんな結論が出てくるかわからない裁判が出現するというのである。

 結局、裁判員制度の施行は日本の司法のあり方を大きく転換させることになる。法律のプロが、真相解明をめざし、慎重に証拠を検討し、事実認定を下す現行の刑事裁判から、真の盗人が誰だかわからないので、入れ札で犯人を決める江戸時代のやり方に戻ることを意味する、というわけだ。著者はこうも言う。

死刑執行に廃止議連が抗議/「機械的処刑、許せない」

http://www.shikoku-np.co.jp/national/social/article.aspx?id=20080410000420

 4人の死刑が執行されたことを受け「死刑廃止を推進する議員連盟」のメンバーらが10日、記者会見し、事務局長の保坂展人衆院議員(社民)は「わずか4カ月間に10人が執行された。機械的に処刑が進むということであってはいけない。厳重に抗議する」と訴えた。

 保坂議員は来年5月に始まる裁判員制度に言及し「市民が3日間の評議で死刑か無期か答えを出すということでいいのか。死刑意見が全員一致ではなく過半数だった場合は終身刑とする議員立法を目指す」と述べた。

 死刑廃止に取り組む安田好弘弁護士も、今回の執行が判決確定から最短3年だったことに触れ「確定6カ月以内に執行するとした刑訴法の規定に近づけようとしているのではないか。人の命に対する価値観をどんどん崩壊させている」と指摘した。

死刑制度:仏教の教えに基づき、廃止考えよう--13日、下京で /京都

http://mainichi.jp/area/kyoto/news/20080410ddlk26040715000c.html

仏教の不殺生の教えに基づいて死刑制度廃止の考えを深めようという集会「えらばず・きらわず・みすてず~真宗と死刑廃止」が13日午後1時半から下京区花屋町通烏丸西入の大谷婦人会館で開かれる。

 真宗大谷派死刑廃止を願う会の主催。はじめに松本サリン事件の被害者、河野義行さんが講演。続いて元真宗大谷派教学研究所長の玉光順正さん、同派僧侶の谷川修真さん、オウム真理教事件の被告を支援する「『生きて罪を償う』井上嘉浩さんを死刑から守る会」事務局の平野喜之さんを加えた4人がパネリストとなって討論する。

 資料代500円。問い合わせは同願う会事務局(053・440・0054)。【丹野恒一】

毎日新聞 2008年4月10日 地方版

日本、5カ月で10人に死刑執行

http://www.chosunonline.com/article/20080411000043

身元、罪状も公開

 日本政府が10日、4人の凶悪犯に対する死刑を執行した。今年2月、3人に対する死刑を執行してからわずか2カ月後のことだ。昨年9月に福田内閣が発足して以来、死刑が執行されたのはこれで10人となった。


 この日、死刑が執行されたのは、▲帰宅途中の高校1年の女子生徒を拉致・殺害し、両親に身代金を要求した死刑囚、▲アパート経営者が所有する土地を勝手に売却して金をだまし取り、口封じのため殺害した後、分配金をめぐるトラブルで共犯者も殺害した死刑囚、▲宝石商夫婦を殺害し、宝石などを奪った死刑囚、▲男性二人を窒息死させて現金を奪い、遺体を切断して捨てた死刑囚―の4人。このうち3人は、死刑判決が確定してから4年足らずで執行された。朝日新聞によると、昨年までの10年の間、死刑判決の確定から執行までは平均8年かかっていたという。


 死刑執行を命令した鳩山邦夫法務相は、この5カ月間で10人の死刑を執行させ、一人の法相が命令した死刑執行の件数としては長勢甚遠前法相と並ぶ最多記録となっている。鳩山法相は執行の直後、「これからも法に定められた責務を粛々と遂行していく」と語った。


 鳩山法相は昨年12月、就任以来初めて死刑を執行した際、戦後初めて死刑囚の氏名や年齢、罪状などを公開し、「凶悪犯の人権は考慮するに値しない」という姿勢をはっきりさせた。


 東京大法学部出身の鳩山法相は、政界の大物だった故・鳩山一郎元首相の孫であり、また母方の祖父は世界最大のタイヤメーカー・ブリヂストンの創業者である故・石橋正二郎氏で、政界・財界を代表する名門家系の出だ。


