死刑制度の世界の現状
死刑制度の世界の現状地図
この図は2008年1月1日時点における世界各国の死刑制度の状況を表した地図である。
世界198ヶ国の色分けは次の通り。
(青):あらゆる犯罪に対する死刑を廃止(91ヶ国)
(緑):戦時の逃走、反逆罪などの犯罪は死刑あり。それ以外は死刑を廃止(11ヶ国)
(橙):法律上は死刑制度を維持。ただし、死刑を過去10年以上実施していない死刑執行モラトリアム国。もしくは、死刑を執行しないという公約をしている国。(33ヶ国)
(赤):過去10年の間に死刑の執行を行ったことのある国(62ヶ国)
となっている。この場合、死刑反対派は実質上の死刑廃止国が91+11+33の135ヶ国の多数派であると主張する一方で、死刑存置派は死刑制度維持国は11+33+61の105ヶ国で大多数であると主張している。なお死刑制度維持国の数字は1990年代以降減少傾向が続いている。
1990年代から21世紀初頭にかけて死刑廃止国が増加しているが、これは欧州連合が死刑制度を廃止するように各国に働きかけているためでもある。実際に欧州連合への加盟を目指しているトルコは死刑を廃止した。またカンボジアやリベリア、ルワンダといった過去に多数の国民が虐殺された国において死刑制度が廃止されている。
死刑制度を全面的に廃止した国の一覧
下記の表であるが、法律上死刑を廃止した年と、戦時を除く通常犯罪に対する廃止年である。また参考に最後に死刑執行が行われた年も判明している場合記載している。これから判るように長期の死刑執行モラトリアムを経て死刑が廃止される国も少なくない。実際に「ギネスブック」に「1798年に世界で最初に死刑を廃止した国家」として掲載[7]されているリヒテンシュタイン公国の実際の死刑制度廃止年は1987年(最後の死刑執行が行われた年は1785年)の事であり、それまで2世紀にわたり事実上死刑存置国であった。また平時で死刑が廃止されていても、戦時では死刑が執り行われる場合もある。
国名 全面死刑廃止年 通常犯罪のみ廃止年 最後の死刑執行年
アルバニア 2007年 2000年
アルメニア 2003年 - -
アンドラ公国 1990年 - 1943年
アンゴラ 1992年 - -
オーストラリア 1985年 1984年 1967年
オーストリア 1968年 1950年 1950年
アゼルバイジャン 1998年 - 1993年
ベルギー 1996年 - 1993年
ボスニア・ヘルツェゴビナ 2001年 -
ブータン王国 2004年 - 1964年
ブルガリア共和国 1998年 - 1989年
カンボジア王国 1989年 - ?
カナダ 1998年 1976年 1962年
キプロス 2002年 1983年 1962年
カボベルデ 1981年 - 1835年
コロンビア 1910年 - 1909年
コスタリカ 1877年 - -
コートジボアール 2000年 - -
クロアチア 1990年 - -
チェコ共和国 1990年 - -
デンマーク王国 1978年 1933年 1950年
ジブチ 1995年 - 建国以来執行無
ドミニカ共和国 1966年 - -
東ティモール 1999年 - -
エクアドル 1906年 - -
エストニア 1999年 - 1991年
フィンランド 1972年 1949年 1941年(戦時)
1825年(平時)
フィリピン 2006年 - -
フランス 1981年 - 1977年
ギリシア 2004年 - -
グルジア 1997年 - 1994年
ドイツ連邦共和国 1987年(旧東独)
1950年(西独) - 1949年(西独)
ギニアビサウ 1993年 - 1986年
ハイチ 1987年 - 1972年
ホンジュラス 1956年 - 1940年
ハンガリー 1990年 - 1988年
アイスランド 1928年 - 1830年
アイルランド 1990年 - 1954年
イタリア 1994年 1947年 1947年
キリバス 1979年 -
