元刑務官が明かす死刑のすべて: 坂本 敏夫
Amazon.co.jp: 元刑務官が明かす死刑のすべて: 坂本 敏夫: 本
内容(「BOOK」データベースより)
起案書に30以上もの印鑑が押され、最後に法務大臣が執行命令をくだす日本の“死刑制度”。「人殺し!」の声の中で、死刑執行の任務を命じられた刑務官が、共に過ごした人間の命を奪う悲しさ、惨めさは筆舌に尽くしがたい。死刑囚の素顔、知られざる日常生活、執行の瞬間など、元刑務官だからこそ明かすことのできる衝撃の一冊。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
坂本 敏夫
昭和22(1947)年生まれ。法政大学法学部中退。昭和42年、大阪刑務所看守を拝命し、以後、神戸刑務所、大阪刑務所、東京矯正管区、長野刑務所、東京拘置所、甲府刑務所、黒羽刑務所、広島拘置所等に勤務。平成6年3月まで法務事務官として奉職。映画「13階段」のアドバイザーも務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
最も参考になったカスタマーレビュー
40 人中、35人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
「当事者」としての死刑, 2007/2/25
By 丁三 (千葉県) - レビューをすべて見る
映画の『13階段』をみて、
本書の著者の坂本氏がそのアドバイザーを務めたというので、
手にとってみた。
坂本氏は死刑執行に実際に携わったことのある元刑務官である。
死刑の是非を問う議論は世にかまびすしいが、死刑の当事者は限られている。
犯罪被害者の家族、死刑囚、死刑囚の家族、そして忘れがちであるが、
死刑を実際に執行する公務員、すなわち刑務官である。
本書のいちばんの特色は、頭のなかの理屈ではなく、
目の前の現実として死刑を受け止めなければならない
当事者たちの視点から書かれている点である。
クリスマスに死刑執行を命令された刑務官の気持ち、
まさに死刑を執行される死刑囚の気持ち、
当事者ではないが、死刑反対運動に巻き込まれて、
つらい思いをする刑務官の家族の気持ちなどを
ていねいに描いている。
だからといって坂本氏は単純に死刑反対、というのではない。
一家4人を惨殺して死刑判決をうけながら、
反省の色も見せず「自分も国に殺される被害者だ」と嘯く死刑囚や
精神異常を装って死刑から上手に逃れてみせる卑劣な犯罪者の様子は
読むものに心底、怒りを感じさせずにはおかない。
死刑制度の当事者になるという経験は、世にまれである。
ほとんどの人は、死刑を身近に感じることなく、平穏に一生を終える。
だから、死刑是非論はどうしても論理先行、理念先行になりがちだが、
本書はそこに「当事者」という名の一石を投じる。
社会制度を議論するのに、当事者でなければ資格がないとはいわないが、
しかし、正義や理念、理想だけが先行する議論はどこか空疎である。
その意味で、死刑の当事者、死刑の現実をこれでもかと書き並べた本書は、
議論としてのまとまりには欠けるものの、いわくいいがたい何ものかを残す。
良書とも名著とも少し違う、
しかし、読んでおくべき本のひとつであることは
おそらく間違いない。 このレビューは参考になりましたか? (報告する)
25 人中、22人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
秀逸ではないが生々しい, 2006/11/23
By ナカヤンJP - レビューをすべて見る
殺したい相手を「誰か」に殺させるのが死刑制度。
その「誰か」が書いた本。
死刑制度について語る前に読んでおきたい。
死刑制度そのものの是非ではなく、実際に死刑が執行される現場とは
どのようなものなのか、それを執行するものの精神状態はどうなのか。
そんなリアルな現場の話が書かれています。
死刑が確定してから執行されるまでの間
・・・それは時には数十年にもなる・・・
その間を共に過ごしてきた人間が、いかに死刑囚が更生していたとしても、
命令がくれば拒否することも許されずに「職務としての殺人」を
行わなければならない苦悩。
作家が書いたような秀逸な文章ではないが、それだけに生々しさと
苦悩が伝わってくる。 死刑賛成の人も反対の人も、ぜひ読んでみて欲しい。 このレビューは参考になりましたか? (報告する)
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刑務官のみた死刑囚, 2007/4/28
By きんぐ研究会一同 - レビューをすべて見る
刑務官という我々にはあまり知られていない世界について知ることができる。
元刑務官による視点が極めて多くのことを考えさせてくれるのが本書だ。
むしろ死刑反対派にとっては耳が痛い書物であり、目を背けたい書物であろう。
死刑囚が実際には反省してなどおらず、いかに狡猾に立ち回る者なのか・・。
弁護士や人権派などがいう世界とは別の世界があることを深く痛感させられる。
死刑が廃止されることによっていかに統治が崩壊しある種の人たちにとっては、
犯罪のしやすい社会になるのではないかと思わされる。
人はなぜ人を殺すのか、罪を償うことはできるのかということについても考えさせられる。
多くの人に読まれるべき書物であると思う。