 市民団体の反対にもかかわらず、日本では死刑執行の件数が急激に増えている。在任期間がわずか1年間だった安倍内閣の下でも10人に対する死刑が執行された。約5年半続いた小泉内閣の下で死刑が執行されたのが8人だったことから考えれば、安倍内閣以来、死刑執行の件数が急増していることが分かる。


 韓国と同じように、日本でも1980年代以来、死刑廃止を求める人権主義者たちの批判が高まり、死刑執行は一時中止された。だが、凶悪犯罪が増加するとともに、メディアが犯罪報道を競うようになったことで、世論も急激に変わった。1993年、「カミソリ」の異名を持つ当時の後藤田正晴法相(故人)は「法と国家の根幹を揺るがす」として死刑執行を再開し、法治主義を維持するための手段としてこれまで死刑を執行してきた。


東京=鮮于鉦(ソンウ・ジョン)特派員

社民党の声明。


2008年4月10日

死刑執行に強く抗議する(談話)

社会民主党

 党首 福島みずほ

本日、法務省は、東京拘置所と大阪拘置所で、4人の死刑を執行し、死刑囚の氏名や犯罪事実を公表した。社民党は死刑制度が人道と社会正義に反するものとして、その存置に強い疑問を呈してきた立場から、今回の4人の死刑執行に強く抗議する。

今回の死刑執行は、今年2月1日の執行からわずか2ヵ月しか経っていない。鳩山邦夫法務大臣としては3回目の執行であり、10名に対して執行したこととなる。死刑制度に関して国内外で大きな議論が起きていることを無視するような鳩山法務大臣と法務省の姿勢は、言語道断と言わざるをえない。

1989年の国連総会で「死刑廃止条約」が採択されて以来、国連人権委員会でも「死刑廃止に関する決議」がなされ、死刑存置国に対して「死刑に直面する者に対する権利保障を遵守するとともに、死刑の完全な廃止を視野に入れ、死刑執行の停止を考慮するよう求める」とした呼びかけがなされている。さらに昨年12月18日には、国連総会で死刑の執行停止を求める決議が採択された。今回の執行は、死刑制度の廃止に向かう世界の流れに逆行したものである。

死刑制度については、存廃や死刑に代わる措置など刑罰の在り方について国民的な議論を尽くし、その間、政府は死刑の執行を差し控えるべきである。社民党は、今後も死刑制度の見直しに全力を挙げて取り組む。

以上

最新記事【2008年04月11日】

4人の死刑執行 鳩山法相 4カ月で計10人

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2008041002002664.html

法務省は十日、アパート経営の女性らを殺害した元不動産ブローカー秋永香死刑囚(61)ら四人の死刑を執行したと発表した。鳩山邦夫法相の命令による執行は三度目で、四カ月間で計十人になった。これだけ短期間に執行が集中するのは極めて異例。鳩山法相は記者会見で「粛々と執行している。人数や執行の間隔は意識していない」と述べた。

 一日に四人の執行は、二〇〇六年十二月の長勢甚遠法相(当時)下での執行以来。国会開会中は執行を避けるのが慣例となっていたが、鳩山法相は三度とも開会中に執行を命じた。

 執行されたのは▽一九八九年、東京都杉並区のアパート経営の女性=当時(82)=の土地を転売して二億八百万円をだまし取り、女性と詐欺の共犯者を殺害した秋永(獄中結婚で岡下から改姓)香死刑囚▽〇二年、群馬県の女子高生=当時(16)=を拉致して殺害後、父親から身代金を受け取った坂本正人死刑囚(41)=いずれも東京拘置所在監▽八二年、大阪府和泉市で顔見知りの宝石商夫婦を殺害した中元勝義死刑囚(64)▽八九年、滋賀県内で元同僚ら二人を殺害し現金を奪った中村正春死刑囚(61)=いずれも大阪拘置所=の四人。