リベリア 2005年 - -
リヒテンシュタイン公国 1987年 - 1785年
リトアニア 1998年 - 1995年
ルクセンブルグ大公国 1979年 - 1949年
マケドニア 1991年 -
メキシコ 2005年 - 1937年
マルタ 2000年 1971年 1943年
マーシャル諸島 1991年 - 独立以来執行例無
ミクロネシア連邦 1991年 - 独立以来執行例無
モルドバ共和国 1995年 - -
モナコ公国 1962年 - 1847年
モンテネグロ 2002年 - -
モザンビーク 1990年 - 1986年
ナミビア 1990年 - 1988年
ネパール 1997年 1990年 1979年
オランダ 1982年 1870年 1952年
ニュージーランド 1989年 1961年 1957年
ニカラグア 1979年 - 1930年
ニウエ(ニュージーランド保護領) 2004年 - -
ノルウェー 1979年 1905年 1948年(国家反逆罪)
ベラウ共和国 1986年 - 独立以来執行例無
パナマ 1903年 - 1903年
パラグアイ 1992年 - 1928年
ポーランド 1997年 - 1988年
ポルトガル 1976年 1867年 1849年
ルーマニア 1989年 - 1989年(被死刑囚は大統領夫妻)
サンマリノ共和国 1865年 1848年 1468年(?)
サントメプリンシペ 1990年 - -
セルビア 2002年 - -
セーシェル 1993年 - -
セネガル 2004年 - -
トルコ 2004年 - 1984年
トルクメニスタン 1999年 - -
モーリシャス 1995年 - 1987年
ルワンダ 2007年 -
スロバキア共和国 1990年 - -
スロベニア 1989年 - -
サモア 2004年 - -
ソロモン諸島 1981年 1966年 -
南アフリカ共和国 1997年 1995年 1991年
スペイン 1995年 1978年 1975年
スウェーデン 1972年 1921年 1910年
スイス 1992年 1942年 1944年(戦時)
ツバル 1981年 - 独立以来執行例無
ウクライナ 1999年 - -
イギリス 1998年 1973年(北アイルランド) 1964年(イングランド)
ウルグアイ 1907年 - -
バヌアツ 1981年 - 独立以来執行例無
バチカン市国 1969年 - -
ベネズエラ 1863年 -
出典:亀井静香『死刑廃止論」花伝社 2002年を最新データに更新して改変
中華人民共和国のうち香港とマカオは死刑を廃止している。
アメリカ合衆国のうち13州とコロンビア特別区、海外領土は死刑を廃止している。
[編集] 死刑制度を平時のみ廃止した国の一覧
死刑の適用を平時の犯罪のみ廃止した国。そのため戦時下では死刑もありうるとしている。
国名 通常犯罪のみ廃止年 最後の死刑執行年
アルゼンチン 1984年 -
ボリビア 1997年 1974年
ブラジル 1979年 1855年
チリ 2001年 1985年
クック諸島(ニュージーランド保護領) 不明 -
エルサルバドル 1983年 1973年
フィジー 1979年 1964年
イスラエル 1954年 1962年(戦争犯罪人)
キルギスタン 2007年 -
ラトビア 1999年 1996年
ペルー 1979年 1979年
[編集] 過去10年以上死刑執行モラトリアムの国の一覧
国名 最後の死刑執行年 国名 最後の死刑執行年
パプアニューギニア 1950年 モルジブ 1952年
ブルネイ 1957年 マダガスカル 1958年
ナウル 独立以後無 ニジェール 1976年
スリランカ 1976年 グレナダ 1978年
トーゴ 1978年 マリ 1980年
ガボン 1981年 中央アフリカ 1981年
ガンビア 1981年 コンゴ民主共和国 1982年
コンゴ共和国 1982年 スリナム 1982年
トンガ王国 1982年 スワジランド 1983年