 死刑確定から十一年一カ月で執行された中元死刑囚以外は、確定後三年-三年半での執行になった。法務省によると、現在の確定死刑囚は百四人になった。

最新記事【2008年04月09日】

死刑廃止:考えよう 13日に京都・大谷婦人会館で集会 /大阪

http://mainichi.jp/area/osaka/news/20080408ddlk27040705000c.html

仏教の不殺生の教えに基づいて死刑制度廃止の考えを深めようという集会「えらばず・きらわず・みすてず~真宗と死刑廃止」が13日午後1時半から、京都市下京区花屋町通烏丸西入の大谷婦人会館で開かれる。

 真宗大谷派死刑廃止を願う会の主催。はじめに松本サリン事件の被害者、河野義行さんが講演。続いて元真宗大谷派教学研究所長の玉光順正さん、同派僧侶の谷川修真さんらがパネリストとなって討論する。

 資料代500円。問い合わせは同会事務局(053・440・0054)。【丹野恒一】

毎日新聞 2008年4月8日 地方版

法の狙いはズレていないか? 市民の司法参加に必要な条件(CSR解体新書36)

http://business.nikkeibp.co.jp/article/person/20080407/152369/

 前回はエイプリルフールということで、嘘を書いたわけではありませんが記事に少し仕掛けを施してみました。米国の「差別陪審」に関して「罪刑法定主義」という日本語の訳語を使われたのは、実は刑法の團藤重光教授なのです。以前そのご教示の通りに、私の名前で話をしたところ、法律関係者と思しい人から、上からの物言いで指摘を受けました。何か言い間違えたかな、と慎重に準備し直して、もう一度別のところで試してみると、やはり同様の反応がある。これは…ということで、「四月馬鹿」のオンエアで試してみたわけですが、いかがだったでしょうか?

「差別陪審」と罪刑法定主義の精神

 2007年2月10日、私はNHK・BS番組「地球特派員」の取材で米国ノースカロライナの州都ラレイで行われたHK on JS(Historic Thousands on Jones Street)というデモ行進と集会に参加しました。Kというのは1000人で「キロ」だそうです。実際5000~6000人ほどの人が集まっていました。そこで北米東海岸中南部のノースカロライナ州などでは、現在も黒人層やヒスパニックに対する差別が白人中心の陪審を大きくゆがめてしまう現実を知りました。

 レイプや殺人などの事件で、前科があったり、素行不良だったりする容疑者が、不十分な証拠で逮捕され起訴されることが少なくない。それが陪審裁判で裁かれ有罪を宣告されて、刑に服している。たまたま物証が残っていたケースでDNA(デオキシリボ核酸)鑑定などを行うと、次々と冤罪が判明する。しかし決定的な物証がないまま無実を主張している受刑者も数多い。ここには法による支配rule of lawが成立しておらず、憲法に保障された人権が蹂躙されている。こういう主張がなされていました。

 帰国してからこの「差別陪審」の問題をめぐって国内の先生方にお話を伺いました。上智大学のホセ・ヨンパルト名誉教授は「法治」が成立していない状況は「人治主義」で、法治国家A constitutionalstateが実質的に崩壊していると説明されました。ここで「差別陪審は罪刑法定主義の根幹を危うくする」と指摘されたのが團藤先生でした。

 差別陪審でも、見かけ上はいわゆる法の手続きとしては正当とされる手順due processが踏まれています。しかし白人層の多い陪審員の黒人やヒスパニックの人々に対する人種的偏見に基づく誤謬で、無実の人が罪に陥れられてしまう状況が社会に固定化している。この状況は罪刑法定主義の根幹を危ぶむものと團藤先生は言われ、このように続けられました。

 「最近の若いひとは法解釈ばかりやって法の精神を全く理解していない。もちろん解釈学はとても大事だ。しかし法には表面に表れる以上の精神がある。文化としての法を、大学も刑法学者も全く分かっていない」

 (正確な一言一句は違うかもしれませんので、本稿も團藤先生にチェックしていただいてからオンエアしています。ただし、本文中にあるかもしれないミスはすべて伊東の文責によるものです)

 米国の差別陪審は一見遵法的な手続きを踏むように見えながら、恒常的に冤罪をつくり続けている。ここで問われるのは法治の根幹であること、そして「罪刑法定主義の精神」への深い理解の大切さを、團藤先生は強調されました。

 そこでご紹介があったのが、先週引用したチェザーレ・ベッカリーアの原典です。

 ベッカリーアの名を挙げながら、團藤先生は、現在日本への導入が急がれている「裁判員制度」が、いかに民衆の内部からわき上がってきたものでないかを説かれました。

 何らかの理由で役所と学者が考えついて、木に竹を接ぐように作られたものであること、その不用意な運用は容易に法治国家日本の罪刑法定主義の根幹を揺るがしかねないこと、法の解釈に当たっては、必ずしも文字で書かれない、その精神を理解することが決定的に重要であること、しかしそれが簡単に忘れられたり、別のものにすげ替えられたりすること、などなどなど。こうした批判に続いて、刑罰の「比例原則」が成立し得ない不可逆的な死を刑法は宣することができない、という團藤教授の死刑廃止論の議論になりました。

 ちなみに、團藤先生ご自身が死刑廃止論を説かれると、廃止論者の聴衆は当然、大いに賛同します。そんな時、存置論者や態度を決めかねている人は、微妙で畏れ多げに沈黙して、その場の時が過ぎます(そういう場に幾度か居合わせる経験があります)。そこで述べられるのとほぼ同様の内容を、法の素人である私が言うと、「だから素人はダメだ」といった風情の指摘をほぼ確実に受けます。

 同じことを言っても、発言者によって態度が変わるとすれば、これは科学的なやり取りとは言えません。そうした議論は学術ではなく、権威を背景とする根拠のない駆け引きになってしまいやすい。それに注意したいのです。


法廷は根拠のない駆け引きでよいのか?

 今、法の素人の市民が審理に参加しようという現在日本の状況下で「普通の法律関係者」が状況をどう捉えているか、法律家が市民を上から見下したりしていないか、そういった検証が目の前でシミュレートできるかな、と思って、エイプリルフールの企画を考えてみました。もちろん、すべての文責は私にあり、瑕疵や誤謬があればどうかご指摘いただければ幸いです。謙虚に伺いたく思います。

 私がわざと交ぜたのは、例えばベッカリーアの「原則」に照らせば市民裁判員の模擬法廷で重罰判決が出る傾向は「誤判」など、見る人が見れば反応しそうなフレーズです。言うまでもなくベッカリーアの原典は日本の現行法ではないのだから、「誤判」という表現は強すぎます。一番のひっかけは「罪刑法定主義」そのものと、必ずしも明文化されていない「罪刑法定主義の精神」とを同じように記したことで、こういう書き方をすると「概念を理解していない」「複数の概念を混同している」などと指摘されることが多いです。

 しかし、ここでちょっと考えてみていただきたいのです。

 2009年以後、市民裁判員に選ばれる普通の人々で、いったいどれだけの人が、各種の概念を正確に理解しているでしょうか? あるいは裁判員裁判の開始後、判決を下した後で裁判員経験者を調べてみて、こういった概念をきちんと分別理解して審理に加わったひとが、どの程度いると期待できるでしょう? 

 法務省自身は、そんなことは考えていないように見えます。

では、法廷でのやり取りは、素人相手の根拠を欠く、こけおどしのようなやり取りでよいのでしょうか

死刑問題にゆれるカリブ海諸国

http://www.news.janjan.jp/world/0804/0804054335/1.php

北米、西欧・中欧などに比べ、殺人率が高いカリブ海諸国は、昨年12月、国連総会で死刑執行モラトリアム決議が採択されたとき、シンガポールを先頭とした死刑存置陣営に加わった。

ポートオブスペインIPSのピーター・イスチリョンより、カリブ海諸国における死刑論議について報告したIPS記事。(IPS Japan武原真一)

【ポートオブスペインIPS=ピーター・イスチリョン、3月31日】

 昨年12月に国連総会で死刑執行モラトリアム決議が採択されたとき、カリブ海諸国は、シンガポールを先頭とした死刑存置陣営に加わった。そんなカリブ海諸国でいま、死刑制度の是非をめぐる論争が交わされている。