ケニヤ 1984年 バルバドス 1984年
ベリーズ 1985年 ドミニカ国 1986年
ベナン 1987年 モーリタニア 1987年
ブルキナファソ 1988年 ラオス 1989年
アンティグア・バーブーダ 1991年 チュニジア 1991年
マラウイ 1992年 ガーナ 1993年
アルジェリア 1993年 モロッコ 1993年
ミャンマー 1993年 タンザニア 1994年
セントルシア 1995年 セントビンセント・グレナディーン諸島 1995年
コモロ 1996年 ザンビア 1997年
カメルーン 1997年 大韓民国 1997年
グアテマラ 1998年 セントクリストファー・ネビス 1998年
シエラレオネ 1998年 - -
[編集] 2006年に公式に死刑執行があったことが確認できる国の一覧
国名 国名 国名 国名
アメリカ合衆国 中華人民共和国 アフガニスタン バングラディシュ
イラン イラク エチオピア 日本
バーレーン ボツワナ エジプト 赤道ギニア
インドネシア ヨルダン 朝鮮民主主義人民共和国 クウェート
マレーシア モンゴル パキスタン サウジアラビア
シンガポール ソマリア スーダン シリア
ウガンダ ベトナム イエメン
以上27ヶ国[8]
国際社会の動向
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1989年12月には、国連で採択された「国際人権規約」の「市民的及び政治的権利に関する国際規約の第二選択議定書」に随意項目として死刑廃止が存在する。これを加えて廃止を選択する国は、国際条約に基づき『戦時中に犯された軍事的性格を有する極めて重大な犯罪に対する有罪判決によって、戦時に適用することを規定』(第2条1項)されている戦争犯罪を除き平時全ての死刑を廃することになる。
1990年ごろまでは、死刑維持国が大多数を占めたが、一党独裁ないし軍事独裁政権であった国家が民主化した直後に東欧や南米の諸国が死刑を廃止し、死刑廃止国の数が増加した。一方で、アジア・アフリカ・中東の民主化の結果として、民主国家で死刑を維持する国の数もまた多数存在する。なお死刑廃止国において世論の動向に関わる無く廃止を実施したところも多く、死刑復活の意向が多数派である国も存在する。
国連の死刑廃止条約や、EUの死刑廃止ガイドラインは、通常の犯罪に対してのみ死刑のみを禁止しており、有事の際の死刑については死刑廃止国の権利として認めている。尚、死刑廃止論の祖であるベッカリーアを始め、現在に至るまで、大部分の死刑廃止論者・団体は、平和時の通常犯罪に限定して死刑廃止を主張しており、戦時下など国家の危機における死刑については対象としないことが通例である。
2006年に死刑を執行した国は、日本を含む25カ国。人数は1,591人が確認されているが、この数値には秘密裏に処刑されたものが入っていないので、実際はこれよりも多いとされる。全世界の死刑執行数の約9割以上が中国であり、続いてイランであり、イスラム圏諸国が多い。また人口に占める死刑執行の割合が多いのはサウジアラビアであり、1980年から2002年に1409人が処刑されたが、人口比では208,772人に一人に相当[9]するという。死刑執行が中国では犯罪に対する威嚇として窃盗・賄賂といった人命が奪われたわけでない犯罪に対しても死刑が適用される場合がある。また新疆ウイグル自治区ではイスラム教徒による東トルキスタン分離運動をテロリズムとして死刑が適用された事例がある。またシンガポールでは麻薬の所持で外国人を含む多くの者が処刑されている。
なおイランやサウジアラビアといったイスラム教国でもイスラム法を現在も幅をきかしている国においては、廃教・不倫・同性愛など宗教的戒律を破った者に対しても死刑を行っている。そのため石を群集が投げつけて生命を奪う見せしめが行われている。その一方で、イスラム法では殺害された被害者の遺族が死刑囚を許した場合には死刑の執行が猶予される場合もある。