 国連と世界銀行が2007年に共同で行った調査によると、カリブ海諸国における殺人率は人口10万人あたり30人であった。これは、北米の4倍、西欧・中欧の15倍という高率である。ジャマイカでは昨年、1600件以上もの殺人があった。今年はすでに400人以上が殺害されている。

 ジャマイカでビル・ジョンソン氏が行った世論調査によると、死刑事案に関して誤判が起こる可能性があると考えている回答者は43%にのぼった。しかしながら、18年間にわたって続いている執行停止をやめて死刑を再開すべきかたずねたところ、79%が肯定的な答えであった。

 バハマでは、キリスト教の指導者たちが、8年間の死刑執行停止を破るべきかをめぐって論争を繰り広げている。ローマカトリック教会のパトリック・ピンダー枢機卿は、誤判の可能性や、殺人は衝動的なものである事実などを指摘して、死刑に反対の立場をとっている。他方、バハマキリスト教徒協議会のジョン・ヒュームズ司教は、死刑を即時復活すべきだと主張している。

 トリニダード・トバゴでは、ピーター・マニング政権が、9年間の執行停止を破るかまえを見せている。ただ、政権が約束していた、この件に関する議会討論はまだ始まっていない。

 グレナダでも、野党・国民党のドーセット・チャールズ党首を中心に、死刑復活の要求が高まってきている。

 カリブ海諸国における死刑論議について報告する。(原文へ)

翻訳/サマリー=山口響/武原真一(IPS Japan )

最新記事【2008年04月04日】

米バージニア州が死刑停止 連邦最高裁の合憲判断待ち

http://www.chunichi.co.jp/s/article/2008040301000180.html

2008年4月3日 10時20分

 【ニューヨーク2日共同】米南部バージニア州のティム・ケーン知事(民主党)は2日までに、連邦最高裁が審議中の薬物注射による死刑の合憲性の判断を下すまで、州内でのすべての死刑執行を停止すると発表した。

 同州によると、昨年9月に最高裁が審議開始を決定した後、13州で約30人の死刑執行が裁判所や知事の命令で個別に停止されているが、すべての死刑停止を公式に表明した州は初めてとみられる。

 米の非営利団体「死刑情報センター」によると、米国では昨年9月25日にテキサス州で死刑が行われて以降、半年以上、執行がない状態が続いている。

 知事は声明で、4月8日に予定されていたエドワード・ベル死刑囚の死刑執行を7月24日まで延期したと表明し「最高裁の判断が出るまで執行を停止するという法曹界の合意を尊重する」と強調した。最高裁は7月中旬にも判断を示す見通し。

最新記事【2008年04月03日】

洛書き帳:「叫びたし 寒満月の 割れるほど」… /京都

http://mainichi.jp/area/kyoto/news/20080403ddlk26070742000c.html

 「叫びたし 寒満月の 割れるほど」。誤判への怒りを込めた俳句を残し、刑場に消えた西武雄・元死刑囚を知っているだろうか。彼の無実を信じて再審運動に一生を捧げたのが、熊本県のシュバイツァー寺住職だった故・古川泰龍さんだ▼終戦直後に福岡市で起きた射殺事件の西元死刑囚に教かい師として出会い、全国をたく鉢や辻説法をして歩いた。75年の死刑執行後も宗教者の立場から死刑制度を批判し続けた▼「いかなる理由であれ、殺すな、ということですよ」。そう言い切れた古川さんを尊敬している。福岡からの異動で今月から宗教を担当するが、どんな宗教者に出会えるのか楽しみだ。【木下武】

毎日新聞 2008年4月3日 地方版

最新記事【2008年04月01日】

映画「休暇」で、謎に包まれた死刑囚・金田役を演じる西島秀俊

http://www.fe-mail.co.jp/trend/artistinfocus/80401.cfm

(C)2007「休暇」製作委員会

『休暇』(6月7日より、有楽町スバル座、お台場シネマメディアージュほか、全国ロードショー)

監督/門井 肇 脚本/佐向 大 出演/小林 薫、西島秀俊、大塚寧々、大杉 漣ほか

http://www.eigakyuka.com

たかが休暇のために、ヒトの命を奪う行為に加担するのか? 有給休暇を使い果たしてしまった刑務官の決断が、周囲の人々のこころに大きな波紋を呼ぶ……。原作は、文豪・吉村 昭の短編小説。生死と直面する死刑囚や刑務官たちの日常、そして親子3人のささやかな新婚旅行をとおして、それぞれの幸福、人間の尊厳、家族の絆を浮き彫りにする。

緊張感や集中力をもって、ずっと役に触れつづけるということを考えていました

映画を愛し、そして映画に愛されている俳優・西島秀俊さん。最近は、TVドラマやコマーシャルで姿をみかけることも多いとはいえ、やはりスクリーンをとおして出会いたいヒトだ。いまや日本映画に欠かせない顔の西島さんが、「骨太な、生きること、そして命についての映画」と語る新作『休暇』では、謎に包まれた死刑囚・金田役を体現。死と背中合わせになりながら、絵を描くことに没頭する男を、静かに、けれど圧倒的な存在感で演じきっている。


――今作への出演を決めた理由はなんでしょう?

「いただいた脚本がとてもすばらしくて、ぜひ参加させていただきたいと思いました」

――普段も、脚本で決めることが多いのですか?

「それは……たぶん、監督が決め手となることのほうが多いと思います。『休暇』の脚本の佐向(大)さんとは以前、別の作品でご一緒したことがあって。佐向さんの『まだ楽園』という作品も観ていたので、いつか監督としてご一緒するのかな、と思っていたくらいでした。こっちが勝手に思い込んでいたんですけど(笑)。今回、本当におもしろい脚本を読ませていただきました」

――脚本のどんな点に、とくに惹かれたのでしょう?

「僕は死刑囚がメインで出てくる映画をそれほど観ているわけではないので、実際にはどうなのか分からないですけど。個人的な感想でいうと、死刑囚がメインとなる多くの作品は、死刑囚がなぜ事件を起こすに至ったかであるとか、事件の裁判であるとか、死刑が執行されるのが是か非か、みたいなことが物語の核になると思うんですよね。この脚本に関しては、金田という男が、なぜ死刑囚になったのかがまるで描かれていない。もっというと、金田が何を考えているか、この男がいま何を思ってここで生活しているかをまったく描いていない。それがむしろ金田の闇を浮かび上がらせていて、すごく刺激的でシナリオとしておもしろかったです」

――誰とも絡まないシーンが多いですが、演技面で苦労されたことは?

「苦労というと、全編が苦労でした。死刑囚の気持ちには、どうやっても到達できないわけで。それはどうしようもないとどこかで思いつつ、それでも近づいていかきゃいけない。日々、とにかく頭で(金田の)気持ちを考えるのではなくて、何か近づくという作業をずっと緊張感をもってやるのは正直、苦痛でしたね。だから撮影期間が短くてよかったです」

――撮影期間はどのくらいですか?

「僕の部分は5日間くらいでした」

――その5日間は、ずっと役になりきっている状態なのでしょうか?

「僕は正直、役作りをして現場に臨むタイプではないんですね。実際、役になりきるという作業とは違うと思うんですけれど。理解するというか、役にずっと触れつづけるということを、緊張感や集中力をもってずっとやることを考えていました」

――実際に、元刑務官の方がアドバイザーとして参加されていますが、何か印象的なお話はありました?

「役作りとは関係ないかもしれませんが……。死刑囚はいま、死刑執行を予告されないんです。何か別の用事と聞いて連れられていくと、いきなり執行される場所だという。なぜかというと、かつて死刑執行を予告していたときに、前日に予告したら、自殺した方がいたらしいんですね。死刑執行の前日に自殺をするというのが、僕にとってはすごく衝撃的なことでした。その何が、といわれるとうまく説明できないんですけど」

――死刑執行の前日の態度や、出房したときの金田のアクションが、想像ながらとてもリアルに感じられて強烈でした。

「あれは脚本に全部書かれていて、逆にいえば、余計なことはいっさい書かれていないんです。ただ事実だけがぽんぽんと書いてある。だから金田という男が実際どう感じているか、いったい何を考えているのか僕には分からない。本当に真っ暗な闇みたいな男です。それでも、その役ができる。気持ちは分からないけれど、役を演じることができる。そういう演技の方法があるんじゃないかと僕はどこかで思っていて、そういう作業をやっていました。気持ちやバックグラウンドを考えなくても、何か役に触れることができる脚本(ホン)でした。ぽんと書いてあるト書きに、辻褄あわせのための理屈をつけられたかもしれないけれど、僕はつけたくなかったし、それでいいんだと思っていました」

――劇中、金田が聴く音楽は何かと気になってしまいました。

「そうなんですよね……そういうものもいっさい、公にされることはないと思います(笑)。誤解を恐れずにいえば、僕は金田という男を“モンスター”みたいな方向の役に演じていたんです。それを門井監督が、そうじゃないと。気持ちを説明するのではなく、もっと具体的にアクションを人間らしいカタチに寄せたり、編集したり。人間的な部分を増やしてくださって、ちょうどいいバランスになったと思います。それだけ脚本の金田という男は、まったく底知れない男でしたね」

――刑務官役の小林 薫さんは、どんな俳優さんでしたか?

「小林さんは……もしかしたら僕と違うタイプ。要するに、ずっと役を作り込んでいかれて、現場でも、自分が感じるリアリティをすごく重視して演技される方じゃないかと。実際、僕にも『西島くんはこれで何か気持ち悪くないか?』『こうやったほうがいいんじゃないか』といってくださって。共演しやすい、ありがたい先輩俳優さんでした。現場ですごく助けてもらいました。今回の金田は、『本当にできるのか?』という役だったので。もしうまくいっていることがあるとしたら、監督やすばらしい共演者の方々からいろいろなものをいただいて、なんとか集中力が切れずにゴールできたな、という気持ちです」

――そういう役をあえて引き受けたのは、俳優としての冒険心が強く働いたからでしょうか?

「それはあると思いますね。やはりなかなか挑戦できない役なので。僕はけっこういろいろな役をやらせてもらっていますが、死刑囚の役は初めて。そういう意味で今回、演じることができて良かった、得るものがたくさんあったと思います」

――以前、イランのアボルファズル・ジャリリ監督が「日本の俳優で知っているのは西島秀俊さんと麻生久美子さんだけだ」とおっしゃっていました。海外の作品に出演されるご予定は?

「僕の場合は、監督とのある縁で仕事をさせてもらっている、との印象がすごく強いんですね。たとえば海外の監督と仕事をするとしても、あまり変わらない。日本と同じように、ある縁で、ある作品があいだにあって、自分にとって魅力的な監督から『西島くん、一緒にやろうよ』といってもらえればうれしい。海外だから、という特別な意識はあまりないですね」

――国際映画祭の審査員を務められるほど映画好きと評判ですが、自分で監督する希望や予定はないのですか?

「それはないです。ボクはただフツーの映画ファンとして、映画を観ているだけなので。日々、映画を観ては衝撃を受け、感動したり、いろいろ考えたりしています」

――映画を撮ったり観たりしていらっしゃらないとき、オフでは何を?

「身体を動かすのが好きですね。それくらいでしょうか。でもありがたいことに、撮影の仕事などをいろいろやらせていただいているので、ずっとそうだったらいいなと。あんまりほかに、やることがないんですよね」

――釣りがお好きと聞いたことがありますが?

「(笑)僕、飽きっぽいんですよ。いろいろやるんですけど、結局、映画の撮影現場がイチバンで、あとはどこかで“それ以外のこと”という気持ちがあるんですよね」

――サーフィンもやられるそうですね。

「はい。楽しいなとは思うんですけど。僕の友だちに、本当に(サーフィンが)好きなヤツがいて、ヤツをみていると、自分は不埒に関わっているなと思いますね(笑)。映画の撮影が始まると、完全にそっちにいっちゃいますから」


取材・文/柴田メグミ

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死刑廃止問題を考える

現在日本が遅れを取っている死刑廃止問題について解説します。
いまや世界の半数以上の国が、法律上、または事実上死刑を廃止しています。

法律上、事実上の死刑廃止国の合計:135
存置国:62

死刑制度の問題点・死刑制度の各国での動き、死刑制度の国内での動きについて考えていきます。


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